【完結】おお勇者よ、死んでしまうとは情けない、と神様は言いました

かずえ

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小さな幸せを願った勇者の話

57 冒険者登録完了

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 恐る恐る、セナが魔力をカードに送っていく。俺も、どのくらい送ればいいのか、と考えながらやっていたので、二人とも恐る恐るに見えていたことだろう。そのうち、カードが光り出した。セナのカードは金色に。俺のカードは赤色に。

「まだ、いけるのか?」

 ギルドの男が聞いてきたので、二人で顔を見合わせて魔力を止める。

「初めて見ました……。」
「俺もだ。」
「新規登録のカードが光るなんて。」

 受付のお姉さんと男が呟いているので、魔力を送りすぎたのかもしれない。まだ、ほんの少しだったんだけど。

「確かに、神託の聖者さまだ。金色は光の魔力。それに、お前さんはものすごい火の魔力だな。本当に鑑定で何も告げられていないのか?」

 実はまだ鑑定を受けていないけど、そんなのは自己申告なので、こくこくと頷いておいた。十五年より前は、誰も鑑定なんて受けていないんだから、登録の時に徹底的に調べられたりはしない。
 お姉さんは、光るカードを恐る恐る持って、俺たちの書き込んだ情報をカードに登録してくれた。やった。これで身分証ができた。

「あの。俺がユーゴーを護衛として雇っている、という形を作りたいんですけど、できますか。」
「ギルドを通すのか?手数料を取るぞ。」
「魔法学校で一緒にいたいので、公式な関係が欲しい。」

 セナと俺の言葉に、ギルドの男は少し考えた。

「今すぐは無理だ。登録してすぐは、誰でもEランク。Eランクは護衛の仕事を受けることができない。一つ上のDランクから、依頼内容によっては可能、ということになる。登録して一週間経ったら昇格試験が受けられるから、お金を持って来なさい。」
「分かりました。」

 もし魔法学校に入れてもらえなければ、ランクが上がるまで外の宿で泊まって、どんどん依頼をこなしてお金を稼ぐ。薬草摘みしかするつもりは無かったが、ランクを上げるために必要なら魔物の一匹や二匹、討伐してもいい。……なるべくなら、レベルはあまり上げたくないけれど。
 もちろん、セナも寮に一人で行かせるようなことはしない。
 今すぐ魔法学校に入らなければいけない、とは言われていないし。
 今後の方針が決まったので、ほっとして登録料を支払い、カードをもらって受付を離れた。
 俺たちはだいぶ時間がかかっていたらしく、後ろに並んでいた監視の騎士が、すでにカードを持って待っている。カードが少し青みを帯びているように見えたので、水の魔力量が多いのかもしれない。

「お待たせしました。」

 軽く首を横に振ってくれたので、ほっとして馬車に戻る。

「あなたも登録されたんですね。」

 馬車でセナが声をかけると、ほんの少し頬が緩んだように見えた。

「今日から、ずっと俺たちに付いているんですか?」

 そう聞くと頷く。

「登録したら、依頼を一緒にこなせますね。」
「ああ。」

 薬草摘みをする予定だけど、俺たちを見てるだけより、退屈しなくていいよな。金ももらえて一石二鳥。
 嫌な感じの監視でなくて良かった、と一安心して、今度こそ魔法学校へと向かった。
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