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第三章 幸せの行方
1 成人 40
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「朱実殿下をどうして好きになったのか、だって。緋椀が真顔で聞いてくるのよ。変でしょ」
「あの子最近、おかしいわぁ」
「彼女でもできたのか、愛を囁かれたのか」
「おもしろーい。もしかして、初恋なんじゃないの」
「あら、素敵ですね」
三人の女の人の声がする。最後のは青葉さんだ。
ベッドの上で目を開けてぼんやりと話し声を聞く。俺はまた寝てたのか……。最近は体が怠くて仕方ない。気付くとベッドにいることが多い。
俺は構わないんだけど、心配する人が多いからなるべく起きていたいなあ。
「なるちゃん、起きたかい」
青葉さんが優しい笑顔で覗きこんできた。俺を軽々と抱き上げて、囲んでいたテーブルの所へ運んでいく。
「なる、おはよう。お水飲む? ジュースもあるよ」
乙羽がすっと席から立ち上がる。
「お水」
と言うと、
「また何のカロリーも無いもの選んで」
「そうよ。少しでもカロリー取りなさい」
美女が二人、こちらを向いて抗議してきた。初めて会ったときは、乙羽と同じくらいの美人があっさりと二人もいることに驚いたものだ。
何度会っても見惚れてしまう。
「今日もきれいね」
俺が言うと、言われ慣れているだろうに二人の美女は少し照れた顔をして喜ぶのだ。
「なるはいい男になるわよー」
「緋色には勿体ないわ」
好きなことを言って楽しげに笑う。女の人たちの話し声や笑い声は割りと好き。
青葉さんに体を預けて、乙羽のくれた水を飲む。冷たいのをいれてくれた。
「ありがと」
「うん」
乙羽は、ふわ、と笑いながら椅子に座り直して、飴を一つ俺の口にくれる。
「それで、何て答えたの?」
青葉さんと同じくらいの年齢らしいけど、全然そうは見えない美人の緋見呼さまが言う。
「は? 何が?」
緋椀によく似た美人の赤璃さまが首を傾げた。
「朱実をどうして好きになったのか、の答えよ」
「はあ? どうしてそんなこと答えなくちゃいけないのよ」
「何、答えられないの? 朱実かわいそうー」
「母上は答えられるの?」
「私は灯夜の綺麗なお顔が大好きですとも!」
「母上に聞いた私が馬鹿だったわ」
赤璃さまは大袈裟にため息をついた。
「あの子最近、おかしいわぁ」
「彼女でもできたのか、愛を囁かれたのか」
「おもしろーい。もしかして、初恋なんじゃないの」
「あら、素敵ですね」
三人の女の人の声がする。最後のは青葉さんだ。
ベッドの上で目を開けてぼんやりと話し声を聞く。俺はまた寝てたのか……。最近は体が怠くて仕方ない。気付くとベッドにいることが多い。
俺は構わないんだけど、心配する人が多いからなるべく起きていたいなあ。
「なるちゃん、起きたかい」
青葉さんが優しい笑顔で覗きこんできた。俺を軽々と抱き上げて、囲んでいたテーブルの所へ運んでいく。
「なる、おはよう。お水飲む? ジュースもあるよ」
乙羽がすっと席から立ち上がる。
「お水」
と言うと、
「また何のカロリーも無いもの選んで」
「そうよ。少しでもカロリー取りなさい」
美女が二人、こちらを向いて抗議してきた。初めて会ったときは、乙羽と同じくらいの美人があっさりと二人もいることに驚いたものだ。
何度会っても見惚れてしまう。
「今日もきれいね」
俺が言うと、言われ慣れているだろうに二人の美女は少し照れた顔をして喜ぶのだ。
「なるはいい男になるわよー」
「緋色には勿体ないわ」
好きなことを言って楽しげに笑う。女の人たちの話し声や笑い声は割りと好き。
青葉さんに体を預けて、乙羽のくれた水を飲む。冷たいのをいれてくれた。
「ありがと」
「うん」
乙羽は、ふわ、と笑いながら椅子に座り直して、飴を一つ俺の口にくれる。
「それで、何て答えたの?」
青葉さんと同じくらいの年齢らしいけど、全然そうは見えない美人の緋見呼さまが言う。
「は? 何が?」
緋椀によく似た美人の赤璃さまが首を傾げた。
「朱実をどうして好きになったのか、の答えよ」
「はあ? どうしてそんなこと答えなくちゃいけないのよ」
「何、答えられないの? 朱実かわいそうー」
「母上は答えられるの?」
「私は灯夜の綺麗なお顔が大好きですとも!」
「母上に聞いた私が馬鹿だったわ」
赤璃さまは大袈裟にため息をついた。
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