【本編完結】人形と皇子

かずえ

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第六章 家族と暮らす

138 見可のたこ焼き、灯可のたこ焼き  成人

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「できたー!」

 見可みかの大きな声に、拍手が上がる。誕生日の人の紹介が終わって、プレゼント渡しが済んだ後、張り切ってたこ焼きを焼いていたんだ。
 見可みかは小さいから、踏み台に乗って真剣な顔で焼いていた。自分でするよりどきどきしたよ。見守るって大変なんだな。手も口も出したくなるけど、静かに、上手くいきますようにって思いながら見てるのは、大変だった。上手くいったら、ふーって息を吐いちゃうくらいに。
 もしかして、真剣に見すぎて息を止めてたのかも。
 緋色ひいろが、俺のお腹に回した手をぽんぽんと動かす。振り返ったら、俺を見て楽しそうに笑っていた。

緋椀ひまり父さま、誕生日おめでとう!」

 見可みかの初めて焼いたたこ焼きは、誕生月の緋椀ひまりに渡されて、緋椀ひまりがふわ~と笑いながら受け取った。
 上手な丸いたこ焼きだった。

「ありがとう、見可みか。とても嬉しい」

 笑う緋椀ひまりが、あんまり綺麗で見惚れちゃった。あんな笑い方をする緋椀ひまりは初めて見た。
 見可みかは、嬉しくてぴょんぴょん跳ねて、鉄板の回りで跳ねてはいけません、と村次むらつぐに怒られた。皆で笑った。上手に作るとこまでは、いい子だったのになあ。でも、危ないことは注意しなくちゃいけない。怪我するからね。

「ごめんなさい」
「はい。次からは、気を付けてくださいね」
「はい!」

 ちゃんと謝ったし、気を付けるなら次また、焼いてもいいってことだ。良かったな、見可みか見可みかの他のお皿は、作治さくじと自分の分と、何故か村次むらつぐに渡された。

「味見してください、師匠」
「へ?」

 村次むらつぐ、師匠だったの?師匠は、先生とおんなじ意味だよね。村次むらつぐ広末ひろすえのことを、たまに師匠って呼ぶ。

「おお。村次むらつぐに弟子ができた」
「えええ?俺ですか?」

 広末ひろすえが大笑いして、見可みかが真剣な顔で頷く。

「俺、もっともっと上手になったら、師匠の師匠みたいに手妻てづまも覚えたい」
見可みかさま。俺は料理してるだけですけど」

 見可みか、自分で焼けるようになってもまだ、広末ひろすえのたこ焼き作りは手妻みたいだと思ってるんだ。速いもんねえ。

灯可とうかさまの焼いたのは、九条のじいじがもらってもええかの?」

 見可みかと一緒に焼いていた灯可とうかに、じいじが声をかけた。灯可とうかはできた後、静かにお皿三つに並べていたけれど、誰にも渡していなかった。

「あの、あんまり上手にできなくて……」
「よいよい。見た目など大した問題じゃないわい」

 そうか。灯可とうかはあんまり上手にできなかったのか。気にしなくても、大丈夫だよ。乙羽おとわ鼓与ことも、丸めるのあんまり上手じゃないけど、もらった常陸丸ひたちまる村次むらつぐは、美味しいって食べてた。
 プレゼントにお酒をたくさんもらったじいじはご機嫌で、灯可とうかから受け取ったたこ焼きを食べながら、お酒をちびちび飲んでいる。

「いやあ、この年齢としになっても、誕生日は嬉しいのう、めでたい!灯可とうかさま、旨いぞ」
「はい、良かったです」

 ちょっと笑った灯可とうかが、隠していたお皿を緋色ひいろに渡す。

緋色ひいろ殿下。あんまり上手じゃないんですけど」
「おう。約束してたからな。もらうぞ」
「はい、次はもっと上手くできるように頑張ります」
「気にすんな。味がよけりゃ問題ない」
「はい」

 灯可とうかにも苦手なことがあるんだな、とちょっと思った。
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