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第二話 水底の悪夢 ~プロローグ~
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――背の高い木々に囲まれた、巨大な湖。夜明けの太陽を美しく反射させるその湖畔に、一人の少女がいた。
「~~~♪」
少女は、唄を歌っていた。心地よく、明るい唄を。そんな時だった。ザバァ、と湖が大きく波打つ。
「ヌシ様――っ!」
それを見た少女は、明るい笑顔で手を振り、何かの名を呼んだ。
「~~~♪」
そしてその何かに聞かせるように、唄い続けた。
湖の中に潜む、黄色い二対の眼に――
第二話
水底の悪夢
奇械水棲獣アイアンス
登場
※
「すっげぇ……!」
それが、アサヒの第一声だった。
(すげぇ!すげぇよソル!ほんとに異世界だ!)
彼は心の内で、ソルに抑えきれぬ興奮を伝える。
目の前に広がるのは、まるでゲーム――とりわけRPG――や漫画の中に出てくるような、レンガ造りが主体の街並み。
通りを行きかう、それぞれに武器を携えた人々。
冒険家の父から継いだ血が、そうさせるのだろうか?
まさしく『異世界』といったこの風景に、彼は子供のように目を輝かせていた。
《アサヒ。本来の目的を忘れていないか?》
それを諫めるように語り掛けるソル。
(大丈夫、忘れちゃいないぜ)
――彼らがこの世界にやってきたのは、ついさっきのことだった。次元奴隷商の船が発する反応を追い、次元を超えてここにたどり着いたのだ。
(けどよソル。)
《何だ?》
(本当にここにあいつらがいんのか?見た感じ、なんか平和そうだけどさ)
《平和の裏には、常に影があるものだ。奴らはその影に潜み、平和を脅かす》
(……そっか。そうだよな)
こうして精神内での会話を切り上げると、アサヒは軽く手を打ち合わせ、気合を入れる。
「おっし、じゃあとりあえず聞き込みだな!」
アサヒは意気揚々と、通りの中へと入っていった――
※
――数時間後。アサヒは湖畔にて一人、佇んでいた。
「……」
とても、渋い顔をして。
言葉や文字は、ソルが仲介してくれているおかげで問題ない。
調査は進展しなかったが、いきなり有益な情報が得られるとはハナから思っていないため、問題ではない。
では、何が問題なのだろうか?
それは――
「腹、減ったあぁぁぁぁーーっ!」
そう、空腹だ。
彼は四肢を投げ出し、空に向かって叫んだ。
彼は異世界人――当然、この世界の通貨など何一つ持っていない。
しかし人として食い逃げや窃盗に手を染めるわけにもいかない。
ならばどうするか?その答えが――
《やはり……釣れんな》
釣りだった。その辺りにあった木や蔦で釣竿を自作したまではいいが、こんなものに魚が食いつくはずはなかった。
「やべぇ、大声出したらまた腹が」
彼はすっかりまいってしまっていた。
《いっそ、直接潜ってみるというのはどうだ?》
ソルがぼそりとつぶやく。
「いいね!それだ!」
アサヒはそれに食い気味で賛同。上着を脱がんとし始める。
《お、おい!よせ、冗談だ!》
「よーし、目指すぜ大漁ぉーーっ!」
《ま、待つんだアサヒ!?アサヒぃーーっ!!》
――もう、彼は疲れていた。
そんな時。
「あのぅ……何、してるんですか?」
彼の後方から声がした。アサヒが振り向くと、そこには水色の長い髪をした少女が立っていた――
「~~~♪」
少女は、唄を歌っていた。心地よく、明るい唄を。そんな時だった。ザバァ、と湖が大きく波打つ。
「ヌシ様――っ!」
それを見た少女は、明るい笑顔で手を振り、何かの名を呼んだ。
「~~~♪」
そしてその何かに聞かせるように、唄い続けた。
湖の中に潜む、黄色い二対の眼に――
第二話
水底の悪夢
奇械水棲獣アイアンス
登場
※
「すっげぇ……!」
それが、アサヒの第一声だった。
(すげぇ!すげぇよソル!ほんとに異世界だ!)
彼は心の内で、ソルに抑えきれぬ興奮を伝える。
目の前に広がるのは、まるでゲーム――とりわけRPG――や漫画の中に出てくるような、レンガ造りが主体の街並み。
通りを行きかう、それぞれに武器を携えた人々。
冒険家の父から継いだ血が、そうさせるのだろうか?
まさしく『異世界』といったこの風景に、彼は子供のように目を輝かせていた。
《アサヒ。本来の目的を忘れていないか?》
それを諫めるように語り掛けるソル。
(大丈夫、忘れちゃいないぜ)
――彼らがこの世界にやってきたのは、ついさっきのことだった。次元奴隷商の船が発する反応を追い、次元を超えてここにたどり着いたのだ。
(けどよソル。)
《何だ?》
(本当にここにあいつらがいんのか?見た感じ、なんか平和そうだけどさ)
《平和の裏には、常に影があるものだ。奴らはその影に潜み、平和を脅かす》
(……そっか。そうだよな)
こうして精神内での会話を切り上げると、アサヒは軽く手を打ち合わせ、気合を入れる。
「おっし、じゃあとりあえず聞き込みだな!」
アサヒは意気揚々と、通りの中へと入っていった――
※
――数時間後。アサヒは湖畔にて一人、佇んでいた。
「……」
とても、渋い顔をして。
言葉や文字は、ソルが仲介してくれているおかげで問題ない。
調査は進展しなかったが、いきなり有益な情報が得られるとはハナから思っていないため、問題ではない。
では、何が問題なのだろうか?
それは――
「腹、減ったあぁぁぁぁーーっ!」
そう、空腹だ。
彼は四肢を投げ出し、空に向かって叫んだ。
彼は異世界人――当然、この世界の通貨など何一つ持っていない。
しかし人として食い逃げや窃盗に手を染めるわけにもいかない。
ならばどうするか?その答えが――
《やはり……釣れんな》
釣りだった。その辺りにあった木や蔦で釣竿を自作したまではいいが、こんなものに魚が食いつくはずはなかった。
「やべぇ、大声出したらまた腹が」
彼はすっかりまいってしまっていた。
《いっそ、直接潜ってみるというのはどうだ?》
ソルがぼそりとつぶやく。
「いいね!それだ!」
アサヒはそれに食い気味で賛同。上着を脱がんとし始める。
《お、おい!よせ、冗談だ!》
「よーし、目指すぜ大漁ぉーーっ!」
《ま、待つんだアサヒ!?アサヒぃーーっ!!》
――もう、彼は疲れていた。
そんな時。
「あのぅ……何、してるんですか?」
彼の後方から声がした。アサヒが振り向くと、そこには水色の長い髪をした少女が立っていた――
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