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プロローグ
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ここに、1冊の本があります。
タイトルは『初めてのクリスタン神話』
作者の名前はノワールといいます。
何の変哲もない、実家が魚屋というだけの素朴な青年です。
この本は、モンド大陸に古くから伝わる宗教「クリスタン教」の中から、神話の部分をわかりやすく解説したものです。
クリスタン教は「友情」を司る女神クリスタンを唯一神として崇め奉る宗教ですが、現在では信者の数も減少し、過去の遺物として衰退しつつある宗教です。
そして、モンド大陸に教え広められた宗教は数あれど、これほど神話に重きを置く宗教は他にはありません。
なぜなら、クリスタン神話は史実そのものであり、未来であるこの大陸の行く末まで、神話の中で予言しているからです。
そこに興味を持ち、独自の研究を進めていたのが、この本の作者である青年、ノワールでした。
ノワールは港町のある公国の生まれで、家業は代々続く魚屋でしたが、商売業は彼の性格に合わなかったようです。
ノワールは、家業を継がずにクリスタン神話の研究に没頭しました。
実家の魚屋が店を畳むことになった頃、自由気ままなノワールは、クリスタン神話に縁のある地を巡っていました。
そして、彼が最後にやって来たのが、このスパイス帝国なのです。
スパイス帝国は、ご存知の通り皇帝を神として崇めることを推奨している国です。
そこで異教のクリスタン教を研究するノワールは、目障りな存在でした。
それゆえ、当時の皇帝ガラムマサラは、ノワールの地下牢投獄をお決めになったのです。
そんなノワールが地下牢に投獄された後も書き続けていた本が、この『初めてのクリスタン神話』です。
しかし、書き続けていたといっても……
………
……
いや、説明は必要ありませんね。
まずは読んでもらったほうが早いでしょう。
◆◇◆◇◆◇◆◇
『初めてのクリスタン神話』
[はじめに]
その昔、世界のすべてが光と闇であった頃。
神は、人間に愛する心を与え、明日への希望を託した。
その頃、世界の片隅にあるモンド大陸は、まだひとつの大きな国だった。
そして、人々の友情や絆を司る女神クリスタンは、五大神の中でも知名度の低い神であった。
そんな少数派のクリスタン教だが、信者たちは「気の合う友人に会うことができるのはクリスタン神のおかげである」と信じていた。
それゆえ、この宗教は人生を豊かにすると語り合い、クリスタン教の布教を始めた。
その頃、世界には珍しく平和な日々が続いており、生活や心に余裕のある人々が増えていた。
おかげでクリスタン教は人々の心の豊かさとともに世界中に広まり、信者の数も増えていった。
それから、数年の月日が流れた頃……
孤独を司る竜の王イゾリータが現れ、孤独を抱える人間を操り、モンド大陸で暴虐の限りを尽くし始めた。
人々の心に入り込み、小さな諍いを起こしては世界を混乱の渦に巻き込み、やがて大きな戦争へと拡大させていく……
光と闇すら世界に存在していなかった頃から、イゾリータはこうして世界を意のままに操ってきたのである。
そして、だれが味方なのか敵なのかわからなくなってしまった世界で、人々は人間不信に陥り、世界は滅亡への道をひた走り続けていった。
人間たちを見守る神々でさえ、この状況には為す術もなく諦めることしかできなかった。
しかし、クリスタン神だけは違った。
友情を司る女神は、人間を救えるのは人間たち自身であると信じていたのだ。
クリスタン神は、人間たちに協力しようと、自らの持つ特別な力が宿った7振りの剣を、世界中へと派遣した。
7振りの剣にはそれぞれ性格があり、クリスタン神はその剣たちが選んだ信者に、世界の命運を託したのである。
かくして剣は、それぞれの持ち主を選び出した。
剣に選ばれし者たちは、暗黒世界にてイゾリータとの壮絶な戦いを繰り広げ、辛くも勝利した。
イゾリータは、暗黒世界の深淵へと封印される直前、次のような言葉を残した。
『愚かな人間の愚かな心によって、この封印は破られるだろう。そして余は人間に災厄をもたらし、次こそ世界を滅亡させるのだ』
その地の底を這うような恐ろしい声色の言葉に、信者たちは動揺を隠せなかった。
自分たちの行いに意味があったのか……
不安になる信者たちだったが、クリスタン神だけは冷静に彼らを励ました。
『イゾリータの封印が破られるのは、少なくともこれから何百年と先のこと。心配は要りません。封印が破られたときは、そのときの剣に選ばれし信者たちによって、イゾリータは封印される運命なのです』
クリスタン神の言葉に信者たちは心を落ち着かせることができた。
そして、月日は流れ……
剣に選ばれた信者たちは、神の元へ召された。
残された7振りの剣は、クリスタン神によって世界中に封印された。
