チートスキル『学習(ラーニング)』で異世界最強 ~Malice・Awaking~

さぼてん

文字の大きさ
36 / 46

35 2068:エヴォリューション・タイム

しおりを挟む
「グッ……ウァッ、アウゥ……」

強く降りしきる雨の夜。獣の如き唸り声を上げる一つの影があった。
痛々しく脚を引きずり歩くそれは、他でもないアヤツジ・ケイトの姿であった。
その最中――街頭に設置された大きなテレビの前を通った際。彼の耳にあるニュースが飛び込んでいた。

『先日発生した市民病院爆発事故について、警察はテロの――』

すぐに通り過ぎたため彼の耳にはそこまでしか入っていなかった。が――

(……何で、何で俺は)

人気のない廃工場へと入り、力なく鉄骨に腰掛け膝を抱えて項垂れる。
《一を聞いて十を知る》。内心で自分を責め立てる彼には、この事故の――否、《事件》の真相がすべてわかっていた。

(何で俺は、あんなことを――!)

そう――爆発事件の犯人は、他でもない彼自身。アヤツジ・ケイト自身なのだから。

事件が発生したあの日の朝。彼が異世界において自身を惨たらしく殺害した男に似た医師と遭遇したことがその発端だ。
あの時彼に巻き起こった恐怖や憎悪、怒り、そう言った《負》の感情が一気に解き放たれ、新たな力を目覚めさせたのだ。
しかし、まだその力は不完全。あと一押し――何かが必要だ。

「やぁ、久しぶりだね。アヤツジ・ケイト君」
そのために、私は彼の前へと姿を現した。

「貴方は――?」
突然現れた私のことを、怯えた目で見つめる彼。
私は目線を合わせ、答えた。



「そうだね……神の使い、とでも言っておこうか?」

あえて、彼と初めて会った時にかけた言葉を選ぶ。それを聞き、彼も思いだしたようだ。
そして彼は途端に血相を変え、私へと詰め寄る。

「貴方が、貴方が俺を蘇らせたんですかっ!?何で、何であんな力を俺に!」
よほど錯乱しているのか、怒りの形相でまくしたてる彼。
しかし、それは見当違いだ。
私がやったのは、彼をこの地球へ導くという事だけ。彼に発現したあの力は、まぎれもなく――

「あれは君自身が目覚めさせた、君の力なのだよ?アヤツジ・ケイト君」

私は彼の手を払いのけつつ、そう返す。
そうすると、彼の顔から血の気が引いた。地面にへたり込み、目を見開く彼。
その口は、「俺自身の、力?」――と力なく呟いている。
私は彼に合わせる形でしゃがみ込み、その肩に手を置いて言う。

「そう。あれは君が生み出した力さ。君は進化し、復活したのさ」
「進化……?復活……?」
「君の中に渦巻く哀しみ、絶望、怒り、憎悪。そんな《悪意》が、君の存在を生物として新たなステージへと引き上げたのさ。もはや君は、人間と言う矮小な存在なんかじゃない」
私は一つの花束を差し出し、告げる。










「ハッピーバースデー、超進化生命体エヴォリュート。今日から君が、新たなマリスだ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
 40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。  しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。  おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。  漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。  この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  二月から週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

異世界で幸せに~運命?そんなものはありません~

存在証明
ファンタジー
不慮の事故によって異世界に転生したカイ。異世界でも家族に疎まれる日々を送るがある日赤い瞳の少年と出会ったことによって世界が一変する。突然街を襲ったスタンピードから2人で隣国まで逃れ、そこで冒険者となったカイ達は仲間を探して冒険者ライフ!のはずが…?! はたしてカイは運命をぶち壊して幸せを掴むことができるのか?! 火・金・日、投稿予定 投稿先『小説家になろう様』『アルファポリス様』

処理中です...