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小さな幸せを願った勇者の話
序
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光を纏った聖剣が魔王の体を差し貫いた時、俺を包んでいた光のよろいが外れるのを感じた。
ぐらりと倒れながら、魔王は魔剣をこちらに向けている。最後の魔力を全て籠めたのだろう。
魔剣は、さくりと俺の体を貫いた。
寒気のするような魔力が体を巡って、ああ、俺は死ぬんだと分かったけれど、俺に抱きつくようにもたれた魔王ももう、呼吸をしてはいなかった。
光のよろい。セナのかけてくれた俺の防御。それが消えたのだ。もうセナも……。
それなら、俺はこれでいい。
魔王は倒した。勇者としての仕事は果たした。俺は、やったんだ。
意識が途切れる間際、大変だった年月を思った。終わった。良かった。
セナ、今行くよ。死後の世界があるなら、そこでも友だちで居てくれたら嬉しいな。
でも、頑張った俺の、俺達の、そんなささやかな願いは、神の淡々とした呟きに消された。
「おお勇者よ、死んでしまうとは情けない。」
ぐらりと倒れながら、魔王は魔剣をこちらに向けている。最後の魔力を全て籠めたのだろう。
魔剣は、さくりと俺の体を貫いた。
寒気のするような魔力が体を巡って、ああ、俺は死ぬんだと分かったけれど、俺に抱きつくようにもたれた魔王ももう、呼吸をしてはいなかった。
光のよろい。セナのかけてくれた俺の防御。それが消えたのだ。もうセナも……。
それなら、俺はこれでいい。
魔王は倒した。勇者としての仕事は果たした。俺は、やったんだ。
意識が途切れる間際、大変だった年月を思った。終わった。良かった。
セナ、今行くよ。死後の世界があるなら、そこでも友だちで居てくれたら嬉しいな。
でも、頑張った俺の、俺達の、そんなささやかな願いは、神の淡々とした呟きに消された。
「おお勇者よ、死んでしまうとは情けない。」
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