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第一章 大領地の守り子
30条件を解き明かします
しおりを挟む「今日は馬車がないですから、また後日ニエの移動は考えましょう。ニエの家族には先に手紙で連絡したほうが良さそうですね」
話の流れで、ニエをマルトから出すことが決まってしまいましたが、わたくしも何も用意が整っていません。別邸の使用人部屋が空いていますし、タセもいますから、住食は確保できますが……。いきなり連れ去ってしまうのは誘拐ですから。
「あ、俺家族いないから、キン村長に世話になってるんだよね。送るならキン村長のとこに送っといて」
家族がいない、というところに引っ掛かりを覚えましたが、あまり深く聞いていいものか悩んでしまいます。
「わかりました。そうしますね」
わたくしはさらっとそれを受け流し、深く追求しないことにしました。しかし、ニエは自分から情報を開示していきました。
「ねえ、リジェット様。魔法陣って書くのに資格証が必要だったり、身分が必要だったりするの? 勝手に描いたら法律違反になったりする?」
いきなり考えてもいない方面の質問が飛んできて驚いてしまい、口籠ってしまいます。
「え、いや……。そんなことはないと思いますけど……」
もし違反だったら、わたくしが罰されてしまいますし……。
一応ハルツエクデンの法律だと、禁術以外の魔法陣作成の自由は国民に認められています。禁術作成を行うと、投獄されてしまうんでしたっけ……。
「よかった……。告発とかあったらたまったもんじゃないから」
その口ぶりを聞くと、マルトには魔術師が存在しているように聞こえます。
「もしかしてニエは魔法陣を描くことができるのですか?」
「俺は無理だけど……。大きな声では言えないけどさあ。うちの母ちゃん、生きてた頃魔法陣っぽいものを見様見真似で描いてたんだよ。褒められたものじゃないけど」
「え! ニエのお母様は魔法陣が描けたんですか⁉︎」
「描けたってよりは写せたんだよ」
驚いて言葉も発せずにいると、ニエは淡々と説明を続けます。
「マルトだと結構写せるやついるぜ。みんな子持ちの母親ばっかだけど五人はいるんじゃないか? みんなここ十年の間で子供を産んだ人たちばっかりだよ」
「もしかしてですけど、その人たちは出産の魔法陣を使わずに子供を産んだりしていませんか?」
「え⁉︎ なんでわかるの⁉︎ ……まあ、そうなんだけど。出産の魔法陣は高いから、前のが壊れてこの村だと買えないらしいんだよね。村長が言ってた」
子持ちの母親……。お母様もわたくしを産んだことがきっかけで魔法陣が使える様になったとおっしゃっていました。
魔法陣を描くにはなんらかの条件満たすために出産が関係しているのかもしれません。
きっとみんな、条件を満たしているんだわ……。
「まあ、見様見真似で魔法陣を描くなんて自殺行為だからな……。うちの母ちゃんはそれで死んじゃったし……」
「え⁉︎ 死⁉︎」
日頃わたくしが学んでいる魔法陣と死という言葉がうまく噛み合わずわたくしは目を大きくしてニエの顔を見ます。
「魔法陣って間違ったまま、発動させると誤作動起こして、爆発するだろう? それでうちの母ちゃんは死んだんだ。冬の寒い日に、暖炉の火が消えちゃって……。その火をつける魔法陣を間違えて、死んじゃったんだ。おんなじようにこの村でも結構人が死んでるから、みんな本当に必要な時くらいにしか魔法陣なんて描かないけどな」
「え! 魔法陣って爆発するんですか?」
「えええ? 常識でしょ? リジェット様知らなかったの?」
魔法陣が誤作動すると人が死ぬような爆発事故が起こるなんて、先生教えてくれていませんけれども⁉︎ 通りで魔法陣を描くことが普及しないわけです。
もし、わたくしが間違えていたら死んでいた……ということでしょうか? 今まで間違えて作成した魔法陣を作動させなかったなんて奇跡なのではないでしょうか。
自分の運の良さに感謝するしかありません。
「というわけで、ニエをいずれオルブライトの別邸に迎えることになりました」
「え……。全然意味がわからないんですけど……」
次の水の日、わたくしは先生にニエを引き取ることを先生に告げました。
この流れを先生は理解しきれない様で、表情には意味がわからない、とそのまま書かれている様な気さえしました。
「どうして、君はそのニエって子にそんなに入れ込むのかな? 彼は見たところそんなに魔力もないだろう……。君よりはあるだろうけど」
「最後の一言余計ですよ」
魔力が少ないことは地味に気にしているのですから、ツッコミを入れないでいただきたいです。
確かにニエはミルクの多いミルクティーの様な薄い髪色をしていて、魔力は多く見込めません。しかし彼にはそれ以上の魅力がある様に感じます。
「ニエは勘がいいんですよね。異常に。まるで思考を読んでるみたいに思える時があります」
「ふーん。それはちょっと面白いね……。だけども……」
言葉を止めた先生は、片手を伸ばしチョップをする様に、わたくしの頭にゴンと落とします。
「えっ! いきなりなんですか⁉︎ すっごい衝撃だったんですけど、わたくしの頭へこんでません⁉︎」
「へこんでないよ。でも君は子供の人生を狂わせたっていう自覚がある?」
先生は冷たい視線でわたくしの顔を一瞥します。
「料理人のタセはまだいいよ。彼女はもう成人してるし、いい大人だ。自分で自分の人生を選択できる。でもニエはまだ子供だ」
わかっていたつもりのことですが、第三者から改めて指摘されると、その重大さがよくわかります。ニエは保護されるべき子供です。その保護者をわたくしが請け負うということになりますから、責任重大です。
「権力者に逆らえず動かされる子供の気持ちなんてちっともわからないだろう?」
今まで先生はことなかれ主義、というかそこまでわたくしのやることを叱りつけたりはしたことがなかったので、わたくしは驚いてしまいます。
「わたくしは、ニエにきっかけは与えましたが、こちらの権力を押し付けて移動を命じたわけではありません。ニエが村から出たい、という意思を尊重して手助けをしただけです。きちんと衣住食は確保しますし、健康で暮らせる様に思案しますから」
わたくしが説明をすると、先生は不機嫌な表情をしたまま、はあ、と大きなため息をつきました。
「それでもあの子を動かしたことには違いないんだから、あの子の今後について、きちんと責任は取るんだよ?」
「わかっています」
わたくしは先生に怒られて、改めて自分の行動がどう周りに影響するのかを考えさせられたのです。
「話を聞いてる感じだと、君、あの後マルトに行ったってことだね? 馬車で……。君が屋敷の馬車を使えばセラージュに知られるか……。もしかしてリジェット、勝手に転移の魔法陣、マルト行きに描き換えた?」
「……はい。勝手に描き換えてすみませんでした。魔法陣は間違えて描いて作動させると爆発してしまうんですよね?」
ニエに間違った魔法陣を描いて使うと、爆発する、ということを聞くまでは魔法陣の書き換えがこんなに危険なことだとは知らなかったのです。
わたくしは項垂れて反省した様子を見せると、先生は怒った表情を少し緩めてくれました。
「多少間違ったくらいなら大丈夫だよ、変な要素組み込まねければさほど問題ないから」
「そうなのですか?」
その答えに少し安堵します。と言うことはニエのお母様はものすごく間違った魔法陣を作動させてしまったのでしょうか?
「作った転移陣、ちょっと見せてもらってもいい? ……あ、この魔法陣、間違えはないけど、魔力効率が悪いよ。元の魔法陣はほぼ魔力ゼロで使えるけど、これだと対価が必要になっちゃう。……きっと使った時に魔力の前借りが起こってるな」
魔力の前借り……。以前先生の家で身代わり人形を作った時に聞いた単語です。と、いうことは……。
「ってことはまたわたくし髪の毛が伸びないんですか⁉︎ ラマに叱られます!」
「人に聞かずに勝手にやるからいけないんだよ。自業自得。ほら、今回の問題点はこの部分、ここの動の要素の描き方が違う」
先生がトントンと指で叩いた箇所を凝視し、しっかりと記憶に焼き付けます。これからは同じミスはしません。
わたくしは気を取り直して、先生にニエから聞いた話を伝えます。
「……というわけでマルトには魔法陣を写せる女性が複数いるそうなのです」
「写せるってことは見て理解することも可能なんだろうね。魔法陣を描く資質がある人間なのか……」
「先生は魔法陣を描ける人間の条件に心当たりはないのですか」
「僕は気がついたときには描けたからなあ……。はっきりいつを境に描ける様になったのかイマイチはっきりしないんだよ」
その返答を聞いて、わたくしは境目の日を脳内で探します。
以前のわたくしは魔法陣というものが目に入っても中身までは理解できていなかった様な気がいたします。綺麗な模様だな、と思う程度で古語が描いてあるのもさっぱりわかりませんでしたし……。
しかし、ある日を境にそこに何が描いてあるのかわかる様になったのです。持てない剣を持とうとして、資料室に行った日にはもう魔法陣が読める様になっていたから、それ以前の……。
そう考えているとわたくしはあの不思議な体験を思い出しました。
マルトの女性達、お母様に共通するのは出産時に魔術具がなかったことでしょう。わたくしもその苦しみほどではないですが、熱で死にかけたことがありました。その時に体験したあの部屋の存在がボーダーだとしたら……。
「わたくし……。もしかしたらわかったかもしれません」
「え?」
先生の方をぐるりと向き肩を掴む様にして問いただします。
「つかぬことお伺いしますが、先生は高熱などを出してあわや死にかけるような思いはしたことがありませんか? その時に大きな黒い板がある、白い霧が広がった部屋に招かれませんでしたか?」
その質問を受けた先生は目を見開いて驚いています。
「……ある」
小さな声で呟く様に先生は答えます。
「マルトではここ最近、財政が著しく悪化していましたから、もしかしたら出産の魔法陣がなかったのかもしれません。出産の命がけで出産をした方が多かったのではないでしょうか? それがきっかけで魔法陣が描ける様になったと考えてるのが一番自然です」
「なるほどね……。それが条件なんだ。ということは今魔法陣が描けなくとも、一回死にかければ描ける様になるのかな?」
「それは……。どうでしょう。白い部屋に招かれるかどうかが微妙ですからね」
先生は怪しい黒い笑いを顔に浮かべています。あの……。実験として誰か殺したりしないでください……。とわたくしは心の中で願うことしかできません。
「先生、以前簡単な魔法陣を委託できる人材が欲しい、と言っていませんでしたっけ?」
「言ってたけど……。マルトの女性たちにそれを委託するつもり?」
先生は突然の提案に青ざめた表情をしました。
「ええ。マルトは薬草作りが盛んな地ですが、男性が中心で働いているそうで女性は家の仕事をしているらしいのです。でも本心では自分たちでもお金を稼ぎたいのではないでしょうか? そんな女性たちのための産業にぴったりではないですか!」
「そんなこと公にしたら、この国の情勢がひっくり返るよ⁉︎」
「公になんかしませんよ。あくまでこっそり自領だけで、マルトだけで進めるのです」
「それにしたって、マルトの女性に古語を教えないといけないし、魔法陣の練習もしないといけないしそれもそれで大変だよ? 短期間で美しい魔法陣が描ける人材が育つとは到底思えないけどなあ」
「前々から思っていたのですが、魔法陣ってもっと簡略化できないのですか?」
「簡略化?」
「ええ、わたくしは先生に魔法陣を教えていただいて、習った通りに魔法陣を作成していますが、ここまで高機能でなく、簡易的な魔法陣を購入したい方も多いのではないでしょうか」
「劣化版が欲しいってことだね?」
「はい、あとずっと気になってたんですが、この装飾って必要ですか?」
わたくしは先生の描いた魔法陣の模様の部分を指差します。先生の魔法陣には蔦の模様が入っています。
「うーん正直にいうと、なくても作動はするんだよね。どちらかというとこれは魔法陣の一部を隠して他の魔術師に自分の魔法陣を読み取られないようにする意図が大きいから」
「そうだったのですか!」
「うん、だから蔦の模様でなくても魔法陣は作動するよ。魔法陣を創作することができるだけの腕前を持った魔術師は自分のモチーフを持っていることが多いかな」
「じゃあ、わたくしも自分のモチーフを考えてもいいんですね! えー! だったら剣とか武器にしたいです!」
「武器……か……」
はしゃぐわたくしの隣で先生はなんだか遠い目をしています。
「美しくないからうさぎとかにしなさい。君らしくていいじゃないか」
「美しさって魔法陣に関係あります⁉︎」
「あるよ。僕のテンションが変わる。モチベーションが変わる。リジェットの魔法陣のモチーフを見るたびに微妙な気分になるのは僕としても避けたい」
くっ! それを言われたら諦めるしかありません。ただでさえ、わたくしは教えてを乞うている状態ですから、先生を不快にさせるのは避けなければなりませんね。
「話は戻るけどモチーフなく、極限までシンプルに作るのであればいっそ古語は無くすっていう手もあるよね」
「え! そんなことできるのですか!」
「うん。それぞれの属性を記号で表して簡略化する方法があるよ」
突然発表された裏技に思わず白目になってしまいます。
「なんでそっちを最初に教えてくださらなかったのですか……」
「何事も基礎が大事でしょ。記号で描く魔法陣は本当に導入版って感じだから応用が効かないしね」
「魔法陣を習い始めた初期の頃に古語をそれぞれ百回ずつ書取りした努力は無駄じゃなかったんですね……」
泥臭い努力をした日々が無駄にならずに安心したわたくしは、ほっとしてため息をつきました。
「……なんか薄々気がついてたけれど、リジェットってあんまり頭良くないよね。何か覚えるにしたって時間かけて体に覚えさせる感じだし……。古語くらいサクッと覚えるかなと思ったけど結構時間かかるんだもん」
「先生の頭の良さと比べないでください」
先生は自分が頭がいい自覚があまりないのですよね……。
「頭がいいって訳ではないけど人を巻き込む力はある」
そう言った先生は眉を下げて、呆れた顔でわたくしの顔を見ていました。
「わたくしのわがままや横暴さに嫌気がさしてしまいましたか?」
後ろめたくなって下を向きながらチラリと先生に視線を向けると、先生は眉を潜めながらも笑っています。
「大丈夫。予想の範囲外は超えてるけれど、まだ面白いなあと思える範囲だから」
「ちなみに面白いと思えなくなった時はどうなるのですか?」
「リジェットは幼い頃に遊んでいたおもちゃの末路を覚えてる?」
「興味がなくなると処分されてしまうのですね……」
先生はわかっているのならばよろしいと言わんばかりの酷薄な笑顔を向けています。先生には未遂ですが、王族を消そうとした前科があると伺っています。まあ、何かひどいことをしたから先生は手を下したんでしょうけど……。先生はわたくしの行動が度を超えそうになると、どうやら静かに脅して、変更を促す様です。
わたくしだって消されかけた王族の方々と同じ道を歩みたくはありません。先生の機嫌を損ねて消されないように注意しようとわたくしは胸に誓いました。
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