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36 2068:ロスト・ホープ
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「超進化生命体……?いったい、何の話をしているんだ?」
告げられた言葉が呑み込めていないようで、私にそう尋ねる彼。その眼には、怯えと不安が入り混じっているのがよくわかる。
彼の肩に手を置き、私は囁く。
「さっきも言っただろう?君は《進化》を遂げたのさ。君は神の創造物としての範疇を逸脱し、大いなる力を持つ存在に生まれ変わったんだ。その力があれば、全ては君の思うがまま。さぁ、君は何がしたいんだい?」
そんな私の言葉に何も返さず、ただ首を横に振る彼。
まぁ、当然の反応だろう。いきなりこのような話をされてすぐに飲み込めるものなどそういやしない。
しばらくして彼は、私の手を払い除けパニック状態のまま走り去っていった。
行先はおおよそ見当がついている。彼はまず間違いなく――《あの人物》を最後の拠り所とするだろう。
だが、そうはいかないよ。せっかくあと一押しと言うところまで来たんだ。
君には、さらなる絶望を知ってもらう。そしてそれが、最後のキーとなるだろう。
そう思いつつ、私はこの場から姿を消した。
さぁ、綾辻形人――私の操り人形君。いよいよ最終章の幕開けだ。
※
「ハァッ……ハァ……」
土砂降りの雨の中、息を切らしつつも駆ける俺。
俺はある場所を目指し、ついに辿り着いたところだった。
その場所とは――
《綾辻》、と書かれた表札がある、古びた民家だった。
そう、ここは紛れもなく――俺の、アヤツジ・ケイトの家だ。
この家があるという事は、家主がいるという事。つまり――
「母さん、父さん……っ」
俺を生んでくれた両親が、まだこの世にいるという証だ。
俺は縋りつくようにインターホンを押す。聞き慣れた、しかし久しぶりの音が俺の耳を刺激する。
そしてすぐ。ガチャリ、と鍵が開いた。
きっと二人なら。親である二人なら。俺を俺だとわかってくれる。俺は人間、アヤツジ・ケイト。生まれ変わったとはいえ、二人の息子だと――そう理解し、受け入れてくれる。
ドアの開きが大きくなるたびに、俺の期待は膨らんでゆく。
そして――ドアが開いた。
そこにいたのは、すっかり年を取ってしまった女性の――母さんの姿があった。
俺は思わず――
「母さん……」
そう呟いていた。
しかし――母は黙ったまま。
「……ごめん。訳わかんないよね」
当然と言えば当然の反応か。死んだはずのわが子が突然現れて、混乱しない人間などいない。
でも、俺は正真正銘、二人の息子だ。そのことを――今から説明していこう。
そう思った矢先だった。
母さんが口を開いたのは。
「やっぱり現れたわね……息子を語る悪魔め!」
告げられた言葉が呑み込めていないようで、私にそう尋ねる彼。その眼には、怯えと不安が入り混じっているのがよくわかる。
彼の肩に手を置き、私は囁く。
「さっきも言っただろう?君は《進化》を遂げたのさ。君は神の創造物としての範疇を逸脱し、大いなる力を持つ存在に生まれ変わったんだ。その力があれば、全ては君の思うがまま。さぁ、君は何がしたいんだい?」
そんな私の言葉に何も返さず、ただ首を横に振る彼。
まぁ、当然の反応だろう。いきなりこのような話をされてすぐに飲み込めるものなどそういやしない。
しばらくして彼は、私の手を払い除けパニック状態のまま走り去っていった。
行先はおおよそ見当がついている。彼はまず間違いなく――《あの人物》を最後の拠り所とするだろう。
だが、そうはいかないよ。せっかくあと一押しと言うところまで来たんだ。
君には、さらなる絶望を知ってもらう。そしてそれが、最後のキーとなるだろう。
そう思いつつ、私はこの場から姿を消した。
さぁ、綾辻形人――私の操り人形君。いよいよ最終章の幕開けだ。
※
「ハァッ……ハァ……」
土砂降りの雨の中、息を切らしつつも駆ける俺。
俺はある場所を目指し、ついに辿り着いたところだった。
その場所とは――
《綾辻》、と書かれた表札がある、古びた民家だった。
そう、ここは紛れもなく――俺の、アヤツジ・ケイトの家だ。
この家があるという事は、家主がいるという事。つまり――
「母さん、父さん……っ」
俺を生んでくれた両親が、まだこの世にいるという証だ。
俺は縋りつくようにインターホンを押す。聞き慣れた、しかし久しぶりの音が俺の耳を刺激する。
そしてすぐ。ガチャリ、と鍵が開いた。
きっと二人なら。親である二人なら。俺を俺だとわかってくれる。俺は人間、アヤツジ・ケイト。生まれ変わったとはいえ、二人の息子だと――そう理解し、受け入れてくれる。
ドアの開きが大きくなるたびに、俺の期待は膨らんでゆく。
そして――ドアが開いた。
そこにいたのは、すっかり年を取ってしまった女性の――母さんの姿があった。
俺は思わず――
「母さん……」
そう呟いていた。
しかし――母は黙ったまま。
「……ごめん。訳わかんないよね」
当然と言えば当然の反応か。死んだはずのわが子が突然現れて、混乱しない人間などいない。
でも、俺は正真正銘、二人の息子だ。そのことを――今から説明していこう。
そう思った矢先だった。
母さんが口を開いたのは。
「やっぱり現れたわね……息子を語る悪魔め!」
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