6 / 7
最悪な出会いと再会
しおりを挟む「あんたねぇ! 王子だか勇者だか知らないけど! 仲間にそんな扱いするなんて、人としてどうかと思うわ!」
「全くでござる! 王子で勇者であるなら、もう少し慈しむということを覚えるでござるよ!」
「ボフォ⁉」
あ、あの声は⁉
驚いて人をかき分ける。と、
「あ……リラ……」
「あ、ザゼル……! ど、どういう状況?」
角を魔術で隠したアザゼルが困惑顔で此方を見つめる。ちらりと横目で声のした方を向けば、
(ああー⁉ よ、予想通りだし……!)
そこには勇者兼王子のあいつとその仲間(と思しき魔術師や女神官達)と、向かい合う形で直立不動するビキニアーマー姿のメーブと忍び装束のザザンの姿!
「や、やっぱもめてたし……!」
予想はしていたけどね⁉
うわあ……と顔が引きつる私に、横に居るアザゼルが耳打ちする。
「村の入り口であの勇者……らしき人が仲間に悪態を吐いていたのを二人が見つけて……あまりのいいように我慢できなかったのか、注意したけども激昂されて……」
「うう……予想通りだわ」
甘やかされて育った坊ちゃん王子だしなあ。
「……あの人……勇者……で王子……ですよね?」
「い、一応ね……」
嫌そうな表情のアザゼルに同じく嫌そうな顔で頷く私。すまん、あいつ勇者なんだ……。
「……調べた情報の十倍は酷そうですね……」
「それはもう矯正頑張って、としか」
「アアン? リラじゃないか」
びくり、と身体が震える。
振り返ると、別れた時よりも面構えが凶悪になった勇者がこちらをねめつけていた。
「なんだい? こいつらとパーティを組んでいるのかい?」
「え、ええ……ま、まあ……」
視線を逸らす私。ど、どうしよう……今此処で勇者と会いたくないし、おまけにビキニアーマー着た奴と仲間と知られるのが今さらながらこっぱずかしい!
しかし私の魂の叫びは聞き届けられることは無かった。
「っは! 神官である君がこんな特異な風俗嬢と旅とはな。堕ちたものだ!」
「ちょっと! 誰が風俗嬢よ!」
いや、否定出来んだろ。
抗議するメーブに心中でツッコム私。すまん、メーブ。この件に関しては少なくとも擁護は出来んぞ。
「全くでござる! 誰がどんな服を着ようと自由でござろう!」
限度があるわ、限度が。素っ裸でその辺歩いていたら公然わいせつ罪で捕まるぞ。
ザザンの抗議にも勇者を擁護。あれ、私ってどっちの仲間だっけ?(絶賛混乱中)
「ちょ、ちょっと皆さん落ち着いて……!」
慌てたアザゼルが仲介の為に間に割って入る(魔王のくせにめっちゃ善人)。が、
「は……はくち!」
可愛らしいくしゃみを一発。と、
ボフン
「あ」「え?」「ん?」「へ?」
間抜けな音と共に、アザゼルの頭に生えている角を隠す魔術が解けた。って、
「ノォオオオオオオオオオオオオ⁉」
思わず頭を抱える私。や、やばい!
「っ⁉ つ、角……⁉」
勇者の仲間の女魔術師(私の後で仲間に入ったようで名前知らない)が顔色を変える。
「お、前……人間ではないな!」
腰の剣に手をかける勇者。ま、まずい!
「ちょ、ちょっと……!」
慌てて止めようとする私、が話しを聞くはずもなく剣を抜く勇者。ぐ、いかん!
「神官でありながら人外の魔物と手を組むとは……裁きを受けろ!」
正論!
「聖剣……抜刀!」
「っ!」
勇者が剣――つまりは聖剣を抜く! それに対し、メーブが前に出る。おい、何を?
