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24 動き出す陰謀
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あの出来事から1日ほど経ち。タダシはマリスを連れ、キュリオのラボへとやってきていた。
「さて、マリス君……だったかね」
静かに語り掛けるも、返答はない。
「ふむ……話す気もないと。まぁいいだろう」
そんな彼女を機械に繋がれたケースの中へ入れると、蓋を閉じたタダシ。
「私が欲しいのは、君の言葉ではなくデータだからね」
彼は秘書の方向を見ると、後は任せると言わんばかりにその場を立ち去った。
そしてキュリオを連れた秘書はそのケースの前へと進み、
「作業を始めなさい」
キュリオへ冷淡に一言、命令を与えた。その手に起爆スイッチをちらつかせながら――
「……」
逆らうそぶりもなく、黙々と作業に取り掛かり始めるキュリオ。その表情からは、いつもの明るさは消えていた。
彼女がキーボードを操作すると、ケースが青白く発光を始める。
(ごめんね、何もできなくて……)
心の中で呟きながら、彼女は並行して別の作業へ入る。
開かれたデータ名には、《ジャスティマギア》と記されていた――
※
「うぅ……う?」
呻き声とともに、目を覚ます。辺りを見ると、そこは一面コンクリート張りの小部屋だった。
そして次に、俺は体におかしな感触を感じた。
何と、後ろ手の状態で椅子に縛り付けられていたのだ。
何故、こんなことに?俺は目を覚ます前に、何があったかを思い出そうとした――
――あれは、確かマリスを奪われた次の日の出来事だった。
俺はサクヤさんと一緒に、何とかして彼女を取り返すべく作戦を練っていたのだ。
その最中で、俺達はUSBメモリに酷似した棒状の小型記録媒体が落ちていることに気づいた。
どうやら、あの騒ぎの中奴が落としていったものらしい。
その中身を解析すると、あることが分かった。それは――
《ジャスティマギア計画》
そう呼ばれる、新型兵器開発計画であった。俺達は内容を読み、知った。
ジャスティマギアと名付けられたそのパワードスーツは、俺とマリスが融合したあの姿が持つ力を再現したものであるという事を。
そんなものがあの狂人の手に渡ってしまえば、どうなるかは目に見えて明らかだ。
最悪の事態を阻止すべく、一刻も早くマリスを取り戻さなければならない。
が、その方法は未だ思いついておらず悩んでいたのだが――サクヤさんがロックのかかっていたファイルの解除に成功した途端、風向きが変わった。
そこには、奴の今後の行動スケジュールが記載されていたのだ。
奴は2日後の朝にジャスティマギアを完成させ、その日の昼には民衆へ向けて何か発表を行うつもりらしい。
制作場所はキュリオさんのラボ。
俺は思った。上手くいけば、マリスとキュリオさんの奪還を同時に行えるのではないか、と。
しかしそんな俺を、サクヤさんが止めた。罠だ、と。
だが焦りに焦っていた俺は、制止を振り切って飛び出したのだ。
「……バカだな、俺は……」
そして結果――このざまだ。マリスがいなければ、俺はただの高校生と何ら変わりはしない。
無策で突っ込んだところで、物語の主人公のように事をうまく運べるわけではないのだ。
己の無力さを痛感し、うなだれる俺。
しかし、ここでうじうじと腐っている暇もない。
奴を止めなければ、何が起こるかわからないからだ。
俺は渾身の力を込める。が、無情にも俺の手を縛る鎖は金属音を鳴らすのみ。
虚しく響く音を聞きながら、俺は思考する。
どうする。どうする。どうする――
「!」
そんな時だった。部屋のドアが開いたのは。
前を見ると、白衣を着たにこやかな顔の男性が一人、入ってきた。
しかし、その表情に温かみは一切としてない。むしろ、氷のような冷たさすら感じるほどだ。
俺は唾を飲む。これから何が起こるのか、と。
そして俺の目の前まで来た男はかがみこみ、目線を合わせて言った。
「今から君には、生き地獄を味わってもらいます」
※
「ん」
そして、あれから2日後の昼。長官室の椅子に座るタダシのもとに、一本の通信が入る。
相手は――秘書だ。
「私だ」
それを取り、応える彼。
「長官。予定通り、完成しました。ただいまそちらへデータを送ります」
「ご苦労。ではそちらも次の段階へ入ってくれ」
「かしこまりました」
「ああ」
短いやり取りを終え通信を切ると、彼はデータの受信を確認する。
そして再びネクタイを締め直すと、咳払いをした。
時刻はあと5分で正午。一体、これから何が始まろうというのか――
※
「ん?」
「何だあれ」
そして11時59分――とある町。道行く人たちは空に映し出された何かに、口を揃えて言った。
それはこの街だけではなく、この世界にある人が住む場所全てで、同時に行われていた。
そして時刻が正午となったころ――
「皆様、ごきげんよう。私は《レイヴンズ》長官、カイセ・タダシ」
そう挨拶し、一礼するタダシの姿が、大きく映し出された。
突然のことに驚き、皆が注目する。
そして映像の中のタダシは続けた。
「本日は皆さまに重大な発表があり、こうして会見を行わせていただきました」
「先日発生した住民暴徒化事件。多数の死傷者を出したあの凄惨な事件は皆さまの記憶に新しいかと存じます。その犯人の詳細が判明したため――発表させていただきます。その犯人とは――」
唾を飲む人々。そして――タダシは言った。
「《転生者》と呼ばれる、この世界の外よりやってきた侵略者だったのです。彼らは元住む世界で一度死亡し、《神》に連なる存在によって再び命を得てこの世界にやってきたのです。
それも――我々では到底敵わぬ特別な力を与えられて。これがその証拠です。ご覧ください」
そう言うと、映像が切り替わる。
それは――先日行われたガットネロの構成員とケイトとの交戦時の記録であった。
構成員の装着していたパワードスーツに搭載されたカメラによる映像の中では、ケイトがマリスと融合する瞬間から、構成員がなすすべもなく次々に無力化されてゆく光景までが鮮明に映し出されていた。
「嘘だろ……」
「何だよあれ……」
その一方的な戦いに恐怖を覚える人々。
そんな時、再び映像が切り替わり、タダシが映し出された。
彼は再び語り出す。
「ご覧いただいた通り、あの者たちの力は絶大です。あの《ガットネロ》でさえ、手も足も出ませんでした。……しかし、ご安心ください」
そうタダシが言うと、彼は立ち上がって懐から何かを取り出した。
それは――シャンパンゴールドのカラーリングで仕上げられたスマートフォンであった。
そして彼はそれを起動し、言う。
「《装着》」
瞬間、彼の身体は白い光に包まれた。それが収まると、そこには――黄金の戦士、《ジャスティマギア》が立っていた。
「この度我々が開発したこの新兵器、その名も《ジャスティマギア》。これはその《転生者》の持つ力を解析し作り上げたものです。この力で、我々《レイヴンズ》があの者たちの脅威から皆様の安全を守ることをお約束いたしましょう」
その言葉に沸き立ち、コールを送る民衆。
映像の中のタダシは変身を解除し、にこやかに手を振って笑って見せた。
「それでは、これにて会見を終了とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました」
そうして、映像は途切れた――
※
「よし。ここまでは予定通りだ。後は……」
そしてレイヴンズ本部。会見を終えたタダシはそう呟くと、椅子に座り手を組む。
「アヤツジ・ケイトにマリス。彼ら次第、だな……フフ」
行動次第――その言葉の表す意味やいかに――?
「さて、マリス君……だったかね」
静かに語り掛けるも、返答はない。
「ふむ……話す気もないと。まぁいいだろう」
そんな彼女を機械に繋がれたケースの中へ入れると、蓋を閉じたタダシ。
「私が欲しいのは、君の言葉ではなくデータだからね」
彼は秘書の方向を見ると、後は任せると言わんばかりにその場を立ち去った。
そしてキュリオを連れた秘書はそのケースの前へと進み、
「作業を始めなさい」
キュリオへ冷淡に一言、命令を与えた。その手に起爆スイッチをちらつかせながら――
「……」
逆らうそぶりもなく、黙々と作業に取り掛かり始めるキュリオ。その表情からは、いつもの明るさは消えていた。
彼女がキーボードを操作すると、ケースが青白く発光を始める。
(ごめんね、何もできなくて……)
心の中で呟きながら、彼女は並行して別の作業へ入る。
開かれたデータ名には、《ジャスティマギア》と記されていた――
※
「うぅ……う?」
呻き声とともに、目を覚ます。辺りを見ると、そこは一面コンクリート張りの小部屋だった。
そして次に、俺は体におかしな感触を感じた。
何と、後ろ手の状態で椅子に縛り付けられていたのだ。
何故、こんなことに?俺は目を覚ます前に、何があったかを思い出そうとした――
――あれは、確かマリスを奪われた次の日の出来事だった。
俺はサクヤさんと一緒に、何とかして彼女を取り返すべく作戦を練っていたのだ。
その最中で、俺達はUSBメモリに酷似した棒状の小型記録媒体が落ちていることに気づいた。
どうやら、あの騒ぎの中奴が落としていったものらしい。
その中身を解析すると、あることが分かった。それは――
《ジャスティマギア計画》
そう呼ばれる、新型兵器開発計画であった。俺達は内容を読み、知った。
ジャスティマギアと名付けられたそのパワードスーツは、俺とマリスが融合したあの姿が持つ力を再現したものであるという事を。
そんなものがあの狂人の手に渡ってしまえば、どうなるかは目に見えて明らかだ。
最悪の事態を阻止すべく、一刻も早くマリスを取り戻さなければならない。
が、その方法は未だ思いついておらず悩んでいたのだが――サクヤさんがロックのかかっていたファイルの解除に成功した途端、風向きが変わった。
そこには、奴の今後の行動スケジュールが記載されていたのだ。
奴は2日後の朝にジャスティマギアを完成させ、その日の昼には民衆へ向けて何か発表を行うつもりらしい。
