28 / 57
第一章 大領地の守り子
27シュナイザー商会はやっぱり曲者です
しおりを挟むベルグラードの全体的に内容が濃縮された授業を終え、時間を確保したわたくしはハーブティーの開発に時間を使えるようになりました。
二度目は一人でシュナイザー商会に行こうと思っていたのですが、前回の訪問者のようにわたくしに悪意を持った方がいたら危ない、とのことで先生も引き続きついてきてくださるそうです。
「わたくし、暴漢が来ても倒せる自信だけはあるのですが……」
「君はまだ子供なんだから、大人に甘えておきなさい。あとはもしかすると、危害を加えるとまずい人間もいるかもしれないからね。そう言う場合は僕がなんとかするから、リジェットは何も手を出しちゃいけないよ」
確かに、わたくしより身分が高い方だったりすると危害を加えられて、正当防衛を行っただけでも不敬になってしまうことがありますものね。
わたくしはまだ、政治的要素には疎いところがありますから、そう言った部分は先生にお任せしましょう。
さて、どうやってこれから事業を展開していくか、ということを詰めながら考えていかなければならないのですが……。
ハーブティーを製造し、国中に販売することを考えると、わたくしが剣のお稽古で使っている森で個人的に管理する分だけではどう考えても足りません。
採取ではなく栽培をしなければ……このままでは取り尽くして、植物自体がなくなってしまいますもの。
わたくしはもちろん農産物の生産者の知り合いはいませんので、シュナイザー商会に紹介してもらいましょう。
それを先生に話すと、意外にも苦い顔をしていました。
「以前クリストフが言っていた農場の商会の件を受けようと思ってるの?」
先生は少し心配そうな顔でわたくしに声をかけます。
「ええ、以前足を運んだ際に、薬草部門の農場を紹介してくれるってクリストフが話していたでしょう?
お言葉に甘えて、そちらを紹介していただこうと思っているのです」
「そう……。でもクリストフが親切に使い勝手の良い土地を紹介してくれるかなあ? なんだか裏がありそうなんだよね」
「え? どうしてですか?」
わたくしの事業はシュナイザー商会の利益にもつながりますし、変な土地は押し付けないと思うのですが、先生はその様には思わない様です。
「そうか……。リジェットはこれでも領主一族に大切に育てられた箱入りのお嬢様だもんね。他人の悪意に触れる機会も少ないがら気がつかないよね……」
どこかしょんぼりした先生の表情は、一歩先の未来を見ている様で、わたくしはその表情にドキリとしてしまいます。
どうして先生はそんなにシュナイザー商会の行動を危惧しているのでしょうか。領主の娘であるわたくしに何かふっかけるなんて……。そんな、まさか、ねえ……?
先生の家に行く次の水の日、家庭教師に頼み込んで一時間早く座学を切り上げ、シュナイザー商会に足を運びます。
移動は屋敷から直接ではなく、先生の家から転移陣を用いて前回のようにシュナイザー商会の前に降り立ちます。
もちろん先生に、怒られてしまいますので髪の色は水色に変えていきました。
シュナイザー商会につくと、パンツスーツを着たクリストフの部下の女性がお茶を用意してくれます。美味しそうなケーキも出してくれますが、それには釣られません。今日は商談にきたのですから。それにこの後、先生の家に行く予定もありますからね。
クリストフにここまで料理人のタセと相談して決めたことを伝え、大体の方向性を決めて行きます。
「なるほど! ハーブティーに薬効があることを前面に押し出し、他の商品と差別化するのですね」
「ええ。長く愛飲していただくためには味だけでない要素も必要かと思いまして。何かに愛着を持つためには理由が必要ですから」
「素晴らしい! リジェット様はそこまで考えて商品開発をされているのですね」
クリストフは目を三日月型にして嬉しそうにわたくしの方を見ています。
「それと、今後の話になるのですが、オルブライト家のカフェでハーブティーの販売をしたいと考えています」
「おや? わたくしどもの独占販売にはしないつもりですか?」
「ええ。でも、あなた方にとっても悪い話ではないと思いますよ? わたくしは今後ハーブティーをオルブライト領の特産品にして行きたいと考えていますが、それを外部販売できるのはあなた方だけなのですから」
オルブライト、と言う土地のブランドを使えますよ? と続けるとクリストフは楽しげに凶悪な顔で笑います。直売所のことは、販売範囲が重ならないということで、どうにか容認していただけたようですね。
「お時間とっていただきましてありがとうございます」
「いえいえ、リジェット様がお持ち下さったハーブティーはとても人気がありますので、新たな商材をいただけるのであれば、こちらとしても大歓迎ですよ。
以前いただいたものはあまり量がなかったので、百貨店の外商部が選定したお客様のみに販売を行っていたのですが、大変好評でした」
「まあそうでしたの」
話を聞くと持ち込んだ一回目のハーブティーは量が大変少なかったので、シュナイザー百貨店のお得意様にプレミアをつけて先行販売という形で販売したそうです。
購入いただいたのは、わたくしでもよく存じ上げているような、格式高い貴族の方々でした。流行の最先端にいる方々なので、今回のハーブティーの存在を他の方々に広げてくださったようです。
今後大幅に販路拡大をしていくにあたって、口コミを広げてくれそうな貴族の方に購入していただけたのはとても幸いなことでした。
「個人で栽培となると、量も限られてしまいますし、今後のことを考えると農家の方と契約をした方がいいでしょうね」
「でしたら、シュナイザーの薬草部門の契約農場がありますので、そちらをよかったらお使いください。
新たに農場を見つけるとなると時間がかかってしまいますからね」
それはとてもありがたい申し出です。やはり、流行り物はスピードが命ですので、できるだけ早く、大量に市場に流すことが重要です。
それにわたくしもあと一年も立たないうちに王都の方に移動しなければなりません。
できれば、この冬のうちに畑の様子を確かめて、春になったら、すぐに栽培を始めなければ秋の入学に間に合いませんもの。
そうなると、このハーブティーのオリジナルブランド化に携わることができなくなってしまいますので、早いうちにわたくしがいなくとも、商品が生産できるシステム構築をしておくべきでしょう。
「その土地は薬草の産地として栄えた土地ですから、村民の薬草作りのノウハウもきっと香草茶作りに役立つでしょう」
まあなんと。指導しなくとも大体の作り方を知っている方々がいるなんて心強い限りです。
ただ、その土地の土壌がハーブ作りに本当に適しているかは、確認しないとなんとも言えないでしょうから、自分の目で確認は必要でしょうね。
「農場の土の様子も確かめたいですし、働いている方々にもお話を通したいので一度、現地に見学に行くことは可能でしょうか」
「ええ、もちろん。リジェット様は水の日に動かれるようですから、次の水の日はいかがでしょう」
「わたくしの方は……。先生来週はお教室をお休みしてもよろしいでしょうか」
チラリと先生の方に目をやると、先生は考え込む様な仕草をしていました。なぜか、眉間に深いシワが刻まれていて、深刻そうな表情に見えるのは気のせいでしょうか?
「いや、僕も行った方が良さそうだからついていくよ。
いろいろ気になることもあるしね。……シュナイザーの契約農場というと、マルトのあたりかな?」
先生がそういうと、クリストフは一瞬真顔になりかけて、すぐ表情を取り繕う様に笑顔を作ります。
「左様でございます」
「マルトはまだあのまま使っているの?」
先生は何か思うところがあるようで、片方の眉を上げた仕草をしました。”マルト”という土地は何か曰く付きの土地なのでしょうか。
「ええ、あのままでございますね。
あの土地の契約は今年までかと考えていましたので、リジェット様やクゥール様の方で、好きに手入れをしてくださって構いませんよ」
クリストフは商人らしくとり作らわれた笑みを浮かべています。三日月型に細められた赤紫色の瞳からは何かを企む時の楽しさのようなものを感じます。
「マルトには名持ちや役職持ちの貴族はおりませんの?」
「ええ、いらっしゃいません。あそこは平民のみが住んでおります。それゆえに他の土地とは少し様子が違うのかもしれませんね」
他の土地とは違う……?
