仲間からパーティを追い出された僕は、外れスキル「発光」を進化させ、全てを超える ~始まりの光《Evoluto The First》~

さぼてん

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15 マグニス再び

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「ベリル、ちょっといい?」
ある日の昼下がり。宿で休憩を取っていた俺に声がかかる。相手はフラン。パーティーメンバーの一人だ。
彼女が話したいことは――まぁ、大方想像がつく。
 
「ハジメのことなんだけど……」
やっぱりか。俺は軽くため息をつき、向き直る。
「この際だからはっきり言わせてもらうわ。何であんな奴を仲間に加えてるわけ?」
 
彼女の言い分はというと――「光るだけで他に何のスキルも使えない無能」「どんくさくて直接戦闘も期待できない」「いてもいなくても同じ」
要するにつまり、「役立たず」ということだ。まぁ何とも言いたい放題な彼女に若干のイライラを覚えながらも、俺は彼女の愚痴を聞き流していた。
 
「……ちょっと、聞いてるの?」
「ああ、聞いてる聞いてる……それで?」
「あいつ、正直言っていらないんじゃない?」
 
バンッ!その言葉を聞いた瞬間、俺は思わず机を叩いていた。
 
「ちょ、ちょっと!?」
「……すまない」
バツが悪くなって、再び後ろを向く。飲み物を取って口にし、気持ちを落ち着ける。
 
「……幼馴染みだから?」
ぐ、と言葉に詰まる。俺がアイツを仲間として加え入れた理由として、それはもちろん大きい。
俺だってアイツが戦いに向かないのはよく知っている。
身体を動かすより本を読むことが好きで。気弱で。誰だってすぐに信じてしまうお人好しで。
そんなハジメをなぜ、仲間としているのか。それは――
 

 
「開けろ!」
ドンドン、と乱暴にドアを叩く音。そして怒声が聞こえる。オレは驚いて、跳ねるように飛び起きた。
「ちょっと見てくる」
「うむ」
隣のソファーで眠る人間の姿を横目に、慌てて玄関へと向かう。
 
ドアを開けて見ると、そこには白髪頭の爺さんがいた――里長だ。
いっつも眉間にしわを寄せているが、今日はより一層深い。全身からにじみ出る怒りに押されつつも、オレは聞いた。
「どうしたんだよ、こんな朝っぱらから」
「人間を出せ」
一言、簡潔な答え。いきなり出せ、と言われても訳が分からない。そう抗議するオレに、里長は続けた。
 
「件の襲撃者とその男、繋がりがあるやもしれぬのだ!いいから出せぃ!」
「おい待てよ、相手はケガ人だぞ!……きゃっ!」
強引に押し通ろうとする里長を引きとめようとするも力負け、倒れ込んでしまう。
そんなオレを無視して、里長はずかずかと家に入ってゆく。
オレは急いで立ち上がり、後を追う。
 
「お主は確か、この村の里長!いったい何の……」
「どけぃ!」
「リリン!」
事情を聞こうとしたリリンをも突き飛ばし、里長は人間に掴みかかり、怒鳴り散らしながら揺さぶり始める。
 
「貴様、ベリルという男を知っているだろう!貴様が奴を手引きしたのかぁ!」
「よせ、まだ傷が癒えきっておらぬのだ!」
「そいつがどうしたっていうんだよ!」
 
「その男こそ、貴様の父を殺し、守り神様を奪った張本人!そしてこやつもその元仲間だ!」
 
その言葉に、場が静まり返る。
ベリル。確か5年前に魔王を倒した、人間どもの英雄。
そしてこの男の、ハジメの大切な幼馴染み。昨夜そうリリンから聞いた。
そんな男が、父さんを殺し、友をこんな目に合わせた、だと。何かの冗談じゃないか、という思いが沸き起こる。
 
「起きて答えろ、人間っ……!貴様らは我々をどうしようというのだ……!」
里長の様子からは、憎しみの感情がありありと見て取れた。
魔王が倒れ、平和が訪れてからというものの――オレたち竜人族を含む亜人種を、一部の人間たちは疎ましく思い、排斥運動を始めていた。
まるでこの惑星ほしの支配者が、自分たちであるかとでも言うかのように。
オレたちはもともと人間との接触を避けて暮らしてきた。が、オレたちが移住し暮らしていた土地はどんどんと人間たちが幅を利かせ、自然は汚れてしまった。
結果としてオレたちは住む場所を次々に失い――最後に残ったこの故郷の地、人が近寄らない火山地帯で、ひっそりと日々を送っていたのだ。
そんな最後の居場所まで、無くなってしまうかもしれない。
里長の思いは理解できるが――それをこいつ一人に向けるのは筋違いというもの。
 
「答えぬか、ならば!」
必死にしがみつくオレたちを振りほどき、里長は叫ぶ。その手にはすでに抜き放たれた刀が、ギラリと輝いていた。
マズい!最悪の光景が脳裏を通り過ぎた、その瞬間。
「ッ……!?」
 
「が、は……」
里長の口から、おびただしい量の血が噴き出した。その胸には、赤黒く染まった刃が背中から突き刺さっていた。
そしてそれを握るのは、黒衣に身を包んだ一人の男。
状況が呑み込めず、ただ茫然となってそれを見ていることしかできないオレ。
男は里長から刃を引き抜くと、ゴミでも蹴り飛ばすかのように倒れたその体を足でどけ、ハジメの側へとゆっくりと歩み寄る。
 
「久しぶりだなぁ、ハジメ……♪」
そんなセリフを吐きながら、その顔を愛おしむかのようにじっくりと撫でる男。
 
「流石『進化』に至っただけのことはある。もうこんなにも傷が治ってるとはなぁ」
「だがまだまだ、だぁ……お前にはもっと、強くなってもらわないとな?」
そう言って、奴は懐から杖のような道具を取り出し、何かを差し込み、掲げた。
『サモン・マグニス!』そんな声がどこからか聞こえ――
 
「な、何だ!?」
轟音とともに、地響きが起こった。
窓を開けて外の様子をうかがうと、そこには。
 
「さぁ戦え、そして守ってみせろ、ハジメ……いや、エヴォリュートぉ!ウヒャヒャヒャ……!ハーッハッハッハァーッ……!」
 
空に現れた魔法陣を潜り抜け、奴が再び、姿を現していた――!
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