制作場所はキュリオさんのラボ。
俺は思った。上手くいけば、マリスとキュリオさんの奪還を同時に行えるのではないか、と。
しかしそんな俺を、サクヤさんが止めた。罠だ、と。
だが焦りに焦っていた俺は、制止を振り切って飛び出したのだ。
「……バカだな、俺は……」
そして結果――このざまだ。マリスがいなければ、俺はただの高校生と何ら変わりはしない。
無策で突っ込んだところで、物語の主人公のように事をうまく運べるわけではないのだ。
己の無力さを痛感し、うなだれる俺。
しかし、ここでうじうじと腐っている暇もない。
奴を止めなければ、何が起こるかわからないからだ。
俺は渾身の力を込める。が、無情にも俺の手を縛る鎖は金属音を鳴らすのみ。
虚しく響く音を聞きながら、俺は思考する。
どうする。どうする。どうする――
「!」
そんな時だった。部屋のドアが開いたのは。
前を見ると、白衣を着たにこやかな顔の男性が一人、入ってきた。
しかし、その表情に温かみは一切としてない。むしろ、氷のような冷たさすら感じるほどだ。
俺は唾を飲む。これから何が起こるのか、と。
そして俺の目の前まで来た男はかがみこみ、目線を合わせて言った。
「今から君には、生き地獄を味わってもらいます」
※
「ん」
そして、あれから2日後の昼。長官室の椅子に座るタダシのもとに、一本の通信が入る。
相手は――秘書だ。
「私だ」
それを取り、応える彼。
「長官。予定通り、完成しました。ただいまそちらへデータを送ります」
「ご苦労。ではそちらも次の段階へ入ってくれ」
「かしこまりました」
「ああ」
短いやり取りを終え通信を切ると、彼はデータの受信を確認する。
そして再びネクタイを締め直すと、咳払いをした。
時刻はあと5分で正午。一体、これから何が始まろうというのか――
※
「ん?」
「何だあれ」
そして11時59分――とある町。道行く人たちは空に映し出された何かに、口を揃えて言った。
それはこの街だけではなく、この世界にある人が住む場所全てで、同時に行われていた。
そして時刻が正午となったころ――
「皆様、ごきげんよう。私は《レイヴンズ》長官、カイセ・タダシ」
そう挨拶し、一礼するタダシの姿が、大きく映し出された。
突然のことに驚き、皆が注目する。
そして映像の中のタダシは続けた。
「本日は皆さまに重大な発表があり、こうして会見を行わせていただきました」
「先日発生した住民暴徒化事件。多数の死傷者を出したあの凄惨な事件は皆さまの記憶に新しいかと存じます。その犯人の詳細が判明したため――発表させていただきます。その犯人とは――」
唾を飲む人々。そして――タダシは言った。
「《転生者》と呼ばれる、この世界の外よりやってきた侵略者だったのです。彼らは元住む世界で一度死亡し、《神》に連なる存在によって再び命を得てこの世界にやってきたのです。
それも――我々では到底敵わぬ特別な力を与えられて。これがその証拠です。ご覧ください」
そう言うと、映像が切り替わる。
それは――先日行われたガットネロの構成員とケイトとの交戦時の記録であった。
構成員の装着していたパワードスーツに搭載されたカメラによる映像の中では、ケイトがマリスと融合する瞬間から、構成員がなすすべもなく次々に無力化されてゆく光景までが鮮明に映し出されていた。
「嘘だろ……」
「何だよあれ……」
その一方的な戦いに恐怖を覚える人々。
そんな時、再び映像が切り替わり、タダシが映し出された。
彼は再び語り出す。
「ご覧いただいた通り、あの者たちの力は絶大です。あの《ガットネロ》でさえ、手も足も出ませんでした。……しかし、ご安心ください」
そうタダシが言うと、彼は立ち上がって懐から何かを取り出した。
それは――シャンパンゴールドのカラーリングで仕上げられたスマートフォンであった。
そして彼はそれを起動し、言う。
「《装着》」
瞬間、彼の身体は白い光に包まれた。それが収まると、そこには――黄金の戦士、《ジャスティマギア》が立っていた。
「この度我々が開発したこの新兵器、その名も《ジャスティマギア》。これはその《転生者》の持つ力を解析し作り上げたものです。この力で、我々《レイヴンズ》があの者たちの脅威から皆様の安全を守ることをお約束いたしましょう」
その言葉に沸き立ち、コールを送る民衆。
映像の中のタダシは変身を解除し、にこやかに手を振って笑って見せた。
「それでは、これにて会見を終了とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました」
そうして、映像は途切れた――
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「よし。ここまでは予定通りだ。後は……」
そしてレイヴンズ本部。会見を終えたタダシはそう呟くと、椅子に座り手を組む。
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