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6.作戦会議

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「くそぅ…、何がいけなかったんだ…!」

私の部屋で深刻にそうぼやいているのは、マモルンダー改めヒロ。

いや、明らかに何が悪かったのか分かるだろ。

「……くっ。そうか…!相手が強すぎたのか…!」

「いや、あんたが弱すぎるんだよ」

私が言うと、ヒロは噛みつくように言ってきた。

「はぁ!?んな訳あるか!俺様は正義のヒーローだ。正義が負けるはずがない。そう、正義は勝つのだ!」

うわー、どうしようこのバカ。
自分が弱いことを認めてないよ…。

「あのね、正義のヒーローは心が熱いだけじゃダメなの!
それなりの戦闘力持ってないと、守れるものも守れないのよ」
「戦闘力は持ってる」
「無いじゃない!何よ、『必殺ぐるぐるパンチ』?
あんなの全く攻撃になってないし、おまけに幼稚園児でもできるわ!
それに何よあのデザイン!段ボールって…!
格好からしてヘンテコなのよ!見てて恥ずかしいわ!」
「んだと…!?くそっ、なめやがって…」

悔しそうだが何も言えないようだ。
全て正論だからだろう。

ぐぬぬ、と私を睨み付けていたが、やがて一息ついて、今度は泣きそうな顔。
そして定番の部屋の隅で体育座り。

「ちくしょー…。俺だって、頑張ってるのに…」

何だ、この残念なイケメン。
あー、もう。どうしよう、放置しておこうかな…。

とりあえず優しく声をかけよう。

「あのー、ボク?泣かないで…?」
「……なんてな」
「は…?」
「騙されたな。本当に泣いてるとでも思ったか。
そうか、お前には判断力がないんだな。よし、