【本編完結】人形と皇子

かずえ

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第七章 冠婚葬祭

42 重大発表の反応は  成人

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「あの、大事なお話を伝えに来ました」

 緋椀ひまり灯可とうか見可みかが、向かい側のソファに座って俺を見ている。
 ああ、どきどきするなあ。見可みかはきっと、とても喜ぶ。それを伝える素敵な役目を、俺がもらってしまって良かったのかな。
 うん。いいはず。だって緋見呼ひみこさまは俺の役目だと言っていたし、茉璃まつりにも正式に頼まれた。
 よし。

茉璃まつりのお腹に、赤ちゃんが来ました」
「……」
「……」

 あれ?
 灯可とうか見可みかも何も言わない。
 あれ?
 聞こえなかった?
 もう一回言う?
 困って緋椀ひまりを見たら、にこにこ笑って頷いてくれた。
 聞こえてるってこと?

「ああ。それで……」

 灯可とうかが、ふうと息を吐いた。

「それで最近、母上は……。そう。そうですか」

 ちょっと笑う。それから俺を見て、にっこりした。
 うん。良かった。笑ってる。

「あ、赤ちゃん?」

 あ、見可みかが動いた。目を合わせて、うんうんと頷く。

「赤ちゃんが、母上のお腹に?」
「うん、来たよ。見可みかの赤ちゃん」
「やったー。俺の赤ちゃん来たー!妹、やっと来たかー」
見可みかの赤ちゃんではないけどな」
見可みかの赤ちゃんではないな」

 見可みかがソファから立ち上がって、ぴょんぴょん跳ねた。灯可とうか緋椀ひまりがすぐに押さえて座らせながら、おんなじことを言う。
 そうか。見可みかの赤ちゃんではないのか。

灯可とうかの赤ちゃんでもあるから?」

 見可みかだけの赤ちゃんではない?

「まあ、正確に言うと、父上と母上の赤ちゃんですかね?」
「うちの子、でいいのではないかな」
「そうですね。うちの赤ちゃんです」
「うわあ、うわあ、そうかあ。やっと来たかー。待たせすぎなんだよなー。そうかあ。赤ちゃんかあ。俺のこと、兄上って呼ぶんだよなあ。うひひ。俺、兄上」

 茉璃まつりの赤ちゃん。うちの赤ちゃん。一条の赤ちゃん。色々呼び名はあるけど、きっと見可みかは、俺の赤ちゃんって言って回るんだろう。いいねえ。兄上か。

「私が兄上なのだから、見可みかのことも兄上と呼ぶと、どちらを呼んでいるか分からなくなる」
「じゃあ兄上は、おお兄上にでもなればいい」
「おお兄上?なんだそりゃ」
「大きい兄上」
「ならお前は、ちい兄上だ」
「はあ?兄上をおお兄上にするから、俺は兄上でいいんですう」
「私が兄上のままなのだから、見可みかをちい兄上にしたらいいだろう?」
「小さいのちいなんてやだよ。俺は小さくない」
「私に比べたら小さい」
「兄上の背なんて、すぐ追い抜くから、そうしたら兄上がちい兄上になれよ」
「はあ?それこそ、どちらを呼んでいるか分からないだろうが」
「こらこら、お客様の前でまたお前たちは」

 灯可とうか見可みかがまた、二人で言い争いを始めてしまった。でも、楽しそう。これは赤ちゃんが生まれてくるのがとっても楽しみってことだから、たくさん話せばいいと俺は思うんだ。
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