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奴隷市で買った小鬼は大人しかった。
俺の自室に連れて帰るまで抵抗もせず静かに着いてきた。
王城みたいなところに来たのも初めてらしく、興味深そうに少しキョロキョロと辺りを見渡しているのも可愛らしくて良い。
自室に連れてきて俺がベッドに腰掛けるとそばの床に正座して俺の指示を待つ様も従順でいい。
これはいい、俺の好みにピッタリだ。
きっとこいつは俺がずっと黙っていればいつまでも正座してここに座っているのだろう。こういう従順さが俺は好きだ。
「お前、名前は?」
これから仕事をするにあたって名前はいるだろう。俺は小鬼を見下げながら尋ねた。2本の小さな角が髪の毛の間から見えている。
小鬼は正座し俯いたまま小さな声で呟いた。
「イオリといいます。」
幼い、中世的な声だ。
「イオリだな。お前には俺の仕事の補佐と身の回りの手伝いをしてもらう。仕事はおいおい覚えていってもらうとして、とりあえず、身分の高い奴が多いから丁寧な言葉遣いをしろ。あと見聞きした情報はベラベラ話すな。いいな。」
「わかりました。」
身じろぎすらしない。よく躾けられているな。
「それとな、」俺はイオリの顎を取って目を合わさせた。青いような緑のような瞳が怯えている。
なんだ、そう言う感情もまだあるのか。
「俺の指示にはちゃんと従え。俺の指示を1番に優先しろ。文句を言うな。俺は面倒な奴の相手をするほど心が広くない。わかったか?」
そう言ってイオリを睨み、掴んでいた顎を乱雑に話すと少し震えた声で返事が返ってきた。
「わ、わかりました。不束者ですが、どうぞよろしくお願いします。」
イオリは正座したまま頭を床につけ静かに礼をした。
しばらくしても上げない頭を見ながら、教え込まれた所作だと、俺はつまらないものを見ている気分になった。
髪の毛の隙間から小さな角が2本見える。
そういえばレオナの角はもっとでかいし、普段は出ていないから鬼の角を見るのは久しぶりだ。
「その角、いつも出てるのか?」
イオリは姿勢を崩さずいった。
「申し訳ありません。私は力が弱いので角が出たままで。直すこともできるんですが・・・集中してないとすぐに出てきてしまって・・・。」
「ふーん。」
そういうものなのか。完全な人型は力が弱いとなりにくいというからそういうものなんだろう。別にどっちでもいい。
ただ、なんとなく、気になったから。
気づいた時には俺はイオリの両方の角をつまむように触っていた。
「ひぅっ!!」
角に触れるとイオリがビクッとしてなんとも言い難い声を上げた。
そして声を上げてはまずいと思ったのか口を手で覆い謝罪をしてきた。
「申し訳ございません。つ、角は、その、敏感と言いますか。急に触られると・・・驚いて声が出てしまいました・・・。」
面白い。
「ふーん。ほんとか?本当に驚いただけ?」
俺の問いにイオリが顔を上げ、気まずそうに目を逸らした。
俺は追い討ちをかける。
「俺が質問してるの、わかる?」
イオリがハッと息を呑み込んで頬を染める。
「あ、その、ほ、ほんとに驚い・・「わかってると思うけど、奴隷が主人に嘘なんてついていいわけないよなぁ。」
イオリの言葉を遮って言う。
イオリは口をつぐんで、覚悟を決め、節目がちに小さな声で言った。
「き・・・気持ちがよかったです。」
色白の肌が薄く色づいている。
本当によく躾けられていて、面白い。
俺は意地の悪い笑みを浮かべているだろう。
頬を染めて恥ずかしそうにしているイオリはさすが歳をとっていても性奴隷と言うべきだろか、欲に素直だ。
試してみるのもいいだろう。
「イオリ、お前ばかり気持ち良くなってどうする。」
イオリはガバリと顔を上げて俺の顔を凝視する。その顔は赤く染まりどこか艶めいている。言いたいことは伝わったらしい。
察しがいい奴は好きだ。
俺は本当にいい買い物をした。と満足気にイオリを見下ろす。すると「失礼します。」と言っておずおずとイオリが近づいてきた。
俺の自室に連れて帰るまで抵抗もせず静かに着いてきた。
王城みたいなところに来たのも初めてらしく、興味深そうに少しキョロキョロと辺りを見渡しているのも可愛らしくて良い。
自室に連れてきて俺がベッドに腰掛けるとそばの床に正座して俺の指示を待つ様も従順でいい。
これはいい、俺の好みにピッタリだ。
きっとこいつは俺がずっと黙っていればいつまでも正座してここに座っているのだろう。こういう従順さが俺は好きだ。
「お前、名前は?」
これから仕事をするにあたって名前はいるだろう。俺は小鬼を見下げながら尋ねた。2本の小さな角が髪の毛の間から見えている。
小鬼は正座し俯いたまま小さな声で呟いた。
「イオリといいます。」
幼い、中世的な声だ。
「イオリだな。お前には俺の仕事の補佐と身の回りの手伝いをしてもらう。仕事はおいおい覚えていってもらうとして、とりあえず、身分の高い奴が多いから丁寧な言葉遣いをしろ。あと見聞きした情報はベラベラ話すな。いいな。」
「わかりました。」
身じろぎすらしない。よく躾けられているな。
「それとな、」俺はイオリの顎を取って目を合わさせた。青いような緑のような瞳が怯えている。
なんだ、そう言う感情もまだあるのか。
「俺の指示にはちゃんと従え。俺の指示を1番に優先しろ。文句を言うな。俺は面倒な奴の相手をするほど心が広くない。わかったか?」
そう言ってイオリを睨み、掴んでいた顎を乱雑に話すと少し震えた声で返事が返ってきた。
「わ、わかりました。不束者ですが、どうぞよろしくお願いします。」
イオリは正座したまま頭を床につけ静かに礼をした。
しばらくしても上げない頭を見ながら、教え込まれた所作だと、俺はつまらないものを見ている気分になった。
髪の毛の隙間から小さな角が2本見える。
そういえばレオナの角はもっとでかいし、普段は出ていないから鬼の角を見るのは久しぶりだ。
「その角、いつも出てるのか?」
イオリは姿勢を崩さずいった。
「申し訳ありません。私は力が弱いので角が出たままで。直すこともできるんですが・・・集中してないとすぐに出てきてしまって・・・。」
「ふーん。」
そういうものなのか。完全な人型は力が弱いとなりにくいというからそういうものなんだろう。別にどっちでもいい。
ただ、なんとなく、気になったから。
気づいた時には俺はイオリの両方の角をつまむように触っていた。
「ひぅっ!!」
角に触れるとイオリがビクッとしてなんとも言い難い声を上げた。
そして声を上げてはまずいと思ったのか口を手で覆い謝罪をしてきた。
「申し訳ございません。つ、角は、その、敏感と言いますか。急に触られると・・・驚いて声が出てしまいました・・・。」
面白い。
「ふーん。ほんとか?本当に驚いただけ?」
俺の問いにイオリが顔を上げ、気まずそうに目を逸らした。
俺は追い討ちをかける。
「俺が質問してるの、わかる?」
イオリがハッと息を呑み込んで頬を染める。
「あ、その、ほ、ほんとに驚い・・「わかってると思うけど、奴隷が主人に嘘なんてついていいわけないよなぁ。」
イオリの言葉を遮って言う。
イオリは口をつぐんで、覚悟を決め、節目がちに小さな声で言った。
「き・・・気持ちがよかったです。」
色白の肌が薄く色づいている。
本当によく躾けられていて、面白い。
俺は意地の悪い笑みを浮かべているだろう。
頬を染めて恥ずかしそうにしているイオリはさすが歳をとっていても性奴隷と言うべきだろか、欲に素直だ。
試してみるのもいいだろう。
「イオリ、お前ばかり気持ち良くなってどうする。」
イオリはガバリと顔を上げて俺の顔を凝視する。その顔は赤く染まりどこか艶めいている。言いたいことは伝わったらしい。
察しがいい奴は好きだ。
俺は本当にいい買い物をした。と満足気にイオリを見下ろす。すると「失礼します。」と言っておずおずとイオリが近づいてきた。
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