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そして勇者は選んだ
10 知らない世界
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休憩も取らずに、速度だけ落として馬車は進んだ。速度を落としてもらったのは、セナが気持ち悪くならないように、だ。
楽しくなった俺が、お試しの魔法を撃ちまくって、魔物たちが来るのが間に合わないくらいになったので、速度を落として普通に進んでいる。
「楽しかったー。」
一度、馬車の中へ戻るとセナが呆れたように俺を見た。サンスェットは、驚いた顔をこちらに向けてくる。
「お前さんたちの魔力ってのはどうなってるんだ?」
「え?まだまだあるよ。小さい魔法しか使ってないし。」
「俺も。馬車三台の結界くらい、なんてことないよ。母さんなんて、常時発動で村一つ結界で囲ってるけど、魔力切れたって聞いたこと無い。」
「確かに。」
「俺のは、ある一定期間の結界だから、かけるときに魔力がいるだけだし。」
「俺は、街と町を行き来できる特別な人間だと自分で思ってたけどよ……。」
サンスェットは、言葉を切ってまじまじと俺とセナを見る。
「俺なんて特別でも何でもねえなあ。」
「え?すごいよ。町の外に出て物資を運んであげてるんだよ。こんなに魔物が多いのに。」
「そうか?より儲けることを考えてたらこうなっただけだぞ。」
「危険をおして行くんだもの、すごい!今回だって、王都の人の食料を運んだんでしょう?サンスェットさんが行かなかったら、食べ物が足りなかったかもしれないんだから。」
「金が良かったしな。」
「それでも、すごいことだった。」
「ああ……。ありがとよ。」
セナの言葉に、サンスェットは照れたように頭をかいた。
窓の外をガウナーの水の礫が飛んでいく。
「おっ、また来たかな。」
御者台に座ると、道の先に壊れた馬車が見えて、魔物が群がっている。
もう生きている人間はいないんじゃないかという有り様だった。一気に燃やしてしまった方が簡単だが、もしかして生き残りがいるかもしれない。
『ぼん。ぼん。ぼん。』
火の玉を出しては、魔物だけを狙って燃やしていく。
魔物がこちらに気付いて向かってきてくれるなら好都合。どうやら人影は見えなかった。
「王都方面へはもう二度と来たくない。」
御者がぽつりと呟く。
こちらを向いたので、頷いておいた。
行かない方がいい。
冒険者ギルドが崩壊した王都の中も、何があるか分からない。
勇者が、自分の幸せを求める世界がどんな方向へ進むかなんて、きっと神にも分かっちゃいない。
楽しくなった俺が、お試しの魔法を撃ちまくって、魔物たちが来るのが間に合わないくらいになったので、速度を落として普通に進んでいる。
「楽しかったー。」
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「お前さんたちの魔力ってのはどうなってるんだ?」
「え?まだまだあるよ。小さい魔法しか使ってないし。」
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「金が良かったしな。」
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「ああ……。ありがとよ。」
セナの言葉に、サンスェットは照れたように頭をかいた。
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もう生きている人間はいないんじゃないかという有り様だった。一気に燃やしてしまった方が簡単だが、もしかして生き残りがいるかもしれない。
『ぼん。ぼん。ぼん。』
火の玉を出しては、魔物だけを狙って燃やしていく。
魔物がこちらに気付いて向かってきてくれるなら好都合。どうやら人影は見えなかった。
「王都方面へはもう二度と来たくない。」
御者がぽつりと呟く。
こちらを向いたので、頷いておいた。
行かない方がいい。
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