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第二章 人として生きる
38 成人 24
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じいじが銃を回収して、朱実殿下に渡す。
「このエリアへの武器の持ち込みは禁止だ。更に、赤い服は皇族の証。五条赤虎、お前はもうその色は着られない。速やかに返却せよ。……その尊き名を変えよとは言わぬ。せめて、名に恥じぬ生き方をせよ」
「黙れ、朱実。もっともらしいことを言っても騙されぬ。私はお前に嵌められたのだ」
「不敬だね。例え皇族であっても、私にそのような口をきけるのは父上だけだと思うのだが。名を呼び捨てるのもいただけない。いや、別に兄上と呼んで欲しいわけでもないのだが」
赤虎が左手の杖を振り上げようとするが、すぐに力丸に捻り上げられていた。
緋色は、もう関係ないとばかりに先へ進もうとする。俺は遅れないように側に寄った。少し足が痛い、と思っていたら緋色がひょい、と抱き上げてくれた。嬉しいので、ぎゅっと抱きついておく。
「そこの戦闘人形を!」
力丸に手を離してもらった赤虎の杖が上がって、俺を指す。力丸がびっくりした顔でこちらを見ている。
「研究所に引き渡せという命令書に不備はない。命令無視は緋色で、研究所を破壊したのも緋色だ。罰を受けるなら緋色だろう」
「お前に戦闘人形回収の命令は下っていない。緋色は、戦闘人形を持っていないと正式ルートで回答済み。お前が間違えて緋色の愛し子を拐った上に傷付けたのだろう? 研究所の損害賠償請求はお前に出して然るべきだ」
すたすたと緋色はその場を離れていく。
「戦闘人形でない、だと。何を馬鹿な」
「研究所の研究員二人が、謝っていたぞ。とんでもない勘違いをして申し訳ありませんでした、とな」
ああ、と白衣の二人を思い出す。忍部博士と睦峯。すでに懐かしいな。
「戦闘人形はもう、いない」
少し離れたのに、朱実殿下の声は廊下によく響いて聞こえてきた。
戦闘人形はもう、いない。
「このエリアへの武器の持ち込みは禁止だ。更に、赤い服は皇族の証。五条赤虎、お前はもうその色は着られない。速やかに返却せよ。……その尊き名を変えよとは言わぬ。せめて、名に恥じぬ生き方をせよ」
「黙れ、朱実。もっともらしいことを言っても騙されぬ。私はお前に嵌められたのだ」
「不敬だね。例え皇族であっても、私にそのような口をきけるのは父上だけだと思うのだが。名を呼び捨てるのもいただけない。いや、別に兄上と呼んで欲しいわけでもないのだが」
赤虎が左手の杖を振り上げようとするが、すぐに力丸に捻り上げられていた。
緋色は、もう関係ないとばかりに先へ進もうとする。俺は遅れないように側に寄った。少し足が痛い、と思っていたら緋色がひょい、と抱き上げてくれた。嬉しいので、ぎゅっと抱きついておく。
「そこの戦闘人形を!」
力丸に手を離してもらった赤虎の杖が上がって、俺を指す。力丸がびっくりした顔でこちらを見ている。
「研究所に引き渡せという命令書に不備はない。命令無視は緋色で、研究所を破壊したのも緋色だ。罰を受けるなら緋色だろう」
「お前に戦闘人形回収の命令は下っていない。緋色は、戦闘人形を持っていないと正式ルートで回答済み。お前が間違えて緋色の愛し子を拐った上に傷付けたのだろう? 研究所の損害賠償請求はお前に出して然るべきだ」
すたすたと緋色はその場を離れていく。
「戦闘人形でない、だと。何を馬鹿な」
「研究所の研究員二人が、謝っていたぞ。とんでもない勘違いをして申し訳ありませんでした、とな」
ああ、と白衣の二人を思い出す。忍部博士と睦峯。すでに懐かしいな。
「戦闘人形はもう、いない」
少し離れたのに、朱実殿下の声は廊下によく響いて聞こえてきた。
戦闘人形はもう、いない。
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