1,048 / 1,325
第九章 礼儀を知る人知らない人
5 返信 成人
しおりを挟む
「返信を預かって参りました」
じいやから差し出されたのは、成人様と宛名が書かれた封筒だった。白地に、薄い黄色の花びらが少しだけ散っていて、とても綺麗。宛名も、筆で書かれているけど崩されてない文字で、読みやすかった。ひっくり返して後ろを見ると、各務鶴丸、松吉、亀吉、と書いてある。鶴丸たちの名字は確か、かがみって言ってたな。こんな漢字を書くのか。これでかがみって読むのか。よし。次に手紙を書く時は、これをお手本に名前を全部漢字で書こう。綺麗でとても見やすい字だから好きだ。
「これ、鶴丸の字?」
「いえ。松吉さまが書いていらっしゃいました」
「松吉の字かあ。綺麗」
じいやは、にこって笑う。
「ええ。お人柄がよく表れているような伸びやかな文字ですね」
「へえ?」
うんうんと頷く俺の後ろで緋色が言った。今日は緋色はお城で仕事の日なのに、お昼ご飯を食べに帰ってきて食べた後、まだ俺のお部屋にいる。俺を後ろから抱っこして、お城に戻りたくなーい、とぶつぶつ文句を言っていた。そんな時に、じいやが手紙を持ってお部屋に来たんだ。
じいや、一昨日のお休みの日に、明日は少し出かけてきますって言ってからいなかったんだよね。鶴丸たちのおうちに手紙を届けに行ってたのか。ずるい。
「俺も行きたかった」
封筒を開けるためのナイフを手に持って言ったら、じいやがまたふふっと笑った。絶対、すごく楽しかったんだよ。じいや、いつもよりずっとにこにこだ。
「思いつきで行くには、なかなかの距離でございました」
「遠い?」
「ええ」
「むー。そうか」
じいや、昨日のうちに帰ってこなかったもんね。今日も、もう昼過ぎてるし。
手紙の封を開けようと、無い左手の代わりの押さえるものを探していたら、後ろから伸びてきた緋色の手が封筒を押さえてくれた。
「あ。ありがと」
「おう」
前は、片手じゃ危ないってナイフと手紙を取られて緋色に開けられてしまってたけど、今はこうして押さえてくれるから俺でもできる。ふふ。俺がやりたいって何回も言ってよかった。緋色、ちゃんと考えてくれた。
「遅かったな」
「西賀の領主と、少々話が盛り上がりまして。泊まって行け、とのお言葉に甘えることと致しました」
「はは。突然の皇家からの使者に、泊まって行けって?あれらの親だけあるな」
中の文字も、宛名と同じで崩してなかった。よかった、読める。文章も分かりやすい。
「あ。やった。来てくれるって」
「そうか。良かったな」
「その日に帰るのは無理だから、お泊まりできる所を教えてくださいって書いてある。予約するって」
「何日でも離宮に泊まっていけ、と返事を出したらどうだ?」
そうだよ。離宮に泊まればいい。お部屋はいっぱいあるし、じいやでもお泊まりしてから帰ってくるくらい遠いんだから、前の日に来たらいい。それで、ゆっくり遊んで、次の日か次の次の日に帰ればいいんだよ!
「そうする!」
じいやから差し出されたのは、成人様と宛名が書かれた封筒だった。白地に、薄い黄色の花びらが少しだけ散っていて、とても綺麗。宛名も、筆で書かれているけど崩されてない文字で、読みやすかった。ひっくり返して後ろを見ると、各務鶴丸、松吉、亀吉、と書いてある。鶴丸たちの名字は確か、かがみって言ってたな。こんな漢字を書くのか。これでかがみって読むのか。よし。次に手紙を書く時は、これをお手本に名前を全部漢字で書こう。綺麗でとても見やすい字だから好きだ。
「これ、鶴丸の字?」
「いえ。松吉さまが書いていらっしゃいました」
「松吉の字かあ。綺麗」
じいやは、にこって笑う。
「ええ。お人柄がよく表れているような伸びやかな文字ですね」
「へえ?」
うんうんと頷く俺の後ろで緋色が言った。今日は緋色はお城で仕事の日なのに、お昼ご飯を食べに帰ってきて食べた後、まだ俺のお部屋にいる。俺を後ろから抱っこして、お城に戻りたくなーい、とぶつぶつ文句を言っていた。そんな時に、じいやが手紙を持ってお部屋に来たんだ。
じいや、一昨日のお休みの日に、明日は少し出かけてきますって言ってからいなかったんだよね。鶴丸たちのおうちに手紙を届けに行ってたのか。ずるい。
「俺も行きたかった」
封筒を開けるためのナイフを手に持って言ったら、じいやがまたふふっと笑った。絶対、すごく楽しかったんだよ。じいや、いつもよりずっとにこにこだ。
「思いつきで行くには、なかなかの距離でございました」
「遠い?」
「ええ」
「むー。そうか」
じいや、昨日のうちに帰ってこなかったもんね。今日も、もう昼過ぎてるし。
手紙の封を開けようと、無い左手の代わりの押さえるものを探していたら、後ろから伸びてきた緋色の手が封筒を押さえてくれた。
「あ。ありがと」
「おう」
前は、片手じゃ危ないってナイフと手紙を取られて緋色に開けられてしまってたけど、今はこうして押さえてくれるから俺でもできる。ふふ。俺がやりたいって何回も言ってよかった。緋色、ちゃんと考えてくれた。
「遅かったな」
「西賀の領主と、少々話が盛り上がりまして。泊まって行け、とのお言葉に甘えることと致しました」
「はは。突然の皇家からの使者に、泊まって行けって?あれらの親だけあるな」
中の文字も、宛名と同じで崩してなかった。よかった、読める。文章も分かりやすい。
「あ。やった。来てくれるって」
「そうか。良かったな」
