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03 進化の瞬間《とき》
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「……ハッ!?」
飛び跳ねるように、僕は目を覚ました。どうやら、いつの間にか眠っていたらしい。
ただ出迎えるのは朝の光でも、月の光でもなく真っ黒な闇――ジャナークという男に送られた、あの空間だった。
「夢……か」
何故、あのころの思い出を今になって夢に見たのだろう。あれから、どのくらいの時間がたったのだろう。僕が考えていると――
「お目覚めのようだねぇ、ハジメ君」
人を馬鹿にしたような笑いを含んだ声が響き渡った。あいつだ。
「ジャナーク!」
僕は怒りをむき出しにして、その名を叫んだ。
「おお、怖いねぇ……そうだ、一眠りして考えは変わったのかい?」
「変わるはずないだろ!」
「へぇ、そうなのか……じゃあ」
指を鳴らす音が聞こえると、また、あの時と同じように何かが眼前に浮かび上がる。
今度は、鎧を着た少女がモンスターに追われる光景。
「まさか……!!」
僕の脳裏に、いやな予感がよぎる。
「村の人たちも、お前が……!?」
「正解。君が私を拒むものだからねぇ、ふふふ」
拍手の音が響き渡る。
「お前……っ!」
「何、簡単なことさ。選択は二つに一つ。君が受け入れるか否かだよ」
ジャナークが言うと、映し出されている少女とモンスターの動きが止まった。
「それは……嫌だ!」
「じゃあ仕方ないねぇ。あの子を見殺しにするがいいさ……君のお姉さんと同じように、ね」
「!」
その言葉と同時に、止まっていた時が再び動き出した――
※
さて、ここまでは計算内。彼が私を受け入れないのはまぁ最初から分かっていたこと。
本題はここからだ――さて、どう出る?ハジメ君。
「グフフフ……」
緑の大鬼は、わざとらしくゆっくりと歩き、傷ついた少女を追い立てている。
恐怖を煽ることで、快楽を満たしているのだろうね。全く、顔に違わぬ下品な行いだよ。
「きゃっ!」
おやおや、かわいそうに。転んでしまったのか。すぐに立ち上がろうとするけれど、時間切れのようだ。
「い、嫌……!」
巨大な影が、少女を覆う。大鬼は少女を片手に握ると、力を込め、締め上げる。
「痛い……痛いっ……」
一気に握りつぶさないところを見るに、じわじわといたぶろうとしているらしい。
随分趣味の悪いことだ。吐き気がするね。
「グフフゥ」
「ああぁーーーーーっ!」
ああ。今の音、どこかの骨が折れたか。さぁて、彼の方は――
「やめろ……っ」
少女の悲鳴を聞き、怒りに打ち震えているようだった。
無意識のうちに彼は「発光」を使っている。
やはり、彼の本能はあの力の真の使い方をわかっている――ただ、自覚がないだけだ。
彼はもう、『進化』の段階へと至っている。
いいぞ、もう一押しだ。さぁ、『もう一度』私に見せてくれたまえ。
10年前君が得た、あの力を。
「やめろーーっ!」
彼が大きく叫ぶと同時に、その体は眩い光に包まれた。
同時に、私が作り出した空間がひび割れ、消えてゆく。
私は歓喜した。待ち望んでいた瞬間が、ついに来たのだから。
見ているか、『神』を名乗る者どもよ!
お前たちがかつて恐れた事態が、ついに起こったぞ!
さぁ、存分に振るうがいい!神をも超えうる、その力を!
