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第十章 されど幸せな日々
90 源さんはすたすた歩いた 成人
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着替えて、待っててくれた力丸と、仕事着に着替えてきた壱臣と三人で厨房に向かった。俺は、くまの服。白くて、帽子に付いてる目が赤いやつ。やっぱりくまの服、好きだな。ふわふわで温かくて、手触りも良くて動きやすい。うっかり寝てしまっても大丈夫だし、ばっちり。うん。
緋色も、動きやすい服に着替えて転がっていた。何故か小さな俺の部屋に入り込んできて、俺のお気に入りの大きなクッションに転がって、コーヒーって言った。え? コーヒー? もらってくるの? って聞いたら、おう、だって。珍しい。俺がコーヒーやお酒の匂いが苦手だから、俺が一緒にいる時には緋色は、コーヒーやお酒はほとんど飲まないのに。
もうすぐご飯だから、もらえるかどうか分からないよ? まあ、厨房に行くから、頼んでみるけどさ。
何かの書類を手に転がる緋色の口に、ちゅってして部屋を出た。自分のお部屋にいる時は、いつでもちゅーてしていい。ふふ。帰ってきたねえ。
厨房に近づくと、源さんの姿を見た壱臣が駆け出す。
「源さーん。ただいまー」
「おー、おかえりって、さっきも挨拶したやろ、臣。何回言うんや」
「へへー。帰ってきたな、て思って。源さん、寂しかった?」
「は?」
「うちがおらんくて寂しかった?」
「いや? 別に?」
「ええー? うちはちょっと寂しかったのに」
「なんや。ちょっとか」
「んー、まあ、半助おったし?」
「かー。のろけか。のろけ言いにきたんなら部屋に戻れ。手伝いはいらん」
「ええー? 手伝いに来たのに、もうできとるん? はやっ」
「こんなもんやろ」
「そう?」
俺たちが帰ってきたから人数が増えているのに、一人で全部作っちゃってた。すごいな、源さん。流石、壱臣の師匠だ。
「できとるんやったらもう食べよか。力丸くんがお腹空いたんやって」
「ん? 力丸くん? ああ、力丸くんな、力丸くん」
源さんは、壱臣の後ろの俺たちを見て笑う。
「あん人はな、いつでもお腹空いてはるから、放っといたらええ」
「ええー? お腹空いてるって分かってるのにもらえない俺、かわいそ過ぎじゃない?」
「うるさいですよ、力丸さま。あんたの言うちょっと一口は、つまみ食いの量で済まんのです。もうすぐやから、待っとってください」
力丸と源さん、仲良しになっている。
「源さん、ただいま。あのね、緋色がコーヒー欲しいって」
「おかえりなさい、成人殿下。もうすぐご飯ですよ?」
「俺もそれ思った」
源さんは、はあってため息をつきながら、すたすた歩いてコーヒーの準備を始めた。
ん? あれ?
「はあ? 何で緋色殿下のコーヒーは出てきて、俺は待て、なんだよー。腹減った、腹減った、腹減った」
「あー、もう。主の要望にお応えするんは、臣下として当然のことでしょうが。仕方のない方やな。臣、料理並べていってくれ」
「やった」
「はーい」
力丸が万歳して、ふふ、と笑った壱臣が、手を丁寧に洗い始める。
コーヒーの匂いと、色んな食べ物の匂い。厨房を歩き回る料理人。
「あ」
そうか。
「どうした」
「ん? ふふ。あのね」
俺は、なんとなくこそこそと力丸の耳に口を寄せる。
源さんが、すたすた歩いてる。
小さな声で言ったら、力丸は、あって目を見開いた。
「はは。ほんとだ」
出来上がった料理を眺めた壱臣の声。
「源さん、今日品数多いなあ」
「ん? そうか?」
すたすた歩けるようになった源さんは、俺たちの好きなものをたくさん作って待っててくれた。
緋色も、動きやすい服に着替えて転がっていた。何故か小さな俺の部屋に入り込んできて、俺のお気に入りの大きなクッションに転がって、コーヒーって言った。え? コーヒー? もらってくるの? って聞いたら、おう、だって。珍しい。俺がコーヒーやお酒の匂いが苦手だから、俺が一緒にいる時には緋色は、コーヒーやお酒はほとんど飲まないのに。
もうすぐご飯だから、もらえるかどうか分からないよ? まあ、厨房に行くから、頼んでみるけどさ。
何かの書類を手に転がる緋色の口に、ちゅってして部屋を出た。自分のお部屋にいる時は、いつでもちゅーてしていい。ふふ。帰ってきたねえ。
厨房に近づくと、源さんの姿を見た壱臣が駆け出す。
「源さーん。ただいまー」
「おー、おかえりって、さっきも挨拶したやろ、臣。何回言うんや」
「へへー。帰ってきたな、て思って。源さん、寂しかった?」
「は?」
「うちがおらんくて寂しかった?」
「いや? 別に?」
「ええー? うちはちょっと寂しかったのに」
「なんや。ちょっとか」
「んー、まあ、半助おったし?」
「かー。のろけか。のろけ言いにきたんなら部屋に戻れ。手伝いはいらん」
「ええー? 手伝いに来たのに、もうできとるん? はやっ」
「こんなもんやろ」
「そう?」
俺たちが帰ってきたから人数が増えているのに、一人で全部作っちゃってた。すごいな、源さん。流石、壱臣の師匠だ。
「できとるんやったらもう食べよか。力丸くんがお腹空いたんやって」
「ん? 力丸くん? ああ、力丸くんな、力丸くん」
源さんは、壱臣の後ろの俺たちを見て笑う。
「あん人はな、いつでもお腹空いてはるから、放っといたらええ」
「ええー? お腹空いてるって分かってるのにもらえない俺、かわいそ過ぎじゃない?」
「うるさいですよ、力丸さま。あんたの言うちょっと一口は、つまみ食いの量で済まんのです。もうすぐやから、待っとってください」
力丸と源さん、仲良しになっている。
「源さん、ただいま。あのね、緋色がコーヒー欲しいって」
「おかえりなさい、成人殿下。もうすぐご飯ですよ?」
「俺もそれ思った」
源さんは、はあってため息をつきながら、すたすた歩いてコーヒーの準備を始めた。
ん? あれ?
「はあ? 何で緋色殿下のコーヒーは出てきて、俺は待て、なんだよー。腹減った、腹減った、腹減った」
「あー、もう。主の要望にお応えするんは、臣下として当然のことでしょうが。仕方のない方やな。臣、料理並べていってくれ」
「やった」
「はーい」
力丸が万歳して、ふふ、と笑った壱臣が、手を丁寧に洗い始める。
コーヒーの匂いと、色んな食べ物の匂い。厨房を歩き回る料理人。
「あ」
そうか。
「どうした」
「ん? ふふ。あのね」
俺は、なんとなくこそこそと力丸の耳に口を寄せる。
源さんが、すたすた歩いてる。
小さな声で言ったら、力丸は、あって目を見開いた。
「はは。ほんとだ」
出来上がった料理を眺めた壱臣の声。
「源さん、今日品数多いなあ」
「ん? そうか?」
すたすた歩けるようになった源さんは、俺たちの好きなものをたくさん作って待っててくれた。
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