「その日に帰るのは無理だから、お泊まりできる所を教えてくださいって書いてある。予約するって」
「何日でも離宮に泊まっていけ、と返事を出したらどうだ?」
そうだよ。離宮に泊まればいい。お部屋はいっぱいあるし、じいやでもお泊まりしてから帰ってくるくらい遠いんだから、前の日に来たらいい。それで、ゆっくり遊んで、次の日か次の次の日に帰ればいいんだよ!
「そうする!」
1,400
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
【完結 一気読み推奨】片想いの相手が「そろそろ恋愛したい」と言ったので、用済みの俺はニートになることにしました。
はぴねこ
BL
高校生の頃、片想いの親友に告白した。
彼はノンケだったから玉砕して友人関係も終わるものだと思っていた。
もしかすると気持ち悪いと軽蔑される覚悟までしていたのに、彼は「今は恋愛をしている時間がないんだ」と自分の夢を語ってくれた。
彼は会社を興した祖父のことをとても尊敬していて、自分も起業したいと熱く語ってくれた。
そして、俺の手を握って「できれば親友のお前には俺の右腕になってほしい」と言われた。
同性愛者の俺のことを気持ち悪いと遠ざけることもせずに、親友のままでいてくれた彼に俺は感謝して、同じ大学に進学して、大学の頃に彼と一緒にゲームを作成する会社を起業した。
あれから二十年間、本当に二人三脚で駆け抜けてきた。
そして、昨年売り出したVRMMOが世界的に大ヒットし、ゲーム大賞を取ったことを祝うパーティーで親友が語った言葉に俺の覚悟も決まった。
「俺もそろそろ恋愛したい」
親友のその言葉に、俺は、長年の片想いを終わらせる覚悟をした。
不憫な拗らせアラフォーが”愛”へと踏み出すお話です。
【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺
福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。
目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。
でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい…
……あれ…?
…やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ…
前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。
1万2000字前後です。
攻めのキャラがブレるし若干変態です。
無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形)
おまけ完結済み
【bl】砕かれた誇り
perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。
「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」
「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」
「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」
彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。
「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」
「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」
---
いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。
私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、
一部に翻訳ソフトを使用しています。
もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、
本当にありがたく思います。
転生エルフの天才エンジニア、静かに暮らしたいのに騎士団長に捕まる〜俺の鉄壁理論は彼の溺愛パッチでバグだらけです〜
たら昆布
BL
転生したらエルフだった社畜エンジニアがのんびり森で暮らす話
騎士団長とのじれったい不器用BL
【完結】マジで婚約破棄される5秒前〜婚約破棄まであと5秒しかありませんが、じゃあ悪役令息は一体どうしろと?〜
明太子
BL
公爵令息ジェーン・アンテノールは初恋の人である婚約者のウィリアム王太子から冷遇されている。
その理由は彼が侯爵令息のリア・グラマシーと恋仲であるため。
ジェーンは婚約者の心が離れていることを寂しく思いながらも卒業パーティーに出席する。
しかし、その場で彼はひょんなことから自身がリアを主人公とした物語(BLゲーム)の悪役だと気付く。
そしてこの後すぐにウィリアムから婚約破棄されることも。
婚約破棄まであと5秒しかありませんが、じゃあ一体どうしろと?
シナリオから外れたジェーンの行動は登場人物たちに思わぬ影響を与えていくことに。
※小説家になろうにも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる