【本編完結】人形と皇子

かずえ

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こぼれ話

お茶会  成人

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 赤璃あかりさまが俺の部屋を占拠した。俺と緋色ひいろの部屋を。

「お邪魔しまーす。」

 と昼ごはんの後にお茶やジュースを持ち込む。手土産、と言って何かおやつも持っていた。
 部屋の主のはずの緋色ひいろは追い出されて、扉には鍵がかけられる。
 俺と乙羽おとわ緋椀ひまりが呼ばれていて、赤璃あかりさまは寧子やすこさんを連れてきた。寧子やすこさんは長い真っ直ぐな真っ黒い髪の毛で、黒目が大きくて、表情が分かりにくい美人さん。色が白くて細くて背が高い。

「なる、連れてきてあげたわよ。」
「こんにちは。お招きありがとうございます。成人なるひとさま、先日は失礼致しました。」

 よ、呼んでないけど?

「話したかったんでしょ?」
「うーん。」
「え?何、その反応。違うの?」
「うーん。」
「姉上。また、見切り発車……。」

 緋椀ひまりが呆れた顔で呟く。でも、確かに謝りたかったかも。

寧子やすこさん、ごめんなさい。」

 ぺこりと頭を下げる。

「何がですか?」

 寧子やすこさんが無表情に首を傾げている。

「とりあえず、座りましょ。」

 赤璃あかりさまは絨毯が敷かれた場所にさっさと移動して、ソファに座った。寧子やすこさまも連れて、隣に座らせている。……俺の部屋なんだけどね。
 俺と乙羽おとわは絨毯の上にぺたんと座った。気に入りの大きなクッションにもたれ掛かる。もちろん、くまも引き寄せる。緋椀ひまりは、溜め息を吐きながら一人がけのソファに座った。

赤虎せきとらが嫌いだから、よろしくしないって言ってごめんね。」
「ああ、いえ。聞いております。成人なるひとさまは赤虎せきとらさまに銃で撃たれたのでしょう?嫌われて当然です。酷いことを。」
「んーん、違う。」

 俺は敵だったし、撃たれたりは仕方ない。そんなこともある。そうじゃなくて。赤虎せきとらを嫌いなのは。

緋色ひいろを怒らせるから嫌い。」
「え?そうなの?」
「うん。緋色ひいろが困ることするから駄目。」
「なるが、痛いことされたから嫌いなんじゃないの?」
「んーん。」

 赤璃あかりさまの言葉に首を傾げる。そんなのは別に何ともないけど。

「そうなんだ。」
「そうよねえ。好きな人を困らせる人は、あんまり好きになれないわ。」

 黙って温かいお茶を飲んでいた乙羽おとわが頷く。

「でも、寧子やすこさんの一番好きな人を嫌いって言ってごめんね。」

 婚約してるんだから、赤虎せきとらが好きなんだよなあ。俺が誰かに、緋色ひいろのこと嫌いって言われたら嫌な気持ちだと思うから、やっぱりごめん。

「一番好きな人?どなたが?」
赤虎せきとらでしょ?」
「いえ。特別そのような感情はございませんが?」

 ん?あれ?
 どゆこと?
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