後に『伝説の剣』と呼ばれるようになるそれらの行方を知る者はいない。
しかし、伝説の剣はイゾリータの封印が破られたときに備えて、新しい持ち主を選ぶために出番を待っている。
……世界が平和になった今でも、クリスタン教信者の間にはそんな言い伝えが残っている。
[予言の書]
史実と思われる箇所が多く存在する、クリスタン神話。
その中には、知る人の少ない『予言の書』と呼ばれる章が存在する。
私(ノワール)は、クリスタン教信者の聖地であるクリスタニアにてこの書物の存在を教えていただき、書物を預かって研究を続けてきた。
まだ謎の多い『予言の書』ではあるが、これは必ずクリスタン神話の言い伝えが史実であると裏付けてくれる重要な史料になるに違いない。
そんな『予言の書』には、
『地中に2振り、頭上に2振り。大切な人から2振りの贈物。そして、持ち主を見守る1振り』
という、伝説の剣が眠る場所を示す文章も存在する。
さらに、神話には書かれておらず、信者たちも聞いたことのない幻の大剣と呼ばれている『正義の剣』についても記されている。
『正義の剣』は、7振りある伝説の剣に「もうひとつの力」が加わったときにのみ現れるといわれている剣であり、扱える信者は限られているという。
クリスタニアにて預かった『予言の書』には、竜の王イゾリータの封印が破られし日に、幻の大剣『正義の剣』を扱うことのできる信者が現れる、と記されている。
その信者の名前も『予言の書』には記載されており、それは
◆◇◆◇◆◇◆◇
……残念ながら、この続きは世界のどこにも存在しません。
地下牢に投獄されたノワールは『初めてのクリスタン神話』をここまで書き上げたその日に、ガラムマサラ皇帝によって処刑されたのですから。
彼が書斎がわりにしていた地下牢は、彼の存在自体を消すように片付けられました。
地下牢に運ばれていたノワールの研究資料たちもまた、最初からなかった物のように扱われ、すべて処分されたのです。
その中には、クリスタニアから預かっていたという『予言の書』も含まれていました。
それがどれほど貴重な文書であるか、知る者がいなかったための悲劇です。
おかげで『正義の剣』を扱うことのできる信者の名前は、ノワール以外だれにもわからなくなってしまいました。
……こんなことなら、ノワールが処刑される前に、尋問してでも聞き出しておくべきでした。
不安材料は、芽が出る前に摘んでおかねばならないというのに。
私は処分されてしまった『予言の書』の存在を知ったとき、激しく後悔したのです。
……ああ、まだ名乗っていませんでしたね。
私の名前はクレソン。
あなたとは、またどこかで会えることでしょう。
タイトルは『初めてのクリスタン神話』
作者の名前はノワールといいます。
何の変哲もない、実家が魚屋というだけの素朴な青年です。
この本は、モンド大陸に古くから伝わる宗教「クリスタン教」の中から、神話の部分をわかりやすく解説したものです。
クリスタン教は「友情」を司る女神クリスタンを唯一神として崇め奉る宗教ですが、現在では信者の数も減少し、過去の遺物として衰退しつつある宗教です。
そして、モンド大陸に教え広められた宗教は数あれど、これほど神話に重きを置く宗教は他にはありません。
なぜなら、クリスタン神話は史実そのものであり、未来であるこの大陸の行く末まで、神話の中で予言しているからです。
そこに興味を持ち、独自の研究を進めていたのが、この本の作者である青年、ノワールでした。
ノワールは港町のある公国の生まれで、家業は代々続く魚屋でしたが、商売業は彼の性格に合わなかったようです。
ノワールは、家業を継がずにクリスタン神話の研究に没頭しました。
実家の魚屋が店を畳むことになった頃、自由気ままなノワールは、クリスタン神話に縁のある地を巡っていました。
そして、彼が最後にやって来たのが、このスパイス帝国なのです。
スパイス帝国は、ご存知の通り皇帝を神として崇めることを推奨している国です。
そこで異教のクリスタン教を研究するノワールは、目障りな存在でした。
それゆえ、当時の皇帝ガラムマサラは、ノワールの地下牢投獄をお決めになったのです。
そんなノワールが地下牢に投獄された後も書き続けていた本が、この『初めてのクリスタン神話』です。
しかし、書き続けていたといっても……
………
……
いや、説明は必要ありませんね。
まずは読んでもらったほうが早いでしょう。
◆◇◆◇◆◇◆◇
『初めてのクリスタン神話』
[はじめに]
その昔、世界のすべてが光と闇であった頃。
神は、人間に愛する心を与え、明日への希望を託した。
その頃、世界の片隅にあるモンド大陸は、まだひとつの大きな国だった。
そして、人々の友情や絆を司る女神クリスタンは、五大神の中でも知名度の低い神であった。
そんな少数派のクリスタン教だが、信者たちは「気の合う友人に会うことができるのはクリスタン神のおかげである」と信じていた。
それゆえ、この宗教は人生を豊かにすると語り合い、クリスタン教の布教を始めた。