マルトには一体、何があるのでしょう……。どうやらわたくしは曰く付きの土地を押し付けられてしまったようです。
「リジェット、マルトを訪れる際はいつもの様なドレスではなく、騎士服で来る様に」
「え? ……はい、かしこまりました」
「それがいいでしょうね。何せマルトは田舎なものですから」
クリストフが口元だけをにこりと動かし、表情を作ったことに違和感を覚えます。なんだかよくわかりませんが、この感じ、何かよくないものがある気配がします。
とりあえず万全の準備をして向かうのが良いかと思ったわたくしは先生に教えてもらった防衛の魔法陣や攻撃系の魔法陣を描いて持って行こうと心の中で計画をしました。
「先生はマルトのことはご存知だったのですか?」
シュナイザー商会から帰った後、いつもの様に先生の家で魔法陣教室の中で、先生に気になったことを効いてみることにしました。
わたくしの質問を受けた先生は、眉を下げ神妙な顔をしている様に見えました。
「うーん。知っているといえば知ってるけど……。僕が知っているのは五、六年前の様子だからなあ。今と同じなのかはわからないな」
「マルトに行ったことがあるのですか?」
「うん。セラージュにオルブライト領に連れてきてもらって、どこに住もうか決めかねて、オルブライト領中を回って視察してた時期があるんだよね」
「へえ、そんなことしてたんですか」
先生はミームを居住地に最初から決めていたわけじゃなかったのですね。
「その時みた、マルトは薬草の産地として栄えていて、意外と住みやすそうな感じだったけど、一緒に居たセラージュがあんまり興味なさそうな感じだったんだよね。セラージュは統治上、オルブライと直轄の町だとか、栄えている場所を重要視する傾向があるから、もしかしたらマルトにあんまり手入れしてないんじゃないかな……と思って」
「手入れ? とは具体的には何を?」
「ああ言う土地は放っておくと荒れるんだよね。あれ方はそれぞれだけど。
利権を貪ろうとする貴族に食い物にされたり、魔獣が増えたり……。権力者が守らないと衰退する」
なるほど……、と先生の意見を聞いてわたくしは納得してしまいました。クリストフはマルトには貴族は常駐していないと言っていましたので、前者はないかもしれませんが後者はあり得ます。わたくしも剣のお稽古の一環で魔獣の討伐に行ったことはありますが、人の手が加わっていない深い森に出やすいと、剣の先生に教えてもらいました。
お父様がマルトという土地を重要視しておらず、野放し状態になっているとしたらそこには多くの魔獣が生息している可能性があります。
「と、なるとマルトに行くと魔獣狩りができるかもしれない、ということでしょうか?」
わたくしはついウキウキとした表情で先生の方をぐりんと勢いよく振り向きます。
「ちょっと待って。なんで狩る気でいるの? 果物狩りみたいなテンションで言わないでよ」
「魔獣狩りというとどんな武器が有効なんでしょう? いつも通り剣でいいのかしら? ああ、切れ味が肝心かもしれませんから向かう前に研いでおいた方がいいかもしれませんね! どんな切れ味なのかしら……。魔獣……。捕縛するための縄とかも必要ですかね? あ、網⁉︎ もしかしたら網必要かもしれませんね!」
「あの……。止まって? リジェット」
「そ、そんなこと言われてもこのワクワクを止めるなんてっ!」
久しぶりの魔獣討伐の予感に、つい遠足前の気分になってしまいます。
「やっぱり……、心配だからついて行こう……。この感じ、絶対なんかやらかす」
「まあ、失礼な! わたくし恙無く全てこなして見せますよ?」
「ちょっと小金が欲しいなって会話から、オリジナルブランド立ち上げて契約農場も借りよう! なんて流れになる人間が、恙無く全てを行うなんて絶対できないでしょう。きっと僕の想像を超えるなんらかをやらかす」
「まあ……。先生は心配性ですね? わたくしはこんなに大人しくしているのに」
「今、ヨーナスの気持ちが痛いほどわかるよ。心配だし、僕が振り回され始めている……」
先生とヨーナスお兄様が何をお話ししたのかはさっぱりわかりませんが、二人の気持ちの距離は少し縮まった様です。ヨーナスお兄様、よかったですね!
その後、何かあるといけないからと焦った様子を見せた先生はわたくしに実践的な魔法陣をたくさん教えてくださいました。
新しい魔法陣を使える機会があるといいな……。と使用方法を想像しながらわたくしは必死にそれらを描き写しました。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
公爵家の秘密の愛娘
ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。
過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。
そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。
「パパ……私はあなたの娘です」
名乗り出るアンジェラ。
◇
アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。
この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。
初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。
母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞
🔶設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞
🔶稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇♀️
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる