【本編完結】人形と皇子

かずえ

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第二章 人として生きる

66 緋色 34

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さいがいいなら、今まで通りに俺の部下でいてくれたらいい」
「……私は、もちろんここに居たいです。あまりはっきりと覚えている訳ではありませんが、ここで暮らしていた間がとても幸せだったことは覚えています。成人なるひとと同じですよ」
「じゃあ、それで」
「けれど、私はいつまた、私でなくなるか分からない。危険です」
「大丈夫だ。うちは、最強軍団だからな」
「俺、と言った方が?」
「好きにしたらいい。誰も気にしない。それに、お前がいないと俺は困る。書類関係は苦手なんだ」

 さいはようやく、少し笑った。

「私を好きに使ってください。頭を開けてもらっても構いません」

 そう言いながら、左こめかみの痣を指差す。

「何かあるのでしょう?」

 それで思い出した。朱実あけみにだけは連絡しなくてはいけないかもしれない。
 さいのことはだんまりでいいか。

朱実あけみ成人なるひとの受信機を使って指令者の炙り出しを狙っていたが、壊してしまった」
「……その作戦は、感心しませんね」
「やはりか。絶対に嫌だと伝えておいたんだが、あいつは人の意見は基本聞かない。一人の犠牲で多くを救えるなら決して迷わない。壊れて良かったな」
「……皇族として正しいことは分かります。私には、できそうもない」
「俺もだ。俺は、自分の守りたい者を守る。その範囲内の者の犠牲で百万人救えると言われても俺は、俺の大切な一人を選ぶ」
「賛成ですね。悩むかもしれませんけれど」
「俺は、悩みもしないな」
朱実あけみ殿下への報告は早い方がいいですね。すぐに連絡を。私のことも、お伝えした方がよろしいかと」

 バタバタと物音がした。

「誕生日」

 と言いながら成人なるひとが部屋に飛び込んで来る。
 何だって?
 失礼します、と青葉が付いてきた。何か言いたげにこちらを向いているが、成人なるひとの用事が優先だな。
 成人なるひとは迷わず俺の腕の中に抱きつきながら、言う。

「誕生日って何?」

 成程。それが無いと、永久に十五歳だな。

 
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