その頃、世界には珍しく平和な日々が続いており、生活や心に余裕のある人々が増えていた。
おかげでクリスタン教は人々の心の豊かさとともに世界中に広まり、信者の数も増えていった。
それから、数年の月日が流れた頃……
孤独を司る竜の王イゾリータが現れ、孤独を抱える人間を操り、モンド大陸で暴虐の限りを尽くし始めた。
人々の心に入り込み、小さな諍いを起こしては世界を混乱の渦に巻き込み、やがて大きな戦争へと拡大させていく……
光と闇すら世界に存在していなかった頃から、イゾリータはこうして世界を意のままに操ってきたのである。
そして、だれが味方なのか敵なのかわからなくなってしまった世界で、人々は人間不信に陥り、世界は滅亡への道をひた走り続けていった。
人間たちを見守る神々でさえ、この状況には為す術もなく諦めることしかできなかった。
しかし、クリスタン神だけは違った。
友情を司る女神は、人間を救えるのは人間たち自身であると信じていたのだ。
クリスタン神は、人間たちに協力しようと、自らの持つ特別な力が宿った7振りの剣を、世界中へと派遣した。
7振りの剣にはそれぞれ性格があり、クリスタン神はその剣たちが選んだ信者に、世界の命運を託したのである。
かくして剣は、それぞれの持ち主を選び出した。
剣に選ばれし者たちは、暗黒世界にてイゾリータとの壮絶な戦いを繰り広げ、辛くも勝利した。
イゾリータは、暗黒世界の深淵へと封印される直前、次のような言葉を残した。
『愚かな人間の愚かな心によって、この封印は破られるだろう。そして余は人間に災厄をもたらし、次こそ世界を滅亡させるのだ』
その地の底を這うような恐ろしい声色の言葉に、信者たちは動揺を隠せなかった。
自分たちの行いに意味があったのか……
不安になる信者たちだったが、クリスタン神だけは冷静に彼らを励ました。
『イゾリータの封印が破られるのは、少なくともこれから何百年と先のこと。心配は要りません。封印が破られたときは、そのときの剣に選ばれし信者たちによって、イゾリータは封印される運命なのです』
クリスタン神の言葉に信者たちは心を落ち着かせることができた。
そして、月日は流れ……
剣に選ばれた信者たちは、神の元へ召された。
残された7振りの剣は、クリスタン神によって世界中に封印された。
後に『伝説の剣』と呼ばれるようになるそれらの行方を知る者はいない。
しかし、伝説の剣はイゾリータの封印が破られたときに備えて、新しい持ち主を選ぶために出番を待っている。
……世界が平和になった今でも、クリスタン教信者の間にはそんな言い伝えが残っている。
[予言の書]
史実と思われる箇所が多く存在する、クリスタン神話。
その中には、知る人の少ない『予言の書』と呼ばれる章が存在する。
私(ノワール)は、クリスタン教信者の聖地であるクリスタニアにてこの書物の存在を教えていただき、書物を預かって研究を続けてきた。
まだ謎の多い『予言の書』ではあるが、これは必ずクリスタン神話の言い伝えが史実であると裏付けてくれる重要な史料になるに違いない。
そんな『予言の書』には、
『地中に2振り、頭上に2振り。大切な人から2振りの贈物。そして、持ち主を見守る1振り』
という、伝説の剣が眠る場所を示す文章も存在する。
さらに、神話には書かれておらず、信者たちも聞いたことのない幻の大剣と呼ばれている『正義の剣』についても記されている。
『正義の剣』は、7振りある伝説の剣に「もうひとつの力」が加わったときにのみ現れるといわれている剣であり、扱える信者は限られているという。
クリスタニアにて預かった『予言の書』には、竜の王イゾリータの封印が破られし日に、幻の大剣『正義の剣』を扱うことのできる信者が現れる、と記されている。
その信者の名前も『予言の書』には記載されており、それは
◆◇◆◇◆◇◆◇
……残念ながら、この続きは世界のどこにも存在しません。
地下牢に投獄されたノワールは『初めてのクリスタン神話』をここまで書き上げたその日に、ガラムマサラ皇帝によって処刑されたのですから。
彼が書斎がわりにしていた地下牢は、彼の存在自体を消すように片付けられました。
地下牢に運ばれていたノワールの研究資料たちもまた、最初からなかった物のように扱われ、すべて処分されたのです。
その中には、クリスタニアから預かっていたという『予言の書』も含まれていました。
それがどれほど貴重な文書であるか、知る者がいなかったための悲劇です。
おかげで『正義の剣』を扱うことのできる信者の名前は、ノワール以外だれにもわからなくなってしまいました。
……こんなことなら、ノワールが処刑される前に、尋問してでも聞き出しておくべきでした。
不安材料は、芽が出る前に摘んでおかねばならないというのに。
私は処分されてしまった『予言の書』の存在を知ったとき、激しく後悔したのです。
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