仲間からパーティを追い出された僕は、外れスキル「発光」を進化させ、全てを超える ~始まりの光《Evoluto The First》~

さぼてん

文字の大きさ
17 / 20

17 僕がいるから

しおりを挟む
すすり泣き止まぬ洞穴。竜人族たちは夜も眠れず、互いに身を寄せ合っていた。
なぜ、自分たちはこんな目に合わねばならないのだ?
誰へ迷惑をかけたわけでもなく。何にも干渉せず。ただ、静かに暮らしていただけなのに。
なぜ、故郷を滅ぼされなければならないのか。
この場にいる者たちは皆、同じことを思っていた。
そんな時――

「ごきげんよう、竜人族の諸君」

悪魔の声が響いた。
何だ何だ、と辺りを見回す人々。その頭上には、紫色の靄のようなものが浮かんでいた。
何者だ、と一人が叫ぶ。
「私の名はジャナーク。随分悲しそうじゃあないか、いったいどうしたのかな」
白々しく、悪魔が問う。
村人たちは口を揃え、答える。「故郷が消された」、と。
「ほう……いったい誰に?」
人々は叫ぶ。「人間だ」「人間同士の争いに、我々は巻き込まれた」と
「なるほど?ならばなぜ、君たちはここで大人しくしているのかな」
「君たちはかつて、人間たちに次々と住む場所を追われ続け、最後に残った故郷へと逃げ帰った。だが、その故郷すら滅ぼされてしまった――そうしたのは、まぎれもない人間じゃあないか……なぜ、泣き寝入りする必要がある?」

悪魔の言葉に、人々がより一層ざわめき出す。
その瞳は血の色のように赤黒く、光はない。
そうだそうだ、なんで俺たちがこんな目に合わなければならないんだ。
殺してやる。復讐だ。俺たちの怒りを、恨みを、悲しみを。
我が物顔でのさばる人間どもに、裁きの鉄槌を下すのだ!

「フフフ……そう、それでいい。武器を取り給え、君たちの明日は、君たちの手で切り開くんだ」
声とともに、虚空から様々な武器が現れ、地に落ちる。人々はそれを手に取り、叫んだ。

殺せ!殺せ!殺せ!

「さぁ、行くんだ。知らしめてやりたまえ、君たちの怒りを……ククク」

人々は揃って駆け出した。憎き人間を滅ぼすために。
第一の標的は、故郷を奪った原因。災厄を村へと運び込んだ、あの男――ハジメだ。



「うう、うぁっ……あぁ……」
月明りすら入らない木々に囲まれた、森の中。僕は一人、嗚咽を漏らしていた。
もう、どれだけ泣き続けたのかすらわからない。とめどなく溢れる後悔と自身への怒りが、僕の中で渦巻き続けていた。

どうして。どうして僕は誰かを不幸にしてしまうんだ。
思えば、あの時もそうだった。

それは、僕がパーティーを抜けるよう知らされたあの日のこと。
モンスターとの戦闘の最中のことだった。

「ベリル!」
巨大な爪がベリルを掴む。それはたちまち大空へと彼を連れ去ってしまった。
僕らが戦っていたのは鳥型モンスター、シルバド。白銀の体毛を持つ、肉食の巨大怪鳥だ。
ちょうど産卵し終えたばかりのそれは、餌を求めて人々をさらっていた。
それを聞きつけ、僕らは戦っていたのだけれど――

「くそっ、離せ!」
腕すら動かせず、ただもがくことしかできないベリル。

「待ちなさいっ!」
僕の隣にいた少女――フランが『火球』を打ち出し、怪鳥を狙う。
しかしそれも全て躱され、奴は悠々と空を舞うばかり。みるみるうちにその姿は小さくなってゆく。
嫌だ。嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ!このまま離れ離れだなんて、絶対に!
僕は心の底から叫ぶ。
「ベリルを……離せぇぇぇーーっ!」
瞬間。僕の意識とは無関係に、全身が光り輝く。
「ちょっと、あんた何で『発光』なんか使って……」
困惑する彼女をよそに、僕の光はますます強さを増していく。

「あれは……っ」
その輝きは、遥か上空のベリルからも観測できた。それはつまり、シルバドにも同じ事が言えるという事。
奴はその光を見るや否や、上昇を止め、そして。
地上へ向け、一気に踵を返した。急加速に、ベリルが呻きを漏らす。

「!?」
武闘家の少女、リオが目を丸くする。その卓越した視力を持つ瞳に飛び込んできたのは、一心不乱に突き進む、会長の姿。
彼女が叫ぶ。「逃げて!」と。

僕らは咄嗟に左右へ飛びのいた。その間に、巨大な嘴が地を砕き、突き刺さる。
奴はベリルを放り捨てると、その首を僕へと向け、見据える。
僕は自身が狙われていることに気づき、駆け出した。

「リーダー、大丈夫!?」
「ああ、何とかな……それより奴を!」
倒れ込むベリルを抱え起こすリオにそう言い、彼は叫ぶ。

「ああもう、本当に世話の焼ける!」
フランが渋々ながらも、『火球』を打ち出しシルバドを狙う。僕と言う標的に夢中だった奴の背中に、攻撃は直撃する。が――

「きゃあーっ!?」
ジャマをするな、とばかりに振るわれた羽。その風圧で、彼女の体は宙に浮かび、大きく吹き飛んでしまった。
彼女は岩盤に勢いよく叩きつけられ、地に落ちる。
右腕を抑え、もがく彼女。
「フランっ!」思わず立ち止まり叫ぶ僕。だが、その眼前には奴の姿。鋭く尖った嘴を光らせ、赤い瞳が僕を睨む。
そして、嘴が僕の胸元目掛けて、振り下ろされた。
もうだめだ。最悪の考えが脳裏をよぎった、その時。

「ウオォウラァッ!」
叫びとともに、ガキン、という金属音が響いた。僕が目を開くと、そこにはベリルがいた。僕たちの間へと割って入り、剣でその嘴を切り落としていたのだ。
シルバドはあまりの激痛にじたばたと苦しんでいる。そして――

「終わりだぁっ!」
次なる一刀で、怪鳥の息の根は完全に止まった。縦一文字に切り裂かれ、臓物をこぼしながら倒れ伏す。

「無事か、ハジメ」
彼は頭から血を流しながらも、へたり込む僕に声をかける。
ふらり、と体勢が崩れた彼の体を、僕は急いで立ち上がり、支えた。
「それより、フランを!」
「……そうだな」

――幸い、彼女の命に別状はなかったが、フランは右腕を負傷してしまっていた。
「お前のせいだ」――宿へと戻る途中、リオとフランの声が聞こえた気がした。
言葉こそなかったが、その目は確かに、そう訴えていた。
そして、僕の心の中からも、その声は聞こえてきた。

そうだ お前のせいだ お前がいるから 誰かが不幸になる

――それは、力を手に入れた後でも変わらなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

追放されたS級清掃員、配信切り忘れで伝説になる 「ただのゴミ掃除」と言って神話級ドラゴンを消し飛ばしていたら世界中がパニックになってますが?

あとりえむ
ファンタジー
【5話ごとのサクッと読める構成です!】 世界を救ったのは、聖剣ではなく「洗剤」でした。 「君のやり方は古いんだよ」 不当な理由でS級クランを追放された、ベテラン清掃員・灰坂ソウジ(38歳)。 職を失った彼だったが、実は彼にはとんでもない秘密があった。 呪いのゴーグルのせいで、あらゆる怪物が「汚れ」にしか見えないのだ。 ・神話級ドラゴン  ⇒ 換気扇の頑固な油汚れ(洗剤で瞬殺) ・深淵の邪神  ⇒ トイレの配管詰まり(スッポンで解決) ・次元の裂け目  ⇒ 天井の雨漏りシミ(洗濯機で丸洗い) 「あー、ここ汚れてるな。チャチャッと落としておくか」 本人はただ業務として掃除をしているだけなのに、その姿は世界中で配信され、人類最強の英雄として崇められていく! 可愛い元ダンジョン・コアや、潔癖症の聖女も入社し、会社は今日も大忙し。 一方、彼を追放した元クランは、汚れ(モンスター)に埋もれて破滅寸前で……? 「地球が汚れてる? じゃあ、一回丸洗いしますか」 最強の清掃員が、モップ片手に世界をピカピカにする、痛快・勘違い無双ファンタジー! 【免責事項】 この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは関係ありません。 ※こちらの作品は、カクヨムと小説家になろうでも公開しています。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

帝国の王子は無能だからと追放されたので僕はチートスキル【建築】で勝手に最強の国を作る!

雪奈 水無月
ファンタジー
帝国の第二王子として生まれたノルは15才を迎えた時、この世界では必ず『ギフト授与式』を教会で受けなくてはいけない。 ギフトは神からの祝福で様々な能力を与えてくれる。 観衆や皇帝の父、母、兄が見守る中… ノルは祝福を受けるのだが…手にしたのはハズレと言われているギフト…【建築】だった。 それを見た皇帝は激怒してノルを国外追放処分してしまう。 帝国から南西の最果ての森林地帯をノルは仲間と共に開拓していく… さぁ〜て今日も一日、街作りの始まりだ!!

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

処理中です...