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神々しいと皐月
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元旦、受験生は祈った。自分の合格を。
もちろん全ての祈りが叶うわけではなく、叶わない者もいた。その理由は努力不足や多岐に渡る。
しかし、本来なら受かるはずの能力をもっていたものが何らかの阻害を受けていた結果もある。
「試験当日の道路混雑、予防接種したのにインフル、マークシートの写しズレ、試験官の採点ミス等々」
「たまにおきるんだ。こういう不祥事が。そして今年はそれが多くてさ。それに対して、天上の審議会がある対処をこうじた」
「――神様直々の謝罪」
「でも、神様は謝るのを嫌がり、その代わりに受験生特有の願いをかなえることにしたのさ。神様の使命として」
風の強い教室はいつの間にか、風はやんでいて。
何故か全員が僕の話に耳を向けていた。うわ、気まずい。とりあえず張本人に話をふるか。
「ね、神様のしーちゃん」
「もう、全部言っちゃだめじゃん。さっちゃん」
声がした瞬間、しーちゃんが僕のそばにいた。
「さっちゃん? 」佐敷さんがつぶやく。
それに僕が答えた。
「僕の名前。略してるだけ、本当は皐月っていうんだ。五月を司る精霊みたいなもので、今はしーちゃんの謝罪巡りに付きあってる」
しーちゃんの世話が面倒すぎて、自分の役割をすっかり忘れていた。
考えてみれば、『さしき』と『さつき』って似てるよな。何かのご縁か? しーちゃん。
あ、まだ聞いてないことひとつあった。
「そういえばさ、しーちゃん。しーちゃんの由来って」
「え? ああ、私ね、初めて日本人に姿現したときにね。しーって名前付けてもらったんだよ」
「――神々しい……って」
だじゃれかい! 安直な。それでも神様かよ。
そんな素直でキュートな見た目の神様は下界の者に告げ……じゃなかった。何故か佐敷さんに告げた。
「佐敷さん」
「はい」
佐敷さんが背筋を伸ばし、答える。
「試験当日にインフルにさせてごめんなさい。魔を完全に追い払えませんでした。許してください。でもって、あなたはもっとがんばれば●●大でもいけると思います。神様のお墨付きです」
褒めてるのか褒めてないのか分からないフォローだった。おい、神様。語彙力無さ過ぎるだろ。
「はあ」
おい、佐敷さんの頭が内容処理できてないみたいだぞ。佐敷さんの許容範囲超えてるぞ。
「――そして、ここにいる皆さん!」
僕の言葉を聞かないしーちゃん、声高らかに言う。
「神社なんか行ってない人も、仏教徒もまとめて、ごめんなさい! すみませんでした! 中には努力不足の人もいますが、皆さん。私のせいで不合格でした!」
「誠に誠に、すみませんでした!!」
潜伏期間9日にして、しい、謝る。
面倒な僕の仕事はこれにて、終了した。
さあ、バトンタッチだ。
もちろん全ての祈りが叶うわけではなく、叶わない者もいた。その理由は努力不足や多岐に渡る。
しかし、本来なら受かるはずの能力をもっていたものが何らかの阻害を受けていた結果もある。
「試験当日の道路混雑、予防接種したのにインフル、マークシートの写しズレ、試験官の採点ミス等々」
「たまにおきるんだ。こういう不祥事が。そして今年はそれが多くてさ。それに対して、天上の審議会がある対処をこうじた」
「――神様直々の謝罪」
「でも、神様は謝るのを嫌がり、その代わりに受験生特有の願いをかなえることにしたのさ。神様の使命として」
風の強い教室はいつの間にか、風はやんでいて。
何故か全員が僕の話に耳を向けていた。うわ、気まずい。とりあえず張本人に話をふるか。
「ね、神様のしーちゃん」
「もう、全部言っちゃだめじゃん。さっちゃん」
声がした瞬間、しーちゃんが僕のそばにいた。
「さっちゃん? 」佐敷さんがつぶやく。
それに僕が答えた。
「僕の名前。略してるだけ、本当は皐月っていうんだ。五月を司る精霊みたいなもので、今はしーちゃんの謝罪巡りに付きあってる」
しーちゃんの世話が面倒すぎて、自分の役割をすっかり忘れていた。
考えてみれば、『さしき』と『さつき』って似てるよな。何かのご縁か? しーちゃん。
あ、まだ聞いてないことひとつあった。
「そういえばさ、しーちゃん。しーちゃんの由来って」
「え? ああ、私ね、初めて日本人に姿現したときにね。しーって名前付けてもらったんだよ」
「――神々しい……って」
だじゃれかい! 安直な。それでも神様かよ。
そんな素直でキュートな見た目の神様は下界の者に告げ……じゃなかった。何故か佐敷さんに告げた。
「佐敷さん」
「はい」
佐敷さんが背筋を伸ばし、答える。
「試験当日にインフルにさせてごめんなさい。魔を完全に追い払えませんでした。許してください。でもって、あなたはもっとがんばれば●●大でもいけると思います。神様のお墨付きです」
褒めてるのか褒めてないのか分からないフォローだった。おい、神様。語彙力無さ過ぎるだろ。
「はあ」
おい、佐敷さんの頭が内容処理できてないみたいだぞ。佐敷さんの許容範囲超えてるぞ。
「――そして、ここにいる皆さん!」
僕の言葉を聞かないしーちゃん、声高らかに言う。
「神社なんか行ってない人も、仏教徒もまとめて、ごめんなさい! すみませんでした! 中には努力不足の人もいますが、皆さん。私のせいで不合格でした!」
「誠に誠に、すみませんでした!!」
潜伏期間9日にして、しい、謝る。
面倒な僕の仕事はこれにて、終了した。
さあ、バトンタッチだ。
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