【本編完結】人形と皇子

かずえ

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第七章 冠婚葬祭

23 七月のお誕生日会準備  成人

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 今日は、朝から灯可とうか見可みかが来て、お誕生日会の会場の飾りを作るのを手伝ってくれている。飾り付けはお昼ご飯の後。遊びながら作れて楽しい。
 今日は緋見呼ひみこさまが二人を連れてきたので、ご挨拶をしながらまじまじと顔を見てしまった。

「やあね、なる。どうした?」

 少し照れる顔も綺麗。
 うーん。

「今日も綺麗ね」
「もー、この子は。そういうとこじゃよ、そういうとこ!」

 どういうとこ?

「お祖母ばあさま、どういうとこ?」

 見可みかが聞いてくれた。ありがと。

「子どもには難しいかのう」

 え?俺も見可みかと一緒なの?

「お祖母ばあさまも、成人なるひとさまのことがお好きなのですね」
「あら、灯可とうか。生意気じゃの」
「褒め言葉と受け取っておきます」
「やあね、この子は」

 灯可とうか緋見呼ひみこさまが、皇族の笑みを交わしている。なんで灯可とうかもできるの、それ?
 俺に分かったのは、やっぱり緋見呼ひみこさまには、絵本に出てくるおばあさんの特徴は何にも無いってことだけだった。

 お昼過ぎ、食堂の飾り付けを三人でしていたら、斑鹿乃むらかの末良すえよしを連れてやってきた。緋見呼ひみこさまが座っているのを見て、びっくり飛び上がっている。

「ひ、ひ、緋見呼ひみこさま。ご無礼致しました。錫ヶ瀬すずがせ斑鹿乃むらかのと申します。こちらは一子末良すえよしにございます」
「よい。私に包拳礼は無用ぞ。本日は同じ子守り同士、よろしゅうな」
「は、はは」

 斑鹿乃むらかのはもう皇族でない緋見呼ひみこさまに、うっかり包拳礼しちゃった。うん、分かるよ。緋見呼ひみこさまって、自然に頭を下げちゃう何かが出てるよね。

「可愛いの、末良すえよし。こっちゃ来い」

 末良すえよしは、見慣れない人に手招きされて、困ったように回りを見回した。

すえ、ほら。緋見呼ひみこさまが、いらっしゃいと言ってくださっていますよ」

 斑鹿乃むらかの末良すえよしの体を緋見呼ひみこさまの方に押そうとする。末良すえよしは、いやいやと首を振った。それから俺を見つけて、にこーと笑った。
 ああもう、可愛い。

「なうしゃ!」

 とてとてとて、と歩いてくる。

末良すえよし。来たの?」

 と、手を広げると飛び込んで来てくれた。

「しゃべった」
「歩いた」

 灯可とうか見可みかが驚いている。
 ふふん。小さくても、もう何でもできるよ。

「ああー。お花が!」

 末良すえよしが、近くに置いてあったお花の飾りを素早く手に持って、そのまま口に入れようとするのを、見可みかがひょいと取り上げた。

「ああー。めっ。めっ」
「食べたら駄目ー。ああ、握ったところがぐしゃぐしゃ。めっはこっちの台詞だよ」

 見可みかが、お兄さんみたいに見えるな。
 俺は灯可とうかと顔を見合わせて笑った。
 よし、末良すえよしから飾りを守りながら、綺麗に飾るぞー。おー。

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