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第五章 それは日々の話
22 三郎のパンツ 成人
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三郎が初めてのお給料をもらった、そのすぐ後の休日。
「成人さま。三郎を商店街へ連れていってあげてください」
と、水瀬に頼まれた。
「パンツとシャツ、靴下、休日の服、寝間着を買ってきてください。いいですか?パンツとシャツと靴下はできれば五つほど。休日の服と寝間着は二セットはいりますよ。冬は洗濯物がなかなか乾かないですから」
三郎は、すっかり馴染んでいるので忘れてたけど、赤虎と寧子さんの結婚式のちょっと前に、上等な羽織袴で離宮に夜ご飯を食べに来て、そのままここにいるので、何にも持っていなかった。弐角と才蔵が緋色に頼まれて、三郎の泊まってた宿から着替えを抜き取って届けてくれたけど、失踪したことにしたいから気付かれないようにと少しだけだった。
九鬼のお城に行ったときも、失踪したことにするからと自分のパンツ持ってこれなかった、らしい。
失踪ってなんだ?と調べた。青葉さんに辞書をもらったんだ。力丸が小さいときに使ってたけど、もう使わないからあげるって。俺のになったから、力丸の名前を消して、なるひとって書いた。俺の辞書は、知らない言葉が知ってる言葉に直して書いてある。便利。直した言葉も分からなかったら、それも調べる。どんどん分かってすごい。
失踪は、行方知れずになること。生死も不明。一二三は、行方知れずになって、生きてるか死んでるかも分からないってことになったらしい。で、三郎になった。ふーん……。
そんなわけで、パンツだ。力丸も村次も休みじゃなくて、二人で行くことになった。あ、じいやはもちろん一緒だから三人ね。俺もお給料もらったから、少し持って行こう。最近は赤璃さまの髪に美容液を塗るのがお仕事だったので、赤璃さまにお給料をもらった。
久しぶりの商店街は今日もいつも通り。
「なる坊、久しぶりだなあ」
「清さん、こんにちは。旅行してた」
「ちゃんと食ってたか?」
「壱臣も一緒に行った」
「なら安心だ」
八百屋の清さんもいつも通り。
「新しい友だちか?」
「はじめまして。三郎と申します」
「こりゃ、ご丁寧に。八百屋の清ってんだ、よろしくな。あんたも西の訛りがあるなあ」
「三郎は壱臣の弟」
「なんだ、そうなのかい。西から来たのか?壱臣さんは慕われてるなあ」
「三郎は壱臣が大好き」
「あ、いえ。いや、まあ、はい……」
「そりゃ良かった。壱臣さんも喜んでるだろ」
「いや、それは……」
「うん」
「今日は店番してくか?」
「んーん、三郎のパンツ買うの」
「ちょ、成人さま、そんな大きな声で……」
「わはは。またか」
そう、またです。壱臣のパンツも前に、買いに来たもんね。
清さんはお客さんの相手もしながら、いってらっしゃい、と手を振って見送ってくれた。
「成人さま。三郎を商店街へ連れていってあげてください」
と、水瀬に頼まれた。
「パンツとシャツ、靴下、休日の服、寝間着を買ってきてください。いいですか?パンツとシャツと靴下はできれば五つほど。休日の服と寝間着は二セットはいりますよ。冬は洗濯物がなかなか乾かないですから」
三郎は、すっかり馴染んでいるので忘れてたけど、赤虎と寧子さんの結婚式のちょっと前に、上等な羽織袴で離宮に夜ご飯を食べに来て、そのままここにいるので、何にも持っていなかった。弐角と才蔵が緋色に頼まれて、三郎の泊まってた宿から着替えを抜き取って届けてくれたけど、失踪したことにしたいから気付かれないようにと少しだけだった。
九鬼のお城に行ったときも、失踪したことにするからと自分のパンツ持ってこれなかった、らしい。
失踪ってなんだ?と調べた。青葉さんに辞書をもらったんだ。力丸が小さいときに使ってたけど、もう使わないからあげるって。俺のになったから、力丸の名前を消して、なるひとって書いた。俺の辞書は、知らない言葉が知ってる言葉に直して書いてある。便利。直した言葉も分からなかったら、それも調べる。どんどん分かってすごい。
失踪は、行方知れずになること。生死も不明。一二三は、行方知れずになって、生きてるか死んでるかも分からないってことになったらしい。で、三郎になった。ふーん……。
そんなわけで、パンツだ。力丸も村次も休みじゃなくて、二人で行くことになった。あ、じいやはもちろん一緒だから三人ね。俺もお給料もらったから、少し持って行こう。最近は赤璃さまの髪に美容液を塗るのがお仕事だったので、赤璃さまにお給料をもらった。
久しぶりの商店街は今日もいつも通り。
「なる坊、久しぶりだなあ」
「清さん、こんにちは。旅行してた」
「ちゃんと食ってたか?」
「壱臣も一緒に行った」
「なら安心だ」
八百屋の清さんもいつも通り。
「新しい友だちか?」
「はじめまして。三郎と申します」
「こりゃ、ご丁寧に。八百屋の清ってんだ、よろしくな。あんたも西の訛りがあるなあ」
「三郎は壱臣の弟」
「なんだ、そうなのかい。西から来たのか?壱臣さんは慕われてるなあ」
「三郎は壱臣が大好き」
「あ、いえ。いや、まあ、はい……」
「そりゃ良かった。壱臣さんも喜んでるだろ」
「いや、それは……」
「うん」
「今日は店番してくか?」
「んーん、三郎のパンツ買うの」
「ちょ、成人さま、そんな大きな声で……」
「わはは。またか」
そう、またです。壱臣のパンツも前に、買いに来たもんね。
清さんはお客さんの相手もしながら、いってらっしゃい、と手を振って見送ってくれた。
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