84 / 1,325
第二章 人として生きる
66 緋色 34
しおりを挟む
「斎がいいなら、今まで通りに俺の部下でいてくれたらいい」
「……私は、もちろんここに居たいです。あまりはっきりと覚えている訳ではありませんが、ここで暮らしていた間がとても幸せだったことは覚えています。成人と同じですよ」
「じゃあ、それで」
「けれど、私はいつまた、私でなくなるか分からない。危険です」
「大丈夫だ。うちは、最強軍団だからな」
「俺、と言った方が?」
「好きにしたらいい。誰も気にしない。それに、お前がいないと俺は困る。書類関係は苦手なんだ」
斎はようやく、少し笑った。
「私を好きに使ってください。頭を開けてもらっても構いません」
そう言いながら、左こめかみの痣を指差す。
「何かあるのでしょう?」
それで思い出した。朱実にだけは連絡しなくてはいけないかもしれない。
斎のことは黙りでいいか。
「朱実が成人の受信機を使って指令者の炙り出しを狙っていたが、壊してしまった」
「……その作戦は、感心しませんね」
「やはりか。絶対に嫌だと伝えておいたんだが、あいつは人の意見は基本聞かない。一人の犠牲で多くを救えるなら決して迷わない。壊れて良かったな」
「……皇族として正しいことは分かります。私には、できそうもない」
「俺もだ。俺は、自分の守りたい者を守る。その範囲内の者の犠牲で百万人救えると言われても俺は、俺の大切な一人を選ぶ」
「賛成ですね。悩むかもしれませんけれど」
「俺は、悩みもしないな」
「朱実殿下への報告は早い方がいいですね。すぐに連絡を。私のことも、お伝えした方がよろしいかと」
バタバタと物音がした。
「誕生日」
と言いながら成人が部屋に飛び込んで来る。
何だって?
失礼します、と青葉が付いてきた。何か言いたげにこちらを向いているが、成人の用事が優先だな。
成人は迷わず俺の腕の中に抱きつきながら、言う。
「誕生日って何?」
成程。それが無いと、永久に十五歳だな。
「……私は、もちろんここに居たいです。あまりはっきりと覚えている訳ではありませんが、ここで暮らしていた間がとても幸せだったことは覚えています。成人と同じですよ」
「じゃあ、それで」
「けれど、私はいつまた、私でなくなるか分からない。危険です」
「大丈夫だ。うちは、最強軍団だからな」
「俺、と言った方が?」
「好きにしたらいい。誰も気にしない。それに、お前がいないと俺は困る。書類関係は苦手なんだ」
斎はようやく、少し笑った。
「私を好きに使ってください。頭を開けてもらっても構いません」
そう言いながら、左こめかみの痣を指差す。
「何かあるのでしょう?」
それで思い出した。朱実にだけは連絡しなくてはいけないかもしれない。
斎のことは黙りでいいか。
「朱実が成人の受信機を使って指令者の炙り出しを狙っていたが、壊してしまった」
「……その作戦は、感心しませんね」
「やはりか。絶対に嫌だと伝えておいたんだが、あいつは人の意見は基本聞かない。一人の犠牲で多くを救えるなら決して迷わない。壊れて良かったな」
「……皇族として正しいことは分かります。私には、できそうもない」
「俺もだ。俺は、自分の守りたい者を守る。その範囲内の者の犠牲で百万人救えると言われても俺は、俺の大切な一人を選ぶ」
「賛成ですね。悩むかもしれませんけれど」
「俺は、悩みもしないな」
「朱実殿下への報告は早い方がいいですね。すぐに連絡を。私のことも、お伝えした方がよろしいかと」
バタバタと物音がした。
「誕生日」
と言いながら成人が部屋に飛び込んで来る。
何だって?
失礼します、と青葉が付いてきた。何か言いたげにこちらを向いているが、成人の用事が優先だな。
成人は迷わず俺の腕の中に抱きつきながら、言う。
「誕生日って何?」
成程。それが無いと、永久に十五歳だな。
2,171
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。
【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺
福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。
目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。
でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい…
……あれ…?
…やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ…
前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。
1万2000字前後です。
攻めのキャラがブレるし若干変態です。
無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形)
おまけ完結済み
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
【本編完結】才色兼備の幼馴染♂に振り回されるくらいなら、いっそ赤い糸で縛って欲しい。
ホマレ
BL
才色兼備で『氷の王子』と呼ばれる幼なじみ、藍と俺は気づけばいつも一緒にいた。
その関係が当たり前すぎて、壊れるなんて思ってなかった——藍が「彼女作ってもいい?」なんて言い出すまでは。
胸の奥がざわつき、藍が他の誰かに取られる想像だけで苦しくなる。
それでも「友達」のままでいられるならと思っていたのに、藍の言葉に行動に振り回されていく。
運命の赤い糸が見えていれば、この関係を紐解けるのに。
【完結】マジで婚約破棄される5秒前〜婚約破棄まであと5秒しかありませんが、じゃあ悪役令息は一体どうしろと?〜
明太子
BL
公爵令息ジェーン・アンテノールは初恋の人である婚約者のウィリアム王太子から冷遇されている。
その理由は彼が侯爵令息のリア・グラマシーと恋仲であるため。
ジェーンは婚約者の心が離れていることを寂しく思いながらも卒業パーティーに出席する。
しかし、その場で彼はひょんなことから自身がリアを主人公とした物語(BLゲーム)の悪役だと気付く。
そしてこの後すぐにウィリアムから婚約破棄されることも。
婚約破棄まであと5秒しかありませんが、じゃあ一体どうしろと?
シナリオから外れたジェーンの行動は登場人物たちに思わぬ影響を与えていくことに。
※小説家になろうにも掲載しております。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
【完結 一気読み推奨】片想いの相手が「そろそろ恋愛したい」と言ったので、用済みの俺はニートになることにしました。
はぴねこ
BL
高校生の頃、片想いの親友に告白した。
彼はノンケだったから玉砕して友人関係も終わるものだと思っていた。
もしかすると気持ち悪いと軽蔑される覚悟までしていたのに、彼は「今は恋愛をしている時間がないんだ」と自分の夢を語ってくれた。
彼は会社を興した祖父のことをとても尊敬していて、自分も起業したいと熱く語ってくれた。
そして、俺の手を握って「できれば親友のお前には俺の右腕になってほしい」と言われた。
同性愛者の俺のことを気持ち悪いと遠ざけることもせずに、親友のままでいてくれた彼に俺は感謝して、同じ大学に進学して、大学の頃に彼と一緒にゲームを作成する会社を起業した。
あれから二十年間、本当に二人三脚で駆け抜けてきた。
そして、昨年売り出したVRMMOが世界的に大ヒットし、ゲーム大賞を取ったことを祝うパーティーで親友が語った言葉に俺の覚悟も決まった。
「俺もそろそろ恋愛したい」
親友のその言葉に、俺は、長年の片想いを終わらせる覚悟をした。
不憫な拗らせアラフォーが”愛”へと踏み出すお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる