白兎令嬢の取捨選択

菜っぱ

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第一章 大領地の守り子

51先生と(領地では)最後の授業です

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「インクを作ろう」

 先生との最後の授業の日、先生はなんの前ぶりもなく、いきなりこう言い放ちました。

「インクですか?」

 わたくしはその言葉に全くピンときていませんでした。インク? インクですか?

 魔法陣に使うインクは特に指定されていません。なんでも良いのです。手紙を書くインクであっても、植物の汁出会っても、……自分の血液であっても。

 ですから、先生が今となっては貴重な最後の時間にインクを作ろうとする意味がよくわからなかったのです。

 わたくしはこれから、騎士学校に入りますから、先生の家に今のようには来られないと思われます。
 騎士学校は棋士としての強い心を養うために、家族との連絡もとることを禁止されてしまいます。

 実際に今騎士学校に在学しているヨーナスお兄様も、家族に手紙などは送っておらず、休暇の際に家に帰る時でないと連絡を取ることはできません。

 入学して少し時間が経った頃、騎士学校の内部状況が詳しく分かってくれば、監視の隙ついてこちらに来たいなとは思っていますが。

「こちらの領地に匿ってもらっていた当初、あんまりにも暇だったからインクの研究をしてたんだ」

 先生はインクづくりの経緯をポツリ、ポツリと話し始めます。

「魔法陣は描かれる模様の美しさや、要素の組み上げ方によって、その威力を変化させるのは周知されている。
 じゃあ、他に威力をあげる要素はないのかな……そんな疑問が湧き上がってね。
 暇ならいくらでもあったから実験して自分で確かめてみることにしたんだよ。
 ただのインク、魔法陣を多く利用して育て上げた植物の染料、魔力付与を行ったインク、自分自身の血液……いろいろ試したんだけど、やっぱりインクによって威力に違いが出てきたんだ」

 それは……。大事件ではないですか。

 今までの定説を覆す結果に口が塞がりません。この結果が得られたのは先生の弛まぬ努力と探究心の結果でしょう。先生は多分暇つぶしっておっしゃると思いますけど。
 この研究の結果はわたくしも気になります。

「どれが一番威力が大きかったのですか?」
「血液だよ」

 先生は目を閉じたまま、気怠そうに言い切りました。
 ……今日わたくしはインクづくりと称してご自身の研究用に血液を沢山取られてしまうのでしょうか。
 先生きっとわたくしのことを弟子という以前に半分おもしろい素材だと思っているでしょうから。

「でも、血液ダバダバ出してたら死んじゃうじゃん。
 それに僕痛いの嫌だし。
 で、調べて行ったら他のインクにも多少効果が上がるものがあったのさ。普通のインクよりも何か工夫をして、魔法陣作成に特化したインクに仕立てたものの方が、少しだけど威力が上がる。
 と、いう訳で血液を触媒として魔力を付加して、魔法陣で育てた植物染料ベースの特製魔法陣用インクを開発したんだよ」

 コトリと目の前にインク瓶が置かれます。
 血液色の真っ赤なインクかと思いきや、そこにおいてあるインクは海のように深く美しい青色をしていました。

「綺麗……」
「今日はこれを作ります。最後だからね」

 これを作ったら最後……。
 そう思うと我慢していた、涙がポツリと一滴瞳から溢れ出します。
 それを見て先生は驚いた顔をして、自分の指で涙を拭いました。

「なんで、泣くの?」
「先生と離れるのがきっと寂しいからですよ」

 その答えに先生はまた驚いた顔になります。きっと先生は自己肯定感が低いので、自分と会えなくなることで、寂しがる人間がいる、ということを心の底では理解できないのでしょう。

 それはとても悲しいことのように思えますが、先生はそういう世界にいたのです。

 先生は浅く、長めにため息をついた後、わたくしを嗜めるように口を開きます。

「君は貴族らしくないね。オルブライト家の情緒教育はどうなっているんだ」

 そんなに呆れた顔しなくてもいいじゃなですか。
 わたくしはきっとふてくされた表情をしているのだと思います。
 先生は小さな子供を見るような目線を向けています。
 きっとわたくしは先生にとっては、まだよちよちと地を這う、赤ん坊の類に見えているのかもしれません。
 そんなふうに扱ってくれる人間も、わたくしの周りには先生くらいしかいないのですが。

「貴族たちがいるところでは泣きませんよ。
 でも先生と話していると、つい感情が緩んでしまって、オーバーリアクションになっちゃうんです」
「白纏の子である君の涙は、研究材料になるかもしれない。僕にサンプルを取られるとかは考えないの?」
「先生はわたくしにとって不利になるような研究は行わないでしょう」
「どうして君はこんなにも僕を信用するんだろう……?」

