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【Episode 09】 思惑 Ⅱ
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【鬼岩城】内部、13階『百鬼の間』――……
暗い部屋を燭台の灯りだけがゆらゆらと照らしている。
そんな燭台に照らされて揺れる2つの人影。
1つはこの部屋の主、百鬼夜行。
もう1つは、その配下のセンジュ・マンダラである。
「で、例のブツはソレか?」
センジュの足元に転がっているモノを顎でしゃくりながら百鬼は問う。
それに対してセンジュは頷きながら答える。
「ええ、間違いありません」
百鬼は、椅子から立ち上がると、ゆらゆらと揺れる燭台の光を浴びながらシロへと近づく。
そして、その白い頬を、鉤爪のような指先で撫でた。
「なるほどな……、報告通りただの人間にしか見えないな」
百鬼の言葉に、センジュは静かに口を開く。
「しかし、百鬼殿。その娘は只者ではありません。その娘が発した光は、我がドローンの機能を一時的に停止させました。あれは、単なる電磁パルスなどではありません」
「――ああ、分かっているさ」
百鬼はシロから顔を離し、再び椅子へと戻りながら、冷たく響く声で答えた。
「【真理の門】から抜け出した、という事実が全てだ。あの扉は、ただの扉ではない。【堕天杯】のもう一人の首領であり、【真理の徒】の創設者にして唯一の構成員……、ニコラ・K・フラウロスにしか入れない」
百鬼はシロの方を一瞥し、鉤爪の指先を組んだ。
「そのニコラが長年研究し、その先に『世界の真理』があると信じている場所だ。そこから、何の異形化もしていない『純粋な人間』が出てきた。それが何を意味するか、分かるか?」
センジュは静かに頭を垂れる。
「この世界の理、すなわち『弱肉強食』の法則から逸脱した、未知の可能性」
「その通りだ、センジュ」
百鬼は満足そうに口角を上げた。その笑みは、暗闇の中でも鋭く光る。
「我たちはこの【隔離世奈落】を支配する。だが、この腐りきった世界を支配するだけでは、飽き足らなくなった。ならば、この世界の外側へ。そして、この世界の理すら捻じ曲げる力が必要だ」
百鬼は視線を宙に向け、独白するように言葉を続ける。
「ソレはその可能性を秘めている」
百鬼はニヤリと歪んだ笑みを浮かべたまま、センジュに指示を出す。
「センジュ。ソレを【百鬼夜行】の技術・解析班のもとに届けろ。そして、ソレの秘密を徹底的に解析させろ」
「御意」
センジュは深々と頭を下げると、床に横たわるシロを抱き上げた。
百鬼は立ち去ろうとするセンジュの背に、もう一つ、冷たい声を投げかけた。
「死神は必ず追ってくる。奴の目的は、そのブツだ。迎撃の準備を整えろ。奴の再生能力をもってしても、この【鬼岩城】を単独で攻め落とすことなどできはしない。だが……奴を侮るな。念には念を入れろ」
「承知いたしました。全構成員にもそう伝え、万全の体制で迎撃いたします」
センジュはそう応じると、音もなく部屋を後にした。
百鬼夜行は、誰もいなくなった部屋で、ただ一人、燭台の炎を眺めていた。
「ニコラめ……」
百鬼は吐き捨てるように呟いた。
百鬼は鉤爪の指を組み、燭台の炎を握り潰すように見つめた。
「アレは、ニコラを出し抜くための、最高の『手札』だ。解析が終われば、あの男も、この【隔離世奈落】も、そしてその先の『外側』の世界も……すべてオレのものとなる」
その瞳の奥には、ニコラへの不信と、全てを支配しようとする底知れない渇望が燃えていた。
暗い部屋を燭台の灯りだけがゆらゆらと照らしている。
そんな燭台に照らされて揺れる2つの人影。
1つはこの部屋の主、百鬼夜行。
もう1つは、その配下のセンジュ・マンダラである。
「で、例のブツはソレか?」
センジュの足元に転がっているモノを顎でしゃくりながら百鬼は問う。
それに対してセンジュは頷きながら答える。
「ええ、間違いありません」
百鬼は、椅子から立ち上がると、ゆらゆらと揺れる燭台の光を浴びながらシロへと近づく。
そして、その白い頬を、鉤爪のような指先で撫でた。
「なるほどな……、報告通りただの人間にしか見えないな」
百鬼の言葉に、センジュは静かに口を開く。
「しかし、百鬼殿。その娘は只者ではありません。その娘が発した光は、我がドローンの機能を一時的に停止させました。あれは、単なる電磁パルスなどではありません」
「――ああ、分かっているさ」
百鬼はシロから顔を離し、再び椅子へと戻りながら、冷たく響く声で答えた。
「【真理の門】から抜け出した、という事実が全てだ。あの扉は、ただの扉ではない。【堕天杯】のもう一人の首領であり、【真理の徒】の創設者にして唯一の構成員……、ニコラ・K・フラウロスにしか入れない」
百鬼はシロの方を一瞥し、鉤爪の指先を組んだ。
「そのニコラが長年研究し、その先に『世界の真理』があると信じている場所だ。そこから、何の異形化もしていない『純粋な人間』が出てきた。それが何を意味するか、分かるか?」
センジュは静かに頭を垂れる。
「この世界の理、すなわち『弱肉強食』の法則から逸脱した、未知の可能性」
「その通りだ、センジュ」
百鬼は満足そうに口角を上げた。その笑みは、暗闇の中でも鋭く光る。
「我たちはこの【隔離世奈落】を支配する。だが、この腐りきった世界を支配するだけでは、飽き足らなくなった。ならば、この世界の外側へ。そして、この世界の理すら捻じ曲げる力が必要だ」
百鬼は視線を宙に向け、独白するように言葉を続ける。
「ソレはその可能性を秘めている」
百鬼はニヤリと歪んだ笑みを浮かべたまま、センジュに指示を出す。
「センジュ。ソレを【百鬼夜行】の技術・解析班のもとに届けろ。そして、ソレの秘密を徹底的に解析させろ」
「御意」
センジュは深々と頭を下げると、床に横たわるシロを抱き上げた。
百鬼は立ち去ろうとするセンジュの背に、もう一つ、冷たい声を投げかけた。
「死神は必ず追ってくる。奴の目的は、そのブツだ。迎撃の準備を整えろ。奴の再生能力をもってしても、この【鬼岩城】を単独で攻め落とすことなどできはしない。だが……奴を侮るな。念には念を入れろ」
「承知いたしました。全構成員にもそう伝え、万全の体制で迎撃いたします」
センジュはそう応じると、音もなく部屋を後にした。
百鬼夜行は、誰もいなくなった部屋で、ただ一人、燭台の炎を眺めていた。
「ニコラめ……」
百鬼は吐き捨てるように呟いた。
百鬼は鉤爪の指を組み、燭台の炎を握り潰すように見つめた。
「アレは、ニコラを出し抜くための、最高の『手札』だ。解析が終われば、あの男も、この【隔離世奈落】も、そしてその先の『外側』の世界も……すべてオレのものとなる」
その瞳の奥には、ニコラへの不信と、全てを支配しようとする底知れない渇望が燃えていた。
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