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【Episode 06】 強襲
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地獄階【等活】から隠れ家への帰路の途中、餓鬼階【多財】震地区の繁華街――……
この【隔離世奈落】で1、2を争う大繁華街。
様々な露店や商店、酒場に娼館などが立ち並び、文字通りの多種多様な人種、機械人間に強化人間、改造人間で大通りは溢れ返っていた。
そんな大通りから少し外れた裏通りを俺はシロを連れて歩いていた。
裏通りということもあってか、人の往来は疎ららであった。
ふと、シロが上を見上げ、空を指差す。
「ネロ、見てください! 赤い月が出ています!」
血のような赤黒い雲が覆うこの世界で、時折、その雲間から月が顔を覗かせることがある。だが、その月もこの世界の空気に染まったかのように、常に禍々しい赤色に染まっている。
俺は何も言わず、ただ上空の赤い月を見上げた。
俺の刀と禍々しい輝きを放つその月は、俺が地獄階で目覚めた夜を思い出させる。しかし、俺が何者なのか、どこから来たのかを教えてはくれなかった。
「――綺麗ですね」
シロが呟く。その表情はどこか儚げだった。
そんな時だった――……
「本当に、良い夜ですね――……」
突如、後ろから声がして振り返ると、そこには尼のような恰好をした女が足音なく静かに現れた。
俺は咄嗟に高周波振動刀『紅月』に手を掛け、女に問う。
「アンタは?」
女は静かな口調で答える。
「私はセンジュ・マンダラ、【百鬼夜行】の幹部を務めている者です。本日は貴殿の後ろに隠れてる御方の身柄を貰いに来ました」
その視線は、俺の後ろに隠れてるシロに向けられた。
「残念、俺じゃないのか?」
俺の返答に、センジュの表情は変わらない。代わりに、その瞳の奥に、僅かながら失望のような色が浮かんだように見えた。
「貴殿の身柄は、いずれ改めて頂戴する。まずは、そちらの御方だけで事足りるゆえ」
センジュの言葉と同時に、その背後から4腕の蜘蛛型のドローンが複数体、俺たちに襲い掛かる。
「ッ!」
俺はすかさず『紅月』を一閃し、それを迎撃する。しかし、それは数が多いうえ、文字通り壁や地面から多角的に襲い掛かる。
そして、それらはその4本の腕で俺の身体に組み付き、俺の身動きを止めた。
「貴殿にはそこで大人しくなってて貰います」
そう言うと、センジュはシロの方へと視線を移した。
シロは恐怖に目を見開き、その場に固まってしまう。
「おい! 馬鹿逃げろ!!」
ドローンが滑るようにシロに迫る。万事休すかと思われたその時、シロの身体が淡い光を放ち始めた。その光は瞬く間に強まり、シロに迫っていたドローンを包み込む。
直後、ドローンはまるで機能不全を起こしたかのように、ガタガタと震え始め、次の瞬間には一斉に沈黙した。全ての腕がだらりと垂れ下がり、その場に倒れ込む。俺を拘束していたドローンも同様に機能を停止し、俺は自由になった。
「これは……」
センジュの声に、微かな驚きが混じる。彼女の無表情が崩れかけたのは、これが初めてだった。
俺はすぐさまシロの元へと駆け寄る。
「おい! 大丈夫か!」
シロは虚ろな目で宙を見つめたまま、微かに首を振る。その顔からは血の気が引き、額には冷や汗が滲んでいた。どうやら、かなりの負担がかかったようだ。
センジュは俺たちを一瞥すると、ゆっくりと口を開いた。
「なるほど。やはり、その御方は特別な意味を持つ。力ずくでは難しいか……」
センジュはそう呟くと、指を小さく鳴らした。すると、倒れていたドローンが再起動し、再び動き出す。しかし、その動きは先ほどよりも鈍く、ぎこちない。
「今回は見送る。だが、次はない」
そう言い残し、センジュはそのまま闇の中に溶けるように姿を消した。まるで最初からそこにいなかったかのように、その気配すら残さなかった。
俺は油断なく周囲を警戒しながら、シロを抱きかかえる。
「行くぞ、しっかり掴まってろ!」
シロはまだ完全に意識を取り戻していないようだったが、俺の腕の中で小さく頷いた。
静かになった裏通りに、遠く繁華街の喧騒だけが響いていた。
この【隔離世奈落】で1、2を争う大繁華街。
様々な露店や商店、酒場に娼館などが立ち並び、文字通りの多種多様な人種、機械人間に強化人間、改造人間で大通りは溢れ返っていた。
そんな大通りから少し外れた裏通りを俺はシロを連れて歩いていた。
裏通りということもあってか、人の往来は疎ららであった。
ふと、シロが上を見上げ、空を指差す。
「ネロ、見てください! 赤い月が出ています!」
血のような赤黒い雲が覆うこの世界で、時折、その雲間から月が顔を覗かせることがある。だが、その月もこの世界の空気に染まったかのように、常に禍々しい赤色に染まっている。
俺は何も言わず、ただ上空の赤い月を見上げた。
俺の刀と禍々しい輝きを放つその月は、俺が地獄階で目覚めた夜を思い出させる。しかし、俺が何者なのか、どこから来たのかを教えてはくれなかった。
「――綺麗ですね」
シロが呟く。その表情はどこか儚げだった。
そんな時だった――……
「本当に、良い夜ですね――……」
突如、後ろから声がして振り返ると、そこには尼のような恰好をした女が足音なく静かに現れた。
俺は咄嗟に高周波振動刀『紅月』に手を掛け、女に問う。
「アンタは?」
女は静かな口調で答える。
「私はセンジュ・マンダラ、【百鬼夜行】の幹部を務めている者です。本日は貴殿の後ろに隠れてる御方の身柄を貰いに来ました」
その視線は、俺の後ろに隠れてるシロに向けられた。
「残念、俺じゃないのか?」
俺の返答に、センジュの表情は変わらない。代わりに、その瞳の奥に、僅かながら失望のような色が浮かんだように見えた。
「貴殿の身柄は、いずれ改めて頂戴する。まずは、そちらの御方だけで事足りるゆえ」
センジュの言葉と同時に、その背後から4腕の蜘蛛型のドローンが複数体、俺たちに襲い掛かる。
「ッ!」
俺はすかさず『紅月』を一閃し、それを迎撃する。しかし、それは数が多いうえ、文字通り壁や地面から多角的に襲い掛かる。
そして、それらはその4本の腕で俺の身体に組み付き、俺の身動きを止めた。
「貴殿にはそこで大人しくなってて貰います」
そう言うと、センジュはシロの方へと視線を移した。
シロは恐怖に目を見開き、その場に固まってしまう。
「おい! 馬鹿逃げろ!!」
ドローンが滑るようにシロに迫る。万事休すかと思われたその時、シロの身体が淡い光を放ち始めた。その光は瞬く間に強まり、シロに迫っていたドローンを包み込む。
直後、ドローンはまるで機能不全を起こしたかのように、ガタガタと震え始め、次の瞬間には一斉に沈黙した。全ての腕がだらりと垂れ下がり、その場に倒れ込む。俺を拘束していたドローンも同様に機能を停止し、俺は自由になった。
「これは……」
センジュの声に、微かな驚きが混じる。彼女の無表情が崩れかけたのは、これが初めてだった。
俺はすぐさまシロの元へと駆け寄る。
「おい! 大丈夫か!」
シロは虚ろな目で宙を見つめたまま、微かに首を振る。その顔からは血の気が引き、額には冷や汗が滲んでいた。どうやら、かなりの負担がかかったようだ。
センジュは俺たちを一瞥すると、ゆっくりと口を開いた。
「なるほど。やはり、その御方は特別な意味を持つ。力ずくでは難しいか……」
センジュはそう呟くと、指を小さく鳴らした。すると、倒れていたドローンが再起動し、再び動き出す。しかし、その動きは先ほどよりも鈍く、ぎこちない。
「今回は見送る。だが、次はない」
そう言い残し、センジュはそのまま闇の中に溶けるように姿を消した。まるで最初からそこにいなかったかのように、その気配すら残さなかった。
俺は油断なく周囲を警戒しながら、シロを抱きかかえる。
「行くぞ、しっかり掴まってろ!」
シロはまだ完全に意識を取り戻していないようだったが、俺の腕の中で小さく頷いた。
静かになった裏通りに、遠く繁華街の喧騒だけが響いていた。
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