 それに関してはわたくし、確固たる自信がありました。周りの人間は先生は恐ろしい人だから注意するように、と今でもいいますが先生は絶対に私の不利になるようなことはしない人です。
 
 それだけ、先生はわたくしに慈愛を持って接してくれているとわたくしは身を持って感じているのです。
 きっとお父様には人をそんなに容易に信用するなと怒られてしまいそうですが。

「この一年間でとんでもなく、君の信頼を得てしまったようだね……。
 本来の僕は王族にも恐れられるような享楽的な魔術師だと認識されているんだけどな」
「本来、とは定義がとても難しいことを言いますね。あなたにはそういう一面がある、ということは否定しませんが、それはわたくし以外の他者による視点で語られた事実でしかありません。
 わたくしから見た先生は、せいぜい、弟子に甘いお菓子作りが得意な魔術師って感じですよ」

 性善説、性悪説をわたくしに解くのはあまりにも先生らしくありません。わたくしは余程先生を混乱させているようですね。

「それはなかなか愉快で辛辣な意見だね」

 先生は、顔をくしゃりとさせて笑っています。いつかのお呼びでない侵入者が来たときの酷薄な笑みでは決してないリラックスした笑い方を見るとなんだかわたくしは嬉しくてたまらなくなります。

「さあ、適当な議論はここでおしまいにして、さっさとインクを作ってしまいましょう。
 これが最後の授業になるのですから。これを逃したら機会なんて、なかなか作れませんよ」
「そうだね。議論をする前に僕たちは手を動かそう」

 先生はそう言って、ソファの後ろにあった木製のキャビネットの後ろから、インクの材料をガサゴソと探しています。
 そこからいくつかの触媒になる材料を取り出し、レースのような模様に縁取られている真鍮製のトレイにのせ、作業机に優しくおきました。

 こういう何気ない日用品の中にも先生のこだわりを感じることができます。その世界に浸ることも、もうしばらくはできないと思うと、胸が少しだけ苦しくなります。

「さあ、準備は整ったよ。インクを作っていこう」

 先生の細くてしなやかな手が大元になる製図用のインクを持ち上げます。それは特に特別なインクではなく、文房具店で売っている一般的なメーカーのものでした。

「インクの約半分の量は普通の製図用を使うよ。まずこちらに魔力付与をしようか。魔力付与の魔法陣の描き方は覚えているかな?」
「もちろんです」

 覚えた魔法陣を頭の引き出しから出して、目の前に用意された紙の上に落とすように描きあげます。
 ガラスペンはいつもより滑らかに図案を描き現してくれているようです。いつもよりも早く全てを描き上げることができました。

 描いた魔法陣の上に製図用インクを置き、真ん中に人差し指を当てると、魔法陣が作動して風を起こしながらきらりと光りました。
 これで、魔力を付与したインクになったはずです。

「本当は自分で育てた植物の染液がいいと思うんだけど、今日は僕の育てたものを使おう。
 さっきのインクにこれを混ぜてくれる?
 あ、そういえば、この前買った虹色の瓶あったよね。あれ、今日使う?」
「実は残念なのですが、あの瓶には今別のものが入っていてインクを入れることはできないのです……」

 まさかそれが媚薬だなんて例え先生にも言えませんが……。

「ん? そうなの? じゃあ、これをあげよう。瓶はこれを使って」

 そういうと先生はアンティークのものだと思われる、掌サイズの細長く小さな茶色の小瓶をわたくしの目の前に置きました。特に華美な装飾はないですが、瓶のラインが市販のものとはちょっと一味違うような気がします。これも先生の重要なコレクションの一部ではないでしょうか? 本当に使っていいのか不安になりながら、先ほどのインクと先生が作った植物をベースにした染液を瓶の中にトポトポと慎重に注ぎます。

「できました」
「そうしたら、君の血をここに注いでくれるかな?
 できれば僕に見えない角度でやってくれる?」
「先生は血が苦手なんですか?」

 なんだか意外です。逆にそういうのになれてそうなイメージがありました。
 マルトに行った時魔物の血を見て、いい材料だって言っていませんでしたっけ?

「自分の血も、他人の血も大丈夫だけど、リジェットが血を流してるのを見るのは嫌なんだよ。
 自分が血を流すよりも、よっぽど痛そうに感じてならない」

 血を受けるための陶器の器を、わたくしに渡しながら先生は、その綺麗な顔を歪ませてわたくしにいいます。
 謎の理論ですが、先生にとってそうなのであれば仕方がありません。わたくしは痛みに強いので、ちっとも痛くないのですが……。
 わたくしは首に掛けてあった剣のネックレスを右手で掴み、小刀くらいの大きさに変化させます。それで先生に見えぬよう机の下で左腕に切り込みを入れ、血をインクに入れます。少しだけにしようと、スッと優しく動かしたつもりが思ったより深かったようで、だばーっと血が出てしまいました。うっかりです。

「あ、深く切り込み入れすぎました」
「ちょっと何やってるのさ!?」

「やっぱり見てるんじゃないですか」
「リジェットがうまくやらないからでしょう!?」

 先生はぷんぷん怒りながら、止血点を押さえてくれます。

「あ、そのまま押さえててください」

 おろおろしている先生を他所に冷静なわたくしは机の上に広げてあった紙に作りかけのインクを拝借してに流れを止める魔法陣をさらっと描きます。
 ペイッと雑に腕に貼り付けると血が止まります。これでいいでしょう。

「止まりました」
「僕そんな魔法陣リジェットに教えたっけ?」
「教えてもらってはいませんが、家にあった先生の描いた本に載っていたので、ちょっと自分流にアレンジして使っているんです。わたくし、お稽古で怪我をしても、家のものに心配をかけたくないので、重宝しています。
 騎士学校の実技試験の時も使えて便利でした」
「リジェットはいつの間にかそんなこともできるようになっていたんだね……。はあ、成長したよ……。痛そうだけど」

 そうでしょうとも! わたくしだっていつまでも先生の手を煩わせる迷惑な弟子のままではいられないのです!

「作り途中のインクで描いた魔法陣でしたが、いつもの魔法陣より血が止まるのが早いような気がします。
 この魔法陣でも十分に効果が高いのですね」
「もしその時の状況で血を混ぜることができなくても、使えるってことがわかったのはよかったね」
「じゃあ、血も止まったことですし、インクに混ぜちゃいますね!」
「君は本当にオルブライト家の人間だよね……。そんなに血が出たのに、おっろしいほどドライだもの」

 ガタガタと震えている先生は放っておいて、わたくしはさっさとインクを完成させるべく、作成途中のインクに血を注ぎ込みます。一滴も余さず注ぎ込めば、インクは完成します。
 茶色の小瓶の中にはきれいな夜空のような色合いの青いインクが出来上がっています。

「不思議ですね。黒のインクと緑の草の染料と赤の血を混ぜたのに瓶の中には青い液体ができるんですもの。特にそうなるように魔法陣組んだりしてませんよね?」
「そうなんだよね。僕もこれだけはなんで青になるかわからないんだけど。まあ使う分には問題ないし気にしなくても大丈夫だよ」

 最後に蓋を閉めれば魔法陣用のインクは完成です。わたくしは静かに完成したことに安堵します。
 それと同時にじわじわと悲しい気持ちが押し寄せてきます。最後の授業はこれでおしまいです。もう先生にこうして教えてもらえることもないのです。終わってしまったことがなんだか寂しくてたまりません。

「先生終わっちゃいましたね。インク作り」
「無事に終わってよかったよ。君のことだから、作り途中で良からぬことをやるかと思ってた」
「やってしまえばよかったですかね」
「やめてよ」
「そうすれば先生の授業を受けられる時間が少し増えたでしょう?」

 一瞬先生はぎょっとした顔をしましたが、すぐに表情が優しい微笑みに戻ります。

「そんなことしなくても、いつでもここにくればいい」
「本当に?迷惑じゃないですか?」
「迷惑なんかじゃないよ。君は僕の唯一の弟子だからね」

「迷惑ではないと言ってくださって、嬉しいです。
 実はずっと気にしてたんです。先生は建前上はオルブライト家に庇護されているということになってますから、わたくしのことがいくら面倒でも無碍にすることはできないでしょう?
 嫌々面倒を見ているんじゃないかって心配だったんです」

 そんなわたくしの呟きに先生は声をあげて笑っています。

「ははは! 何を行っているんだ、今更! 本当に面倒だったら、証拠も残さずに、あわいに落として処分してるよ。僕が好まないものの面倒を見られないような性格だって、この一年で嫌でも気がついただろう?」
「それは……そうですが……。先生はお優しいところがあるので我慢していたのかなと思ったのです」
「僕のことを優しいなんていうのはこの世界で君だけだよ。リジェット」

 先生はなんだか嬉しそうに笑って言葉を続けます。

「君がこの家に来るようになってからの水の日は、魔法陣の研究のしすぎで昼ごはんを抜くことがなくなって、きちんと三食、食べるようになったしね」

 先生にとってはわたくしと一緒に食べるおやつが一食としてカウントされてしまうのでしょうか。
 そう考えると先生の細さの理由がわかってしまった気がして少し怖くなりますが、食べないよりはまだマシでしょう。

「先生はあんなにお料理上手なのに、ご飯を抜いてしまうことがあるのですか?」
「作るのが好きなのと食べるのが好きなのはまた別物だからね。
 それに誰かに作ろうと思うから張り切って作り始めることもあるだろうし」
「そういうものですか」
「うん、そういうことなんだよ」

 手を組んで顎に当てるような姿勢をとった先生はそのまま、森のように深い色をした宝石のように美しい瞳をわたくしに向けて微睡むような微笑みを見せます。

 それが大切な何かを見ているようにわたくしには感じられてしまって、どこかくすぐったい気持ちになってしまいます。

「誰かを大切にすることは限りなく自分を大切にすることに近いという事を、君といると思い出すよ」
「それはよかったですね、というべきことでしょうか?」
「そうだね、きっといいことには違いない」

 いいことに貢献できたならよかったです。迷惑ばかりではなかったようですね!