「ふ、来なさい」
ドン、と背中に亀の甲羅のように背負っていた巨大な盾を構えるメーブ。ま、まさか⁉
「光に飲まれろ!」
勇者が唱えると共にすらりとした白亜の刃が金色の輝きを帯びる。
「……こい!」
それに逃げることなく迎え撃つメーブ。って、おおい⁉
「いけない……! 防御します!」
アザゼルが咄嗟に防御魔術を展開するのが見え、咄嗟に同じく防御魔術を行使する。
「〝クレイドル・シールド〟!」「【全てを無にする、虚無の鎧を……】!」
そして――裂光が爆発した。
同時に、轟音。
0
あなたにおすすめの小説
追放された俺のスキル【整理整頓】が覚醒!もふもふフェンリルと訳あり令嬢と辺境で最強ギルドはじめます
黒崎隼人
ファンタジー
「お前の【整理整頓】なんてゴミスキル、もういらない」――勇者パーティーの雑用係だったカイは、ダンジョンの最深部で無一文で追放された。死を覚悟したその時、彼のスキルは真の能力に覚醒する。鑑定、無限収納、状態異常回復、スキル強化……森羅万象を“整理”するその力は、まさに規格外の万能チートだった! 呪われたもふもふ聖獣と、没落寸前の騎士令嬢。心優しき仲間と出会ったカイは、辺境の街で小さなギルド『クローゼット』を立ち上げる。一方、カイという“本当の勇者”を失ったパーティーは崩壊寸前に。これは、地味なスキル一つで世界を“整理整頓”していく、一人の青年の爽快成り上がり英雄譚!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【アイテム分解】しかできないと追放された僕、実は物質の概念を書き換える最強スキルホルダーだった
黒崎隼人
ファンタジー
貴族の次男アッシュは、ゴミを素材に戻すだけのハズレスキル【アイテム分解】を授かり、家と国から追放される。しかし、そのスキルの本質は、物質や魔法、果ては世界の理すら書き換える神の力【概念再構築】だった!
辺境で出会った、心優しき元女騎士エルフや、好奇心旺盛な天才獣人少女。過去に傷を持つ彼女たちと共に、アッシュは忘れられた土地を理想の楽園へと創り変えていく。
一方、アッシュを追放した王国は謎の厄災に蝕まれ、滅亡の危機に瀕していた。彼を見捨てた幼馴染の聖女が助けを求めてきた時、アッシュが下す決断とは――。
追放から始まる、爽快な逆転建国ファンタジー、ここに開幕!
「お前の代わりはいる」と追放された俺の【万物鑑定】は、実は世界の真実を見抜く【真理の瞳】でした。最高の仲間と辺境で理想郷を創ります
黒崎隼人
ファンタジー
「お前の代わりはいくらでもいる。もう用済みだ」――勇者パーティーで【万物鑑定】のスキルを持つリアムは、戦闘に役立たないという理由で装備も金もすべて奪われ追放された。
しかし仲間たちは知らなかった。彼のスキルが、物の価値から人の秘めたる才能、土地の未来までも見通す超絶チート能力【真理の瞳】であったことを。
絶望の淵で己の力の真価に気づいたリアムは、辺境の寂れた街で再起を決意する。気弱なヒーラー、臆病な獣人の射手……世間から「無能」の烙印を押された者たちに眠る才能の原石を次々と見出し、最高の仲間たちと共にギルド「方舟(アーク)」を設立。彼らが輝ける理想郷をその手で創り上げていく。
一方、有能な鑑定士を失った元パーティーは急速に凋落の一途を辿り……。
これは不遇職と蔑まれた一人の男が最高の仲間と出会い、世界で一番幸福な場所を創り上げる、爽快な逆転成り上がりファンタジー!
【土壌改良】で死の荒野がSランク農園に!食べただけでレベルアップする野菜で、世界最強ギルド設立
黒崎隼人
ファンタジー
「え? これ、ただのトマトですよ?」
「いいえ、それは食べただけで魔力が全回復する『神の果実』です!」
ブラック企業で働き詰めだった青年は、異世界の名門貴族の三男・ノアとして転生する。
しかし、授かったスキルは【土壌改良】という地味なもの。
「攻撃魔法も使えない役立たず」と罵られ、魔物すら寄り付かない死の荒野へ追放されてしまう。
だが、彼らは知らなかった。
ノアのスキルは、現代の農業知識と合わせることで、荒れ果てた土地を「Sランク食材」が溢れる楽園に変えるチート能力だったことを!
伝説の魔獣(もふもふ)をキュウリ一本で手懐け、行き倒れた天才エルフを極上スープで救い出し、気づけば荒野には巨大な「農業ギルド」が誕生していた。
これは、本人がただ美味しい野菜を作ってのんびり暮らしたいだけなのに、周囲からは「世界を救う大賢者」と崇められてしまう、無自覚・最強の農業ファンタジー!
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
「お前の戦い方は地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん、その正体は大陸を震撼させた伝説の暗殺者。
夏見ナイ
ファンタジー
「地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん冒険者アラン(40)。彼はこれを機に、血塗られた過去を捨てて辺境の村で静かに暮らすことを決意する。その正体は、10年前に姿を消した伝説の暗殺者“神の影”。
もう戦いはこりごりなのだが、体に染みついた暗殺術が無意識に発動。気配だけでチンピラを黙らせ、小石で魔物を一撃で仕留める姿が「神業」だと勘違いされ、噂が噂を呼ぶ。
純粋な少女には師匠と慕われ、元騎士には神と崇められ、挙句の果てには王女や諸国の密偵まで押しかけてくる始末。本人は畑仕事に精を出したいだけなのに、彼の周りでは勝手に伝説が更新されていく!
最強の元暗殺者による、勘違いスローライフファンタジー、開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる