妹恋(いもれん)

クロハル

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ガヤガヤ

眠たかったせいか今まで重たかったまぶたを動かし目を見開く

「おい!太一!」
「優人(ゆうと)!これってどういう状況なんだ!」
「見ての通り公開自殺だ。それよりも早くあの人を止めないと!」

見上げる屋上には小柄なクラスメートが1人…

「あれ?2人?」

よく見ると2人もいた。だが思い当たる点があったことを思い出す。男子の間では人気の2人だが、女子の間からはぶりっ子だの、うざいだの、わざと見えないふりをしてぶつかる人もいた。

当然のようになにも見えないかのように周りの女子は気づかないふりをする。

それと対照的に男子は心強く「今助けるからな」とか、「死んでもいいことないぞ!」などと言う言葉を投げかける。普段動かない優人も何かひたすら考えている。

「うるさい!」
「私達のことなんてどうせわからないよ!」

しかしいじめられてきた2人をそんな言葉で説得するなど不可能というものだ。

あたりには次々と先生が集まりいつのまにか男子と先生だけになっていた。

「(くそ!どうする!)」

今にも飛び降りそうな2人を説得すべく俺も思考を巡らす。しかしいい案は何も出てこない。

そして…


















『キーーーーーッ』

「うっ…」

耳を刺すような音。それは放送器具から発せられる音だった。

『え、えぇー。…コホン』
『今飛び降りようとしている女子は今すぐやめるように。飛び降りるのをやめてくれるのなら…』










『100万円あげちゃいます☆』

「な!」

100万円とか無理だろ。それに2人がそんなことで…

「あれ?」

いつの間にか2人の姿はなくなっていた。


はぁ~

男子一同心の奥から深いため息をもらすがそれもすぐに明るい表情に変わる。

「(さすがは篠原さんだ)」


篠原 愛 (しのはら あい)
日本と韓国のハーフ。お金持ちの娘さん。男子からだけではなく女子からも人気な学校内一の有名人。明るい性格で憧れている人が多い。みんなを面白おかしくまとめるリーダー的ポジションの人である。


「(篠原さんなら100万円用意出来るな」)


周りからは「篠原さんマジ天使」と女子から引かれそうなことをいう人から「よかった~」と安心する人などがいた。


一方優人は


「くそーー!これを解決していざモテ期!と思ったのにー!篠原さんめー!」


と1人対抗心を燃やしていた。













「それじゃあ気をつけて帰るんだよ」
「はい。ありがとうございました」


その後は何事もなく1日の授業も終わり、日課になってきた野菜をもらい帰路についた。もちろん今日の夕飯の分である。



「ただいまー」
「おかえりー」


家につくと桃華がくつろいでいた。

「はぁ~」
「兄さんどうしたの?お疲れみたいだけど?」
「あぁ、ちょっとな」

そして今日の朝の出来事を話し、桃華の性格上驚きはしたが助かったと言うとすごく安心したような様子だ。

「そうなんだ。よかったぁ~」
「桃華は優しいな。見ず知らずの人の事まで心配して」
「そ、そんなことないよ」
「そうか?結構すごいことだと思うけどな?」
「そ、そんなことより今日はなんの野菜もらってきたの?」
「今日はなんと!トマトをもらってきました!それも特大の!」

トマトは我が家で最も愛されている食材なのである。

「うわ~!」
「どうだ!すごいだろ!」
「うん。よし!今日は腕によりをかけて作るぞー!」
「あまりはしゃぎすぎて怪我するなよ」
「分かってるよ」


やっぱり我が家が1番だ。






















「痛っ!」
「言わんこっちゃない」



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相坂 優人(あいさか ゆうと)
普段はあまり表立った行動はしないが何かと頼りになるやつ。太一の初めての親友で今は休日にカードゲームをしたりして一緒に遊んでいる。そしてゆうとは昔姉を亡くした。

今日は優人くんの紹介です。では(・ω・)ノシ
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