※
「あ……う……」
何度も何度もじわじわと締め上げられ、少女はもはや悲鳴を上げることすらできなくなっていた。
すでに体中のあらゆる骨を折られてしまっている。意識もほとんどないと言っていい。
「ナンダ、コワレタノカ……」
大鬼はがっかりしたように言う。
意気揚々と自身へ歯向かってきたというのに、獲物を無くしたとたんにこのザマだ――そんな風に彼女を嘲りながら、彼女を地面に放る。
「うっ……」
受け身すら取れずに地面へと投げだされたその体は2度、3度転がり、力なく止まる。
大鬼は息も絶え絶えにもがく彼女のもとへと近づいて、
「ジャア、モウイラナイ」
まるでゴミを処理するかのように、大きな足を振り下ろした。
少女はなすすべもなく踏みつぶされ、短い生涯を悲惨に終えた――
かに、思われた。
「ナンダ、オマエ……!?」
大鬼は目を大きく見開いて、焦りに焦っていた。足を振り下ろすまでのほんの一瞬の時間に、何者かが割って入り、自身の足を片手で受け止め、金色の瞳でこちらを見据えているのだから。
ごつごつとした頭部ではあるが、兜というわけではなく。
銀色をメインとし、赤と黒、紫の入り混じった体色と、胸や手足に走る金のライン。
胸の中央で燦然と青く輝く発光体を持つそれは、ハジメが『進化』した姿だった。
その名は、『超進化生命体』。
永きに渡る戦いの幕が、今ここに上がった――
飛び跳ねるように、僕は目を覚ました。どうやら、いつの間にか眠っていたらしい。
ただ出迎えるのは朝の光でも、月の光でもなく真っ黒な闇――ジャナークという男に送られた、あの空間だった。
「夢……か」
何故、あのころの思い出を今になって夢に見たのだろう。あれから、どのくらいの時間がたったのだろう。僕が考えていると――
「お目覚めのようだねぇ、ハジメ君」
人を馬鹿にしたような笑いを含んだ声が響き渡った。あいつだ。
「ジャナーク!」
僕は怒りをむき出しにして、その名を叫んだ。
「おお、怖いねぇ……そうだ、一眠りして考えは変わったのかい?」
「変わるはずないだろ!」
「へぇ、そうなのか……じゃあ」
指を鳴らす音が聞こえると、また、あの時と同じように何かが眼前に浮かび上がる。
今度は、鎧を着た少女がモンスターに追われる光景。
「まさか……!!」
僕の脳裏に、いやな予感がよぎる。
「村の人たちも、お前が……!?」
「正解。君が私を拒むものだからねぇ、ふふふ」
拍手の音が響き渡る。
「お前……っ!」
「何、簡単なことさ。選択は二つに一つ。君が受け入れるか否かだよ」
ジャナークが言うと、映し出されている少女とモンスターの動きが止まった。
「それは……嫌だ!」
「じゃあ仕方ないねぇ。あの子を見殺しにするがいいさ……君のお姉さんと同じように、ね」
「!」
その言葉と同時に、止まっていた時が再び動き出した――
※
さて、ここまでは計算内。彼が私を受け入れないのはまぁ最初から分かっていたこと。
本題はここからだ――さて、どう出る?ハジメ君。
「グフフフ……」
緑の大鬼は、わざとらしくゆっくりと歩き、傷ついた少女を追い立てている。
恐怖を煽ることで、快楽を満たしているのだろうね。全く、顔に違わぬ下品な行いだよ。
「きゃっ!」
おやおや、かわいそうに。転んでしまったのか。すぐに立ち上がろうとするけれど、時間切れのようだ。
「い、嫌……!」
巨大な影が、少女を覆う。大鬼は少女を片手に握ると、力を込め、締め上げる。
「痛い……痛いっ……」
一気に握りつぶさないところを見るに、じわじわといたぶろうとしているらしい。
随分趣味の悪いことだ。吐き気がするね。
「グフフゥ」
「ああぁーーーーーっ!」
ああ。今の音、どこかの骨が折れたか。さぁて、彼の方は――
「やめろ……っ」
少女の悲鳴を聞き、怒りに打ち震えているようだった。
無意識のうちに彼は「発光」を使っている。
やはり、彼の本能はあの力の真の使い方をわかっている――ただ、自覚がないだけだ。
彼はもう、『進化』の段階へと至っている。
いいぞ、もう一押しだ。さぁ、『もう一度』私に見せてくれたまえ。
10年前君が得た、あの力を。
「やめろーーっ!」
彼が大きく叫ぶと同時に、その体は眩い光に包まれた。
同時に、私が作り出した空間がひび割れ、消えてゆく。
私は歓喜した。待ち望んでいた瞬間が、ついに来たのだから。
見ているか、『神』を名乗る者どもよ!
お前たちがかつて恐れた事態が、ついに起こったぞ!
さぁ、存分に振るうがいい!神をも超えうる、その力を!
※
「あ……う……」
何度も何度もじわじわと締め上げられ、少女はもはや悲鳴を上げることすらできなくなっていた。
すでに体中のあらゆる骨を折られてしまっている。意識もほとんどないと言っていい。
「ナンダ、コワレタノカ……」
大鬼はがっかりしたように言う。
意気揚々と自身へ歯向かってきたというのに、獲物を無くしたとたんにこのザマだ――そんな風に彼女を嘲りながら、彼女を地面に放る。
「うっ……」
受け身すら取れずに地面へと投げだされたその体は2度、3度転がり、力なく止まる。
大鬼は息も絶え絶えにもがく彼女のもとへと近づいて、
「ジャア、モウイラナイ」
まるでゴミを処理するかのように、大きな足を振り下ろした。
少女はなすすべもなく踏みつぶされ、短い生涯を悲惨に終えた――
かに、思われた。
「ナンダ、オマエ……!?」
大鬼は目を大きく見開いて、焦りに焦っていた。足を振り下ろすまでのほんの一瞬の時間に、何者かが割って入り、自身の足を片手で受け止め、金色の瞳でこちらを見据えているのだから。
ごつごつとした頭部ではあるが、兜というわけではなく。
銀色をメインとし、赤と黒、紫の入り混じった体色と、胸や手足に走る金のライン。
胸の中央で燦然と青く輝く発光体を持つそれは、ハジメが『進化』した姿だった。
その名は、『超進化生命体』。
永きに渡る戦いの幕が、今ここに上がった――
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