俺の秘密の趣味

妄想計のひと

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14.妄想

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俺は、何としても兄さんと同じ所に合格して、一緒に暮らしてやる!

そう意気込みながら勉強を続けること2ヶ月。

既に俺は兄さん不足だった。

勉強を教えてもらいたかったが、兄さんも4月と5月は忙しかったみたいだ。

まぁ、俺から連絡もしてないんだけど……。

母さんが言うにはそうらしい。

夏休みに泊まり込みで兄さんの家に行きたいけれど、補講もあるし、塾もあるし、あまり時間は取れそうになかった。

そんな俺の、性の解消法とはオナニーしかないのだが……。

「母さんたちも居なくなったし……よし」

準備を終えて向かうは、兄さんの部屋だ!

何も無くなった兄さんの部屋に物資を持ち込む。

今日のメニューは既に決めていた。

そう、ディルドだ。

やっぱり、兄さんに挿れられる妄想が1番興奮する。

ベッドを置いて行ってくれたらなお良かったけれど、持って行ってしまったから仕方がない。

タオルを敷いて、横になり、自分で尻の穴を弄る。

「んんっふっ………」

前立腺を掠めてしまい、我慢ができずに自分で自分をいじめたくなってしまった。

「んぁっ、はぁ、だめっ、あぁっんんっ」

誰に駄目と言っているのか?

自分なんだけど、俺の中の妄想では兄さんに言っている設定だった。

「あぁっ、あっ、そこばっかりっ、んんっ!」

そこばかり触っているのも俺なんだけど、やっぱり兄さんにいじめられた時を思い出して、前立腺が嫌になる程弄る。

「あぁっ、あぁんっ、あぁ、はぁっ」

誰もいないからって声も抑えない。

どんどんエスカレートして行き、ムスコにも手を伸ばす。

「はぁっ、やぁぁっ、いきそっ、はぁっ、いっちゃう!」

声を出して妄想することで、より興奮しながら手の中に射精することが出来る。

最近はこんなオナニーが増えているので、慣れたものだった。

この時、ティッシュに出せば楽なのに、何故か手に出して精液を見つめてしまった。

前回した時、兄さんはこれを舐めたんだよな……。

そんな事を思い出してしまった。

兄さんのを舐めるのは良いけれど、自分のは到底出来そうにない。

手を拭き、いざ兄さんのサイズを意識して購入したディルもを手に取る。

これには何度もお世話になって来た。

それなら、いっそ……兄さんのペニスを型取りさせてもらって、兄さんディルドを作ってしまおうか。

そうすれば、俺のオナニーライフも少しは楽になる気がする。

しかし、型取りしている最中、完勃ちを維持できるのだろうか?

いや、そんな事を考えても無駄だろうから、このディルドで我慢しよう。

そう考えたのも何度目か分からない。


俺はディルドにもしっかりとローションを塗って、ゆっくりと挿入した。

「んんっ、あっ、はぁっ……あっ」

兄さんに挿れてもらう時とは、やはり圧迫感が違う。

それでも、ゆっくり動かし、だんだんと速くしていく。

「はぁっ、あぁっ、あっ、はげしっ、いよぉっ、あぁぅ、んんぅっ、おくっ、きもちぃっ……」

ディルドで届く、1番奥へと挿れ、穴の入り口まで一気に引き抜く。

ギリギリを攻める為、たまに抜け出てしまう。

「んぁぅっ、はぁっ……はぁっ……」

また挿入し、同じように強く激しく責め立てる。

「あああぁっ、またいくっ、あぁっ、あぁっ、いくっ、あぁっ!いっちゃう!」

また精を吐き出しながら、快感から逃げるように、身体を丸めて横に転がってしまう。

「はぁっ、きもちぃ……はぁっ……って、何やってんだろ……」

そして一瞬で我に返って、兄さんロスを体感してしまうのだ。

息を整えながら、広げた物を片付け、虚しく玩具達と一緒に風呂へ入った。






そんな寂しいオナニー生活を続けている俺は、とある土曜日、塾の帰りに有松のおじさんがやっているバーの前にいた。


何でも相談に乗るって、言ってくれたよな?


息抜きも必要だと言い聞かせながら、そのドアを開けた。

チリンチリンと来客を告げるベルが鳴る。

「あれ、えっと……咲耶くん?1人?」

有松のおじさんはやっぱりかっこいい。

周りを見渡すと、客は俺しか居らず、夜の仕込みをしているようだった。

「はい……あの……今、良いですか?」

「もちろん」

笑って快くカウンターに案内してくれる。

「どうしたの?」

カウンターに座ると、水が置かれる。

「その……有松には黙っててくれますか?」

「もちろん。お兄さんと何かあった?」

おじさんは、有松が話していた事を覚えているようだった。

だけど、話したいのはその逆で……。

「いえ……。兄さんが一人暮らしを始めて、一度だけ家に行ったんですけど、それから2ヶ月何の音沙汰もなくって……」

有松は、俺と兄さんが義兄弟でセフレだとか、一人暮らしを始めるから元気が無くなったとか、一通りおじさんに話していた。

その時俺は否定していたけど、まぁ反応からしてバレていただろう。

「家に行った時はどうだったの?」

「どうって……普通でした」

「セックスした?」

水を飲もうとしたその手が止まった。

性事情をオープンに話したことなんて、当然一度も無かった。

こんな普通に訊かれることも無かったけど。

「し、しました……けど、いや……」

俯いてその時のことを断片的に思い返す。

誘えと言われ、うまく出来ず、兄さんを怒らせて、それでも何回かした。

「俺がやっぱり下手だったのかな?」

あれか?本当は俺が下手で感じなかった癖に、不感症って言ったから怒ったの?

でも、感じているという話だったし……。

「咲耶くん何かしたの?」

「その、俺が誘って、その気になったらしてくれるって言ったから、フェラしたんですけど……」

本当に俺は何の話してんだ?

「あまり上手く出来なかったのかなって……」

僅かに目線を上げておじさんを盗み見る。

おじさんは真剣に考えているようで、腕を組んで天井を見つめていた。

「それなら、練習したら?」

「それでも練習して行ったんです……。そしたら、そんな事するなって言われて」

おじさんは俺を見て首を傾げた。

「いや、お兄さんにさせてもらえば良いんじゃない?お兄さんもそういう意味で言ったんじゃないかな」

え?兄さんで練習?考えもしなかった。

「俺は、あんまり下手な所を見せたく無いんです」

「最初はみんな上手く出来ないんだから、気にする必要ないよ」

おじさんは優しく話を聞いてくれるから、俺は少し甘えてしまった。

「そうですか?結局その日は、その気にさせる方法が分からなくって……俺って魅力無いですか?」

「えっと……」

おじさんは苦笑いをして鼻をかいている。

困らせてしまったようだ。

「でも最後までセックスしたんでしょ?」

「はい。一度諦めたんですけど、何で誘うの止めたの?って言われて、何だか腑に落ちなかったけど……」

うーん……とおじさんは考え込む。

「お兄さんは、好きな子をいじめたいだけじゃないの?」

好きな子?

「それは、ちょっと都合良く考え過ぎじゃないですか?」

「そんな事ないと思うけど……。よく考えてみて。快楽の為にアナルセックスをするなんて、一部の人達だけだよ。普通は好きでもなきゃしない」

そんなもんなのか……?

兄さんが俺のことを好きかもしれないなんて、俺は考えたことがなかった。

何てったって、家に彼女を連れ込んでいると思っていたからだ。

「でも、兄さん冷たいし」

そう俺が言った時、チリンチリンと鳴り、ドアの開く音がした。

「雅隆さん、いらっしゃい」

「おや、珍しく可愛いお客さんだね」

入ってきたのは、これまたイケメンのお兄さんだった。

「こんにちは」

まさたかさんと呼ばれたお兄さんは、スーツを着ており、髪は軽くワックスで整えられ、優しく微笑んでいた。

系統は兄さんと同じかもしれないが、笑っているだけでこんなに印象は違うのか……。

雅隆さんは俺の隣に座って、こっちに微笑みかけてくる。

「マスター、彼を紹介してくれる?」

俺はなんだか無駄に緊張してしまい、俯いて顔が見えないようにした。

「可愛い甥っ子の友達だから、絶対に手を出さないって約束できるならいいよ」

「大丈夫だよ。いくらフリーでも無理矢理しないよ」

そう言って、雅隆さんは俺の顔を覗き込んでくる。

おじさんは雅隆さんの前にも水を置き、雅隆さんと俺との間に手を差し込む。

「近いよ」

「俺に近づいたからって妊娠するわけじゃないだろ」

雅隆さんは笑って水を一口飲んだ。

もしかして、こんなに優しそうに見える雅隆さんは、結構な遊び人なのかもしれない。

「彼は咲耶くんって言って、恋愛相談中なんだから雅隆さんの入る隙はないよ」

「何その面白い話。俺も聞いて良い?」

いきなり知らない人に恋愛相談なんて出来ないけれど、恋愛経験豊富そうな人に話を聞くのはアリかもしれない。

「あの、ずっと片思いしている人がいるんですけど、その人が少し遠くに行っちゃって、どうしたら気を引けると思いますか?」

「咲耶くん、義理のお兄さんが好きで、セフレだったみたいでね。少し前にお兄さんが一人暮らし始めちゃって、欲求不満なんだよ」

おじさんが俺の話に付け足し、俺はおじさんの方を見てしまった。

欲求不満なんて言った覚えはないんだけど!

まぁ……合っていますけど。

「え、セフレなら普通にエッチしてって言えば良いんじゃないの?」

雅隆さんの意見は確かにその通りだった。

「セフレっていうか、なんか都合が合う時に適当にエッチしてただけっていうか……」

俺としてはセフレになりたかったわけでは無いのに、ここから恋人になんてなれたもんじゃない。

「でも今までしてくれてたなら、お願いしてみたら?」

雅隆さんは簡単そうに言うが、俺にとってはその一歩が踏み出せない。

「フェラが上手く出来なかった事を気にしているんだってさ」

「えっ。こんな可愛い子に咥えてもらえるなんて、お兄さん羨ましい」

あんまり俺が調子に乗るような事ばかり言わないでほしい。

「マスター、本当にこの子貰ったらダメなの?俺が可愛い子に弱いの知ってるよね?」

「知ってるから最初に釘刺したんでしょ?」

「寂しい思いも、欲求不満にもさせないし、フェラなら俺が教えてあげるよ」

そう笑顔で言う雅隆さんの顔はかっこよくて、これはころっと騙されてしまいそうだ。

だが俺には長年片思い中の兄さんがいる。

「フェラって教えたくなりますか?」

「そりゃあまぁ……。自分の為に頑張っている姿って、最高にエロいと思うよ」

やっぱり、俺のフェラが下手だったのか……。

落ち込む俺に、おじさんがフォローしてくれる。

「雅隆さんも言ってるでしょ?自分の為にしてくれる姿が良いんだから、上手さじゃないって」

「じゃあ俺だと興奮しないって事ですか?」

自分で言っておきながら、それは否定したかった。

「フェラの後は何回もしたんです……」

「咲耶くんが何を心配しているのか、俺には分からないよ」

雅隆さんは優しい手付きで、俺の首の後ろに手を回してきた。

「もしお兄さんに断られたら、俺が責任持ってあげるから、自信持って連絡してごらん」

「雅隆さん、断られたら良いとか思ってない?」

おじさんは雅隆さんを軽く睨んでいる。

「まさか。咲耶くんが次に笑顔で報告してくれるのを心待ちにしているよ」

これだけ後押しされて、やっと俺は重い腰を上げて兄さんに連絡してみる事にした。

「何て送ったら良いと思いますか?」

「そうだね……。『欲求不満でエッチしたいから、明日家に行きたいな』かな」






家に帰ってからも頭の中は兄さん一色だった為、早目に送ることにした。

送る文面は、バーで一応考えた。

『また勉強を教えて欲しいから、明日行っても良い?』

明日は急すぎじゃないかと言ったが、もし兄さんにその気があるのなら、別日を提案するだろうから、何時かは気にする必要がないとのこと。

スマホが気になって仕方がない。

気を紛らわせる為に、ご飯を食べ、お風呂に入り、勉強をしようと机に向かう。

無視されたらどうしよう。

本当に雅隆さんに慰めてもらおうか。

そう思った時に、メッセージが届く音がした。

伏せてあるスマホを持ち上げて、内容を確認する。



『良いよ』



本当にっ?

すごく嬉しくて顔がニヤニヤしてしまう!

この際、返信が短かった事はどうでも良い!

でも明日は日曜だ。

泊まりではない。

これは困ったことになるかもしれないが、この際エロい事は無くたっていい!

いやいや、欲求を解消する為に行くんだけど……。

でも兄さんに会えるだけで良い気がしてきた!

完全に俺は浮かれている。

俺は兄さんに午前中から行くと連絡して、シャーペンを手に取る。

勉強の続きをしようと思ったが、無理だった。

兄さんで妄想しながらオナニーするか?

いや、止めて明日の準備をして寝よう。

勉強セットをカバンに入れて、早目にベッドに転がった。
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