「唯一の弟子である君に幾つか忠告をしておこう。
 君が王都で騒ぎをおこないように。
 まあ無理だろうけど」
「まあ! なぜ決め付けるのですか? わたくし恙無く士官学校を卒業する予定なのですが」
「それができたらいいんだけどね。……君の存在はもう王都で噂になっているよ。
 友人が王都の魔術省に勤めているんだけど、君の入学試験の様子があちらにまで伝わっているようだった。
 君は入学試験で何か派手な魔術を使ったようじゃないか」
 
 報告されてなかったはずだけど、とヒヤリとする笑顔で付け足されて、わたくしはぎくりとしてしまいました。
 あと、先生に友達がいるんだなあ、と思ってしまいましたが、言わないで置いた方が良さそうですね。

「そんなに派手じゃないと思いますけど、とっても慎ましい魔術です」
「君の派手じゃないは信用できないな」

 先生は机に片腕をつきこめかみを抑えてたみ息をつきました。ゆるりと下がった袖口から、刺青の魔法陣が顔を覗かせています。

 ……先生はわたくしがいても刺青の存在を隠さなくなりました。
 ほんの小さなことですか、警戒が少し緩んだように感じます。それが内側に入れた証拠のようで、たまらなく嬉しいのです。

「今後君は騎士関連だけでなく、魔術省や教会からも身柄を狙われると思って動きなさい。
 決して一人では行動してはならないよ」
「魔術省はわかるのですが、なぜ教会まで警戒しなければならないのですか?」
「君はあまり考えて作ってはいないのだろうけど、君の魔力の質は聖の要素や粛の要素が強いんだよ。
 教会では聖の要素の魔法陣を多用するからね。
 あそこは今人材不足らしいから、君を取り込みたいと思っても不思議じゃない」
「聖と粛の要素……どこがそんな要素なんでしょうか?」
「無意識か……タチが悪いな」

 先生は眉間にシワを寄せてはあ、とため息をついてから説明をしてくださいました。

「君は痛覚が鈍いだろう? 粛の要素を多くもつ人は痛覚が鈍いか、痛みをほぼ感じない人が多いんだ」
「へえ! それでわたくし、痛みを感じにくかったのですね!」
「それより厄介なのは聖の要素だよ。聖は修復を司る要素だからね」
「修復?」
「そう……。受けた傷を治す速度が早かったり、人によっては魔法陣を用いなくとも、誰かの傷を治せたりする人間もいる……。教会はその性質を持った人間を集めることで民衆から信仰心を集めている組織だからね」
「へえ……。そうだったんですね」

 新事実を目の当たりに、間抜けな表情をしていると、先生の眉間のシワはもっと深く、険しく怖い表情になっていきます。

「リジェット、本当に気をつけてね。いつでも僕が君を守れる訳じゃないんだから」
「ふふふ、大丈夫ですよ。わたくしが守られてるタイプの女の子じゃないこと、先生だって知っているでしょう? それどころか、騎士団に入ってパワーアップして先生を守れる立場の人間になりますよ!」
「ははは! 何それ」
「あー! 信じていませんね⁉︎  わたくし絶対、この国一番の騎士になりますから!」
「じゃあ、楽しみにしてようかな。いつだって、自分の道を選択していく君なら素敵な騎士になれるよ」

 先生の甘く優しい声が心に染み入るように馴染んでいきます。

「楽しみにしていてくださいね!」

 わたくしは笑顔で先生の声に応えるように返事をしました。






 帰り道、いつもは振り返らない先生の家をジッと見上げます。ここに来られなかったら、きっと今頃、わたくしは道をなくして、前世の忍のように夢を諦めていたでしょう。わたくしは本当に幸運だったと、今は思うことができます。

 それもこれも、すべて先生のおかげですもの。

 もう来週の水の日が来ても、この家に来ることはできない……。それを考えるとうっすらと涙が滲んできてしまいます。涙なんか、流していられません。これは嬉しいことなんですから、わたくしが前進した証拠なのですから。

 だから、寂しいなんて思うのは……。

 この気持ちをごまかしたくて、気持ちを振り切るようにわたくしは走り出します。
 わたくしは、いつもは感じない、一抹の切なさを抱えながら家路へと足を進めました。


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