【本編完結】人形と皇子

かずえ

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第四章 西からの迷い人

39 惚れ直す  成人

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 注目を浴びた女の子の目が見開かれて、二度まばたきをした。そのまますべてを諦めたように項垂れる。

「何か言い残すことはあるか。」

 朱実あけみ殿下の言葉に、女の子の口から布が取られた。
 返事は無い。
 自害する気力も無いようだ。
 普段から物を噛んでも毒が出ないようなものなのだろうから、よほど強く衝撃を加えなければ死ねないのだろう。

「では、警備隊に渡しておいて。後は任せる。」
「よし、わしが行こう。」

 じいじが女の子を、ひょいと肩に担いで出ていった。

緋色ひいろ九鬼くきに攻めこむのはやめてくれ。あそこは小国の要だ。周辺の細々した領地にも目を光らせてくれている。私には必要なものだ。」
「……あまりのくだらなさに気が削がれた。わざわざ行くのも面倒くさい。」
「助かるよ。半助はんすけ、すべては壱臣いちおみが生きていると困る一二三ひふみの差し金ということでいいのかな。あまりにも全てがお粗末だが。」
「はい。一二三ひふみさまの母親の差し金でしょう。一二三ひふみさまも高校を卒業して成人扱いのはずです。知らぬ存ぜぬではすみません。」
「そいつは潰す。」

 朱実あけみ殿下は、いつもの何を考えてるか分からない笑い方じゃなく、にっこり笑った。

緋色ひいろの好きにしていい。ただし、赤虎せきとらの結婚式は壊しちゃ駄目だ。」
「ちっ。」
寧子やすこのためだよ。恙無く終わらせてあげたい。」

 寧子やすこさんのため。それは、成功させてあげないとね。結婚式は、誓いをしたよって皆にお知らせできて、幸せだから。
 俺が、うんうんと頷いていると、緋色ひいろがこちらを見てから半助はんすけに視線をやり、最後に朱実あけみ殿下の方を向いて真剣な顔をした。

「式までに終わらせる。」
「了解。任せる。」

 緋色ひいろ、格好いい!
 
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