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第七章 冠婚葬祭
146 朝の挨拶 緋色
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「緋色、おはよ!結婚式だ」
早いな……。
普段から少し掠れ気味だから、朝は更に掠れている声が弾んでいる。俺をそんな声量で起こせるのはお前くらいのもんだ。寝起きの水を飲め。こまめな水分補給をしないとお前の体はすぐに萎びるぞ……。
「緋色。朝だよ」
「んん」
うつらうつらと、心地好い声を堪能する。
成人の、少し掠れた高めの声が好きだ。
俺の体を揺する、小さく細い手が好きだ。
「もー」
昨夜はいつもより寝るのが遅かった割りに元気だな。あれか。楽しみなことがあると興奮して寝られないってやつか。そんな風に、何かを楽しみにするようになったのか。
それにしても、まだ早いんじゃないか……。もう少し……。
寝直そうとする頬に、気持ちいいものが触れた。なかなか良い目覚ましだ。
「おはようのちゅー」
そう言って離れていこうとする小さな頭を捕まえる。
「ちゅうは、ここだろ」
自分の声も掠れているな、と思いながら唇を合わせた。成人は嬉しそうに何度かちゅ、ちゅ、と唇を合わせてから、にゃあと離れていく。
にゃあ?
「今日はお休みじゃないからおしまい」
「残念」
早く寝ようが遅く寝ようが、起きる時はまだまだ眠いことが多い。熟睡できたかどうかなど関係なく、早起きは苦手なのだ。そういうものなのだから、仕方ない。
子どもの頃は城では、ぐっと我慢して口を閉じて起きていた。まだ眠い、と言うと医師まで呼ばれる大事になって大変だと学んだからだ。そういう事じゃない。ただ、もう少し寝たかっただけだ。
泉門院の家では、まだ眠いと文句を垂れると、青葉が少しの間優しく抱き上げてくれた。その時間が欲しかったのかもな。そんな小さな頃の感情なんて覚えちゃいないが。
少し大きくなるとそうされることも気恥ずかしく、さりとて寝起きが良くなる訳でもなくて、布団に立てこもった。遠慮のない家族に布団を引っぺがされ、自分の機嫌が悪いんだか良いんだか分からない気分になったものだ。城でずっと暮らしていたら、我慢はどこまで持っただろうか。
結局、いつか飛び出していた気がする。
こんなにすんなり起きられる日々が来るとはなあ。
体を起こして、ぐんと伸びをする。
「おはよ、緋色」
「おはよう、成人」
「今日も大好き」
「知ってる」
嬉しそうに笑う顔に、思わず目を細めた。
「俺も、好きだ」
「ふふ」
ふふ、という笑い方も好きだ。
「知ってる」
俺の口調がうつってきているところも好きだ。
早いな……。
普段から少し掠れ気味だから、朝は更に掠れている声が弾んでいる。俺をそんな声量で起こせるのはお前くらいのもんだ。寝起きの水を飲め。こまめな水分補給をしないとお前の体はすぐに萎びるぞ……。
「緋色。朝だよ」
「んん」
うつらうつらと、心地好い声を堪能する。
成人の、少し掠れた高めの声が好きだ。
俺の体を揺する、小さく細い手が好きだ。
「もー」
昨夜はいつもより寝るのが遅かった割りに元気だな。あれか。楽しみなことがあると興奮して寝られないってやつか。そんな風に、何かを楽しみにするようになったのか。
それにしても、まだ早いんじゃないか……。もう少し……。
寝直そうとする頬に、気持ちいいものが触れた。なかなか良い目覚ましだ。
「おはようのちゅー」
そう言って離れていこうとする小さな頭を捕まえる。
「ちゅうは、ここだろ」
自分の声も掠れているな、と思いながら唇を合わせた。成人は嬉しそうに何度かちゅ、ちゅ、と唇を合わせてから、にゃあと離れていく。
にゃあ?
「今日はお休みじゃないからおしまい」
「残念」
早く寝ようが遅く寝ようが、起きる時はまだまだ眠いことが多い。熟睡できたかどうかなど関係なく、早起きは苦手なのだ。そういうものなのだから、仕方ない。
子どもの頃は城では、ぐっと我慢して口を閉じて起きていた。まだ眠い、と言うと医師まで呼ばれる大事になって大変だと学んだからだ。そういう事じゃない。ただ、もう少し寝たかっただけだ。
泉門院の家では、まだ眠いと文句を垂れると、青葉が少しの間優しく抱き上げてくれた。その時間が欲しかったのかもな。そんな小さな頃の感情なんて覚えちゃいないが。
少し大きくなるとそうされることも気恥ずかしく、さりとて寝起きが良くなる訳でもなくて、布団に立てこもった。遠慮のない家族に布団を引っぺがされ、自分の機嫌が悪いんだか良いんだか分からない気分になったものだ。城でずっと暮らしていたら、我慢はどこまで持っただろうか。
結局、いつか飛び出していた気がする。
こんなにすんなり起きられる日々が来るとはなあ。
体を起こして、ぐんと伸びをする。
「おはよ、緋色」
「おはよう、成人」
「今日も大好き」
「知ってる」
嬉しそうに笑う顔に、思わず目を細めた。
「俺も、好きだ」
「ふふ」
ふふ、という笑い方も好きだ。
「知ってる」
俺の口調がうつってきているところも好きだ。
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