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第四章 西からの迷い人
71 御前会議 6 赤璃
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解散、となってもすぐに立ち上がる者はなく、あちらこちらから話が聞こえてくる。
「それにしても、緋椀が結婚していたのを知りませんでした。あいつから聞いてませんよ?お祝いを渡さないと。」
八条の若当主は、緋椀と同級の友人である。お兄さまに、砕けた様子で話しかけている。
「正式発表があるまで、知らなかったことにしてやってくれないか。同性だからと、結婚する気は無かったようなんだ。」
「ああ、そういうの気にしそうですね。付き合うことになるまでも長そう。相手の方、頑張りましたねえ。」
「はははっ、流石に緋椀のことを良く分かってるな。相手も、緋椀の側にいられればいいという感じの男だから、成人さまがいなければ、結婚していなかったかもしれないなあ。」
「成人さま、ですか?」
「ああ。相手のことを一番好きで、ずっと一緒にいると決めてるのは、結婚の約束なんだと言われたらしい。」
「へええ。」
八条の若当主、宝は興味を引かれたようになるを見る。
「ご挨拶してきます。」
と立ち上がった。お兄さまの元には四条が話をしに近寄ってくる。
ノックの音の後、部屋の戸が開いて生松が戻ってきた。部屋の様子を見て、朱実の元へまっすぐ向かってくると礼を取る。
「朱実殿下、遅くなりました。会議を抜けてしまい、申し訳ございません。」
「いや、構わない。娘はどうだ?」
「は。栄養失調です。」
「栄養失調?」
朱実が、驚いた声を上げる。珍しいことだ。でも、気持ちは分かる。皇家に継ぐ家柄だった三条の娘が、養女とはいえ、栄養失調だなんて!
「ええ。だいぶ長いこと食事の制限を受けて、食事を摂ることに罪悪感すら覚えてしまっているようです。口当たりのよいものを摂らせても、食べた後吐こうとしますし、口に入れる前に震えます。」
「どういうことだ?」
「彼女が言うには、私の皇子様は小さくて細い子が好みだから、大きくなってはいけないのだそうです。せっかく皇子様のお嫁さんに選ばれたのだから、お好みの容姿でいなくてはいけない。もともと、候補の中で一番小さくて細いから選んでもらえたのだと誇らしげに言っておりました。食べたら大きくなってしまうから、食べてはいけない、と教えてもらったのだそうです。」
「…………。」
もう、何に突っ込めば良いのか分からなかった。呆然と座り込んでいる三ノ瀬嗣永を見る。
小さくて細い子が好み?
馬鹿な男。
緋色にあてがうために、自分の庶子の中から一番小さくて細い子を選んで養女にし、教育を施して連れてきたのか。あの子は保護して、入院治療するしかないだろう。心を、体を。
そして、もし嗣永の息子が、不祥事を起こした父に代わり、新しい当主としてこの度の不始末に誠実に対応したとして、三条の名を取り戻せる可能性は限りなくゼロに近くなってしまった。
どうして?
どうして、自ら赤虎との縁を切っておいて、緋色との縁に執着したのか。彼にしたら、より良い選択をしたつもり、だったのだろうか。
緋色は、小さくて細い子が好きなのではない。
なるが好きなのだ。
どうして分からないのか。
私には、嗣永のことを、どうしても理解することはできなかった……。
「それにしても、緋椀が結婚していたのを知りませんでした。あいつから聞いてませんよ?お祝いを渡さないと。」
八条の若当主は、緋椀と同級の友人である。お兄さまに、砕けた様子で話しかけている。
「正式発表があるまで、知らなかったことにしてやってくれないか。同性だからと、結婚する気は無かったようなんだ。」
「ああ、そういうの気にしそうですね。付き合うことになるまでも長そう。相手の方、頑張りましたねえ。」
「はははっ、流石に緋椀のことを良く分かってるな。相手も、緋椀の側にいられればいいという感じの男だから、成人さまがいなければ、結婚していなかったかもしれないなあ。」
「成人さま、ですか?」
「ああ。相手のことを一番好きで、ずっと一緒にいると決めてるのは、結婚の約束なんだと言われたらしい。」
「へええ。」
八条の若当主、宝は興味を引かれたようになるを見る。
「ご挨拶してきます。」
と立ち上がった。お兄さまの元には四条が話をしに近寄ってくる。
ノックの音の後、部屋の戸が開いて生松が戻ってきた。部屋の様子を見て、朱実の元へまっすぐ向かってくると礼を取る。
「朱実殿下、遅くなりました。会議を抜けてしまい、申し訳ございません。」
「いや、構わない。娘はどうだ?」
「は。栄養失調です。」
「栄養失調?」
朱実が、驚いた声を上げる。珍しいことだ。でも、気持ちは分かる。皇家に継ぐ家柄だった三条の娘が、養女とはいえ、栄養失調だなんて!
「ええ。だいぶ長いこと食事の制限を受けて、食事を摂ることに罪悪感すら覚えてしまっているようです。口当たりのよいものを摂らせても、食べた後吐こうとしますし、口に入れる前に震えます。」
「どういうことだ?」
「彼女が言うには、私の皇子様は小さくて細い子が好みだから、大きくなってはいけないのだそうです。せっかく皇子様のお嫁さんに選ばれたのだから、お好みの容姿でいなくてはいけない。もともと、候補の中で一番小さくて細いから選んでもらえたのだと誇らしげに言っておりました。食べたら大きくなってしまうから、食べてはいけない、と教えてもらったのだそうです。」
「…………。」
もう、何に突っ込めば良いのか分からなかった。呆然と座り込んでいる三ノ瀬嗣永を見る。
小さくて細い子が好み?
馬鹿な男。
緋色にあてがうために、自分の庶子の中から一番小さくて細い子を選んで養女にし、教育を施して連れてきたのか。あの子は保護して、入院治療するしかないだろう。心を、体を。
そして、もし嗣永の息子が、不祥事を起こした父に代わり、新しい当主としてこの度の不始末に誠実に対応したとして、三条の名を取り戻せる可能性は限りなくゼロに近くなってしまった。
どうして?
どうして、自ら赤虎との縁を切っておいて、緋色との縁に執着したのか。彼にしたら、より良い選択をしたつもり、だったのだろうか。
緋色は、小さくて細い子が好きなのではない。
なるが好きなのだ。
どうして分からないのか。
私には、嗣永のことを、どうしても理解することはできなかった……。
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