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5.マモルンダー参上!
しおりを挟む大通りに出ると、そこには氷でキンキンに固まったビルや店が見え、人々が混乱して逃げ惑っていた。
「うそ…」
これって私のせいなのかな…?
後ろからドンドンと大きな足音が聞こえる。
振りかえると、そこには私を襲ってきた毛むくじゃらの怪物。
「もう逃げられないみたいだな…」
「ど、どーすんのよ…!このまま来たら絶対殺されるじゃん!」
「……下がってろ」
「え…?」
ヒロは服の内側に手を入れ、スッと何かを取り出した。
それは四角い物体で、銀色のピカピカした機械。
「何それ…?」
ヒロはそれを腰に巻く。
変身ベルトのようだ。
「…さっき言いかけたことを言う。
実は俺は、変身して戦うことができる」
「それは…、仮面ライザー(特撮番組のヒーロー)みたいな感じ?」
「そんなところだ」
ほえー。かっちょいーーー。
「行くぞ。…変身」
ヒロがそう言うと、ベルトが音声を鳴らす。
『パッパラパッパッパー』
ヒロに体が光に包まれる。
うわっ、眩しっ!
手で目を覆いしばらくして、恐る恐る目を開くとびっくり仰天。
確かに変身を遂げていた。
だが問題はデザインだ。
頭にはバイクのヘルメット。
体を覆うアーマは段ボールに絵の具(緑色)で塗ったもの。
靴はまさかの長靴。
まとめると…、とにかくダサイのだ。
おっと…。
これはどういう反応をすればいいのかな…?
怪物を見ると、ぽかん顔。
逃げ惑っていた人々もぽかん顔。
周りの反応も気にせず、ヒロは言う。
「正義の味方、マモルンダー参上っ!」
シーーン……。
あぁ、痛い痛い…。
あの人痛すぎる…。
「悪い怪物め、倒してやるー!」
うぉぉーー、と雄叫びをあげながら怪物に飛びかかっていくマモルンダー。
やっぱり痛い。
怪物は、飛びかかってくるマモルンダーをいとも簡単になぎ倒す。
めげずにマモルンダーは怪物の腹に潜りこみタックルする。
怪物びくともせず…。
あー、もう見てらんない!
「ちょっと!何してんのよ!早く攻撃しなさいよー!」
「してる…だろう…が!」
「何言ってるの!?全く相手弱ってないから!ピンピンしてるから!!」
「なにをぅ……!でもどうすれば…?」
「知るかーーー!!」
えっ?もしかして、あれ本気…?
だとしたら、相当なへなちょこヒーローじゃん…!
と、とにかく…。
「必殺技出して!」
ヒーローには必ず必殺技がある。
このへなちょこヒーローにもあるはず。
「分かってる」
マモルンダーはベルトを操作する。
ベルトが音声を鳴らすと、マモルンダーの両手が赤い光に包まれる。
おっ。期待できるかも。
マモルンダーは怪物に手を振りかざすと…。
必殺、ぐるぐるパンチ!!
怪物びくともせず。
そしてマモルンダー、怪物に殴られ転倒。
つくづく痛い。
もう逃げよう、こいつ置いて。
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