【本編完結】人形と皇子

かずえ

文字の大きさ
1,075 / 1,325
第九章 礼儀を知る人知らない人

32 ただいま勉強中  成人

しおりを挟む
「ね、あんたいってどういう意味?」

 ご挨拶が終わって、しっかりご飯を食べて、灯可とうか見可みか亀吉かめきちと俺の四人になった時、早速灯可とうかに聞いてみた。あ、四人って言っても、香月かづきや一条、七条の使用人は周りにいるんだけど。一条と七条の使用人は、少し離れて控えてくれている。香月かづきだけちょっと近くにいる。亀吉かめきちは小さいから心配だよね。分かる。
 亀吉かめきちは、ご飯の後で松吉まつきちが、母上のとこおいで、ねんねしようって言ったら、いや! と首を横に振って俺にしがみついてしまった。

亀吉かめきち。後で楽しいことたくさんあるから、ねんねしといたら?」
「ねんねない」

 俺が言っても駄目だった。楽しい時に寝るの勿体ないよね。気持ちはとてもよく分かる。俺も、俺だけ眠くなる時があってちょっと悔しい。

「そっか。じゃ、ねんねしなくていいよ」
「うん」

 俺がすぐに、ねんねしなくていいよって言ったから、亀吉かめきちはますます俺にしがみついた。

「すんません、成人なるひと殿下。その辺で行き倒れて寝てしもたら、そのまんま置いといてもろたらええんで」
「あはは。行き倒れ?」
「ようあるんですよ。眠ない言うてて、急に静かになったな思たら、こてんとその辺で遊び途中で寝てしもとることが」
「あはは。そうなの? 可愛い」
「なんも可愛いことあらへんですよ。せっかく布団敷いて気持ち良う寝れる準備しとんのに、嫌や嫌やばっかりで。ご飯口に入れたまま寝たりもようあるなあ」
「あるある。喉詰まりそうで怖いわー」
見可みかがそうなってるのを、何度も見たことがあります」

 松吉まつきち鶴丸つるまるが言ったことに、灯可とうかも大きく頷きながら続いた。小さいうちは皆やるんやなあと、三人で笑っている。
 ご飯食べながら……。俺も眠くなったことある。最近でもたまにある。小さい子がやることなのか。気を付けよう。疲れたらなるべくお昼寝しよ……。
 亀吉かめきちは小さいので、ねんねしないと言ったらしない。だから、四人で飾り付けする事にした。

「安泰? ああ、さっきの」
「うん」
「あ。俺が聞いたやつ」

 見可みかも知りたいよね。これはもう、聞いておこう。

「多分、文脈的に大丈夫って事だと思いますよ」
「大丈夫」
「はい。一条も七条も、この先も大丈夫、みたいな?」
「何だよ、兄上もあんまり分かってないんじゃん」
「分かってない訳じゃない。あんまり聞き慣れない言葉だったから、上手く説明できないだけだ。でも、だいたいの意味を察することはできるだろ。私がしっかりしてて一条が安泰なんだから、この先も一条は安心とかそういうことだ」

 なるほど、文脈……。文脈? 灯可とうかって、朱実あけみ殿下みたいに難しい言葉使うこと多いよね。俺もまだまだ勉強しなくちゃなあ。

「あの」

 香月かづきがそっと口を挟む。

「安定していて不安がない事、です」
「おお。ありがと」

 つまり、大丈夫ってことか。

灯可とうか、すごい。合ってる」
「ええっと。いえ!今度からは、しっかり調べてからお答えするようにします。すみません」
「え? 大丈夫で合ってるよ。文脈? で合ってたんだよね? 灯可とうかはすごい。本当にすごい。俺も勉強頑張って、灯可とうかみたいに分かるようになるね」
成人なるひとさま……!」

 俺たち、勉強頑張ろね、と灯可とうかと頷き合ってたら、見可みかが言った。

「そうか! 七条も、俺が隊長やるから大丈夫ってことか」

 うん。七条も安泰って言ってもらってたね。見可みかも勉強頑張ろうね。
しおりを挟む
感想 2,498

あなたにおすすめの小説

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺

福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。 目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。 でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい… ……あれ…? …やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ… 前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。 1万2000字前後です。 攻めのキャラがブレるし若干変態です。 無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形) おまけ完結済み

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。

陽七 葵
BL
 主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。  しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。  蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。  だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。  そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。  そこから物語は始まるのだが——。  実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。  素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪

【完結】君のことなんてもう知らない

ぽぽ
BL
早乙女琥珀は幼馴染の佐伯慶也に毎日のように告白しては振られてしまう。 告白をOKする素振りも見せず、軽く琥珀をあしらう慶也に憤りを覚えていた。 だがある日、琥珀は記憶喪失になってしまい、慶也の記憶を失ってしまう。 今まで自分のことをあしらってきた慶也のことを忘れて、新たな恋を始めようとするが…

そばかす糸目はのんびりしたい

楢山幕府
BL
由緒ある名家の末っ子として生まれたユージン。 母親が後妻で、眉目秀麗な直系の遺伝を受け継がなかったことから、一族からは空気として扱われていた。 ただ一人、溺愛してくる老いた父親を除いて。 ユージンは、のんびりするのが好きだった。 いつでも、のんびりしたいと思っている。 でも何故か忙しい。 ひとたび出張へ出れば、冒険者に囲まれる始末。 いつになったら、のんびりできるのか。もう開き直って、のんびりしていいのか。 果たして、そばかす糸目はのんびりできるのか。 懐かれ体質が好きな方向けです。

普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている

迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。 読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)  魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。  ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。  それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。  それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。  勘弁してほしい。  僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。

処理中です...