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2.運命の日
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あれから、1週間。どれだけ頑張ったことだろうか。勉強時間を削り、睡眠時間を削り、挙句の果てには周りからは白い目で見られると言う始末…
妹には、「お兄ちゃん大丈夫?」とまで言われた…妹に同情される俺って一体…
まあ、それも今日で終わりだ!今日は部活勧誘の当日。朝からほぼ全ての部活がいつもより活気だっていた。
「(朝っぱらから元気だなー、こいつら)」
「朋也。最終チェックするわよ。」
「はい!」
俺はほかの奴らに負けまいと元気な声で返事をし、部室に向かった。
部室の中では既に湊先輩が最終チェックを行っていた。
「あ!遅いぞ、2人とも!」
「あんたは、相変わらず元気ね。」
「そう言うお前は相変わらずマイペースだな」
「あら、これでも皆のために頑張ってるのだけれど?」
「そう言う割にはやる気が感じないなぁ~」
「なんですって」
こんな感じでやり取りをしているうちに部活勧誘の時間が迫ってきた。俺は2人の言い合いを止め体育館へ、急いだ。
中には既に俺ら以外の部活の連中は全て体育館に集まっていた。全ての部活が集まったということで、早速部活勧誘が初まった。まだ心の準備が…
「レディース&ジェントルマン、みんな元気にしてたか~!俺はこの時にだけ現れるミスターシノンだーー!」
「いえーーい!」
皆ノリいいな。ちゃんと返すなんて。
あれ?そういえば、湊先輩がいない。あたりを見渡したがやっぱり先輩の姿はどこにも見当たらない。ミスター…シノン…!!まさか…
「それじゃあ早速この日のために集まってくれた、可愛い、可愛い1年生の登場だーー!」
プッッ!…思わず吹いてしまった。苗字のしののめ→しの→かっこいい感じにして→シノン。
そういえば司会は毎年3年生の男子が交代でやるんだっけ。湊先輩お気の毒にww
「まず初めに野球部ーーー!」
「うっす!」
桜木高校の部活は全部で12個、俺達は1番最後。すなわち大鳥だ。……やべぇーー!緊張してきたーーー!
1つ、また1つ、次々にそれぞれの部活勧誘が終了していった。そして、俺達の前の最後の部活勧誘が始まった。俺達は、あらかじめ指定されていた舞台裏に向かった。
心臓の音が凄く伝わってくる。未だかつてないほどに大きい音だったのか俺、死ぬんじゃね?とまで思った。
「朋也!」
そう言うと瑠奈先輩はそっと俺の手を握ってくれた。その瞬間余計な力が抜け、緊張感なども程よい感じになった。
「大丈夫だから。リラックスして行きなさい。」
「そうだぞ!ドカンと1発かましてやれ!」
「湊先輩。それうちの部活の表現とは、違う気が。」
「クスクス…」
? きょとんと首をかしげた湊先輩を俺と瑠奈先輩は、笑っていた。あぁ~俺はこんな優しい人達に支えられてきたのか。
「瑠奈先輩、湊先輩!」
「?」
「絶対成功させましょう!」
「ええ、もちろんよ」
「おお!やってやるぜ!」
アナウンスが鳴り響く!
「続きまして、最後に発表するのは自分達自らが歌を歌う、音楽研究会の皆さんです。」
「1年生の皆さん。ご入学おめでとうございます」
「私達は…」
とうとう始まった。もう後戻りは出来ない。やることは、たった1つ!自分にできる最高のパフォーマンスを!
瑠奈先輩の「それでは、どうぞ!」を合図に曲が流れ始めた。
「この~世界で~私達は生まれ歩んできた~…」
俺達が選んだこの曲は【春色】。高音が特徴的な曲でよく卒業式なんかで歌われるが、入学式にも、あら、びっくり!とても合ってますわよ、奥様。みたいな感じの曲なのだ。
どうせ歌うならということで、先輩達が俺に選ばさせてくれたのだ。出だしは順調中盤まではほぼ完璧なまでに音程とリズムがあっていた。
だが悲劇はいつ起こるかまでは予想できない。
曲の終盤に入る直前…
「ありがと…キッーーン!」
突如マイクからは俺の歌声ではなく、轟音が広い体育館中に鳴り響く。
曲はその場で中断、部活勧誘もそこで幕を閉じた。
1年生が退場し終わり、俺達も部室へと戻った。
パフォーマンスは失敗。その場の空気は完全に悪くなっていった。
「すみません…」
「朋也のせいじゃないわよ。あんなの誰が予想できたのよ」
瑠奈先輩の目には涙が浮かんでいた。湊先輩も「自分が準備を怠ったから」などと嘆いている。
その場の空気は決して良いものではないだろう。
かと言って、どうすればいいんだ!
俺は泣きそうになったがその瞬間。
トントン
音のする方向を向くと扉がノックされていた。
「失礼しまーす」
その声は俺には聞き覚えのある声だった
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【1つの夢と声の思い出】【2.運命の日】を最後まで読んでいただきありがとうございます。
今回はどうでしたでしょうか?部活勧誘でのまさかの失敗。そして最後に扉をノックした謎の人物。まあ、大体はみなさんも分かってると思います。
それでは次回【3.あぁ、女神様(新入部員)】
次回もお楽しみに!
妹には、「お兄ちゃん大丈夫?」とまで言われた…妹に同情される俺って一体…
まあ、それも今日で終わりだ!今日は部活勧誘の当日。朝からほぼ全ての部活がいつもより活気だっていた。
「(朝っぱらから元気だなー、こいつら)」
「朋也。最終チェックするわよ。」
「はい!」
俺はほかの奴らに負けまいと元気な声で返事をし、部室に向かった。
部室の中では既に湊先輩が最終チェックを行っていた。
「あ!遅いぞ、2人とも!」
「あんたは、相変わらず元気ね。」
「そう言うお前は相変わらずマイペースだな」
「あら、これでも皆のために頑張ってるのだけれど?」
「そう言う割にはやる気が感じないなぁ~」
「なんですって」
こんな感じでやり取りをしているうちに部活勧誘の時間が迫ってきた。俺は2人の言い合いを止め体育館へ、急いだ。
中には既に俺ら以外の部活の連中は全て体育館に集まっていた。全ての部活が集まったということで、早速部活勧誘が初まった。まだ心の準備が…
「レディース&ジェントルマン、みんな元気にしてたか~!俺はこの時にだけ現れるミスターシノンだーー!」
「いえーーい!」
皆ノリいいな。ちゃんと返すなんて。
あれ?そういえば、湊先輩がいない。あたりを見渡したがやっぱり先輩の姿はどこにも見当たらない。ミスター…シノン…!!まさか…
「それじゃあ早速この日のために集まってくれた、可愛い、可愛い1年生の登場だーー!」
プッッ!…思わず吹いてしまった。苗字のしののめ→しの→かっこいい感じにして→シノン。
そういえば司会は毎年3年生の男子が交代でやるんだっけ。湊先輩お気の毒にww
「まず初めに野球部ーーー!」
「うっす!」
桜木高校の部活は全部で12個、俺達は1番最後。すなわち大鳥だ。……やべぇーー!緊張してきたーーー!
1つ、また1つ、次々にそれぞれの部活勧誘が終了していった。そして、俺達の前の最後の部活勧誘が始まった。俺達は、あらかじめ指定されていた舞台裏に向かった。
心臓の音が凄く伝わってくる。未だかつてないほどに大きい音だったのか俺、死ぬんじゃね?とまで思った。
「朋也!」
そう言うと瑠奈先輩はそっと俺の手を握ってくれた。その瞬間余計な力が抜け、緊張感なども程よい感じになった。
「大丈夫だから。リラックスして行きなさい。」
「そうだぞ!ドカンと1発かましてやれ!」
「湊先輩。それうちの部活の表現とは、違う気が。」
「クスクス…」
? きょとんと首をかしげた湊先輩を俺と瑠奈先輩は、笑っていた。あぁ~俺はこんな優しい人達に支えられてきたのか。
「瑠奈先輩、湊先輩!」
「?」
「絶対成功させましょう!」
「ええ、もちろんよ」
「おお!やってやるぜ!」
アナウンスが鳴り響く!
「続きまして、最後に発表するのは自分達自らが歌を歌う、音楽研究会の皆さんです。」
「1年生の皆さん。ご入学おめでとうございます」
「私達は…」
とうとう始まった。もう後戻りは出来ない。やることは、たった1つ!自分にできる最高のパフォーマンスを!
瑠奈先輩の「それでは、どうぞ!」を合図に曲が流れ始めた。
「この~世界で~私達は生まれ歩んできた~…」
俺達が選んだこの曲は【春色】。高音が特徴的な曲でよく卒業式なんかで歌われるが、入学式にも、あら、びっくり!とても合ってますわよ、奥様。みたいな感じの曲なのだ。
どうせ歌うならということで、先輩達が俺に選ばさせてくれたのだ。出だしは順調中盤まではほぼ完璧なまでに音程とリズムがあっていた。
だが悲劇はいつ起こるかまでは予想できない。
曲の終盤に入る直前…
「ありがと…キッーーン!」
突如マイクからは俺の歌声ではなく、轟音が広い体育館中に鳴り響く。
曲はその場で中断、部活勧誘もそこで幕を閉じた。
1年生が退場し終わり、俺達も部室へと戻った。
パフォーマンスは失敗。その場の空気は完全に悪くなっていった。
「すみません…」
「朋也のせいじゃないわよ。あんなの誰が予想できたのよ」
瑠奈先輩の目には涙が浮かんでいた。湊先輩も「自分が準備を怠ったから」などと嘆いている。
その場の空気は決して良いものではないだろう。
かと言って、どうすればいいんだ!
俺は泣きそうになったがその瞬間。
トントン
音のする方向を向くと扉がノックされていた。
「失礼しまーす」
その声は俺には聞き覚えのある声だった
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【1つの夢と声の思い出】【2.運命の日】を最後まで読んでいただきありがとうございます。
今回はどうでしたでしょうか?部活勧誘でのまさかの失敗。そして最後に扉をノックした謎の人物。まあ、大体はみなさんも分かってると思います。
それでは次回【3.あぁ、女神様(新入部員)】
次回もお楽しみに!
応援ありがとうございます!
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