1 / 7
1
しおりを挟む
体が怠い、ちょっと熱っぽいか。…そういえばそろそろ発情期だったな。
俺は終業になると上司に発情期であることを伝え、1週間の休みをもらった。幸いにも王族の生活する城内の図書館へ学芸員という形で就職できた俺はオメガにしては良すぎるくらいの生活と給料を保証されていた。
俺の発情期は重い。とてもじゃないが1人で耐えるのは辛すぎる。だから3ヶ月に一度は街へ行き適当に気持ちよくしてくれる相手を探しに行く。
「あ~、セックス楽しい、気持ちいいって思える性格でよかった~。」
なんて小さく呟きながら1週間分の荷物をまとめ、不本意ながら抑制剤を口に含む。いい相手を見つけるまでに輪姦されたら堪らない。そのぐらいの自衛はする。
まぁ気持ち程度のものでこの抑制剤もそんなに意味ないんだけどな、と抑制剤の効きの悪い体質であることにため息を吐く。でも、もうすぐ気持ちよくなれるとややぼんやりと熱に浮かされ期待し始める後孔に嫌になるような、気持ち良くなるような……。
はやく行かなければ!
もうすでにエッチのことしか考えられない。
夜明けのまだ朝日が登りきっていない薄暗い中、城の裏門を駆け足で通り抜けようとしたところで声をかけられ、俺はげんなりした。
「おい、ムギ!また街へ行く気か?今月は俺にしとけよ。」
この国の第3王子、リアンが声をかけてきた。どうやら俺の発情期を察知して待ち伏せしていたらしい。上位のアルファは鼻が効くから恐ろしい。
「やだよ~。リアン忙しいでしょ?1週間休み取れるの?いつも最初の3日はずっと気持ちよくしてくれるけど、あとは相手してくれるの夜だけじゃん‼︎」
間髪いれず断った俺に苦虫を噛み締めた顔をして、俺の腕を引っ張ってきた。
「今週は4日だ。今日から4日、休みをもらった。な、いいだろ?」
「……っ。後の2日は?俺、寂しくなるんだけど。」
俺は腕を引っ張られ、後ろから抱きしめるようにして捕まってしまう。リアンが後ろから耳元へ話しかける。
あ~、これ、負けちゃう。気持ちいい、絶対わざと、わかってやってる。……気持ちいい~。
リアンの、アルファの香りにもうすでに脳みそはヘロヘロだ。
「あとの2日も早めに仕事を終わらせて帰ってくる。俺のいない間もちゃんと気持ちよくなれるようにするから。」
チュッとリップ音を言わせて耳に軽くキスをされる。うー、と気持ちいいのを我慢して唸り、返事をしないでいると俺を抱きしめる腕に力が入り、アルファのフェロモンが威圧的なものに変わる。
「ムギ、前の発情期は別の男に抱かれただろう。離れはいつでも好きなように使っていいって言っているはずだが?」
威圧的なフェロモンにさっきまで気持ちよかった身体が凍る。リアンと付き合っているわけではないので別に悪いことをしているわけじゃない。わかっているはずなのに、リアンの一言一言に体がビクビクと怯えを示す。
「街へ行っても俺ほどのアルファはそういないだろう。学生の時は素直に俺を頼ってきて可愛かったんだけどなぁ。なぁ、ムギ。俺は別にいいんだぞ。お前がうんと言うまでここで抱いても。」
夜が開ければ裏門は出入りの多い通路となる。知り合いも通るだろう。王族らしく傲慢さのあるリアンは本当に俺のことをここで抱くだろう。
リアンの威圧的なフェロモンがなくなり、あのいい香りに包まれ気持ちよくなってくる。
あ、これダメだ。本当にヤる気だ。
いいじゃないか、4日は丸々気持ちよくしてくれるんだ。
無理矢理言わされたのか、もう気持ちよくさせられていたのか分からないが気づいたら「離れに行くぅ~」とだらしない返事をしていた。
俺の返事を聞いてリアンは満足そうな笑みを浮かべる。
「いい子だね、ムギ。」
同い年のくせに、俺を幼子のように抱っこして額にキスをされる。アルファの腕の中、逆らえるオメガがいるだろうか。そのアルファの気持ちよさを知っていて逆らえるオメガがいるだろうか。
好きなアルファの前では抑制剤なんか効かない。目の前のアルファに夢中で、それ以外の記憶はいつも曖昧になってしまう。
俺は終業になると上司に発情期であることを伝え、1週間の休みをもらった。幸いにも王族の生活する城内の図書館へ学芸員という形で就職できた俺はオメガにしては良すぎるくらいの生活と給料を保証されていた。
俺の発情期は重い。とてもじゃないが1人で耐えるのは辛すぎる。だから3ヶ月に一度は街へ行き適当に気持ちよくしてくれる相手を探しに行く。
「あ~、セックス楽しい、気持ちいいって思える性格でよかった~。」
なんて小さく呟きながら1週間分の荷物をまとめ、不本意ながら抑制剤を口に含む。いい相手を見つけるまでに輪姦されたら堪らない。そのぐらいの自衛はする。
まぁ気持ち程度のものでこの抑制剤もそんなに意味ないんだけどな、と抑制剤の効きの悪い体質であることにため息を吐く。でも、もうすぐ気持ちよくなれるとややぼんやりと熱に浮かされ期待し始める後孔に嫌になるような、気持ち良くなるような……。
はやく行かなければ!
もうすでにエッチのことしか考えられない。
夜明けのまだ朝日が登りきっていない薄暗い中、城の裏門を駆け足で通り抜けようとしたところで声をかけられ、俺はげんなりした。
「おい、ムギ!また街へ行く気か?今月は俺にしとけよ。」
この国の第3王子、リアンが声をかけてきた。どうやら俺の発情期を察知して待ち伏せしていたらしい。上位のアルファは鼻が効くから恐ろしい。
「やだよ~。リアン忙しいでしょ?1週間休み取れるの?いつも最初の3日はずっと気持ちよくしてくれるけど、あとは相手してくれるの夜だけじゃん‼︎」
間髪いれず断った俺に苦虫を噛み締めた顔をして、俺の腕を引っ張ってきた。
「今週は4日だ。今日から4日、休みをもらった。な、いいだろ?」
「……っ。後の2日は?俺、寂しくなるんだけど。」
俺は腕を引っ張られ、後ろから抱きしめるようにして捕まってしまう。リアンが後ろから耳元へ話しかける。
あ~、これ、負けちゃう。気持ちいい、絶対わざと、わかってやってる。……気持ちいい~。
リアンの、アルファの香りにもうすでに脳みそはヘロヘロだ。
「あとの2日も早めに仕事を終わらせて帰ってくる。俺のいない間もちゃんと気持ちよくなれるようにするから。」
チュッとリップ音を言わせて耳に軽くキスをされる。うー、と気持ちいいのを我慢して唸り、返事をしないでいると俺を抱きしめる腕に力が入り、アルファのフェロモンが威圧的なものに変わる。
「ムギ、前の発情期は別の男に抱かれただろう。離れはいつでも好きなように使っていいって言っているはずだが?」
威圧的なフェロモンにさっきまで気持ちよかった身体が凍る。リアンと付き合っているわけではないので別に悪いことをしているわけじゃない。わかっているはずなのに、リアンの一言一言に体がビクビクと怯えを示す。
「街へ行っても俺ほどのアルファはそういないだろう。学生の時は素直に俺を頼ってきて可愛かったんだけどなぁ。なぁ、ムギ。俺は別にいいんだぞ。お前がうんと言うまでここで抱いても。」
夜が開ければ裏門は出入りの多い通路となる。知り合いも通るだろう。王族らしく傲慢さのあるリアンは本当に俺のことをここで抱くだろう。
リアンの威圧的なフェロモンがなくなり、あのいい香りに包まれ気持ちよくなってくる。
あ、これダメだ。本当にヤる気だ。
いいじゃないか、4日は丸々気持ちよくしてくれるんだ。
無理矢理言わされたのか、もう気持ちよくさせられていたのか分からないが気づいたら「離れに行くぅ~」とだらしない返事をしていた。
俺の返事を聞いてリアンは満足そうな笑みを浮かべる。
「いい子だね、ムギ。」
同い年のくせに、俺を幼子のように抱っこして額にキスをされる。アルファの腕の中、逆らえるオメガがいるだろうか。そのアルファの気持ちよさを知っていて逆らえるオメガがいるだろうか。
好きなアルファの前では抑制剤なんか効かない。目の前のアルファに夢中で、それ以外の記憶はいつも曖昧になってしまう。
11
あなたにおすすめの小説
借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる
水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。
「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」
過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。
ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。
孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
こじらせΩのふつうの婚活
深山恐竜
BL
宮間裕貴はΩとして生まれたが、Ωとしての生き方を受け入れられずにいた。
彼はヒートがないのをいいことに、ふつうのβと同じように大学へ行き、就職もした。
しかし、ある日ヒートがやってきてしまい、ふつうの生活がままならなくなってしまう。
裕貴は平穏な生活を取り戻すために婚活を始めるのだが、こじらせてる彼はなかなかうまくいかなくて…。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
【完結済】極上アルファを嵌めた俺の話
降魔 鬼灯
BL
ピアニスト志望の悠理は子供の頃、仲の良かったアルファの東郷司にコンクールで敗北した。
両親を早くに亡くしその借金の返済が迫っている悠理にとって未成年最後のこのコンクールの賞金を得る事がラストチャンスだった。
しかし、司に敗北した悠理ははオメガ専用の娼館にいくより他なくなってしまう。
コンサート入賞者を招いたパーティーで司に想い人がいることを知った悠理は地味な自分がオメガだとバレていない事を利用して司を嵌めて慰謝料を奪おうと計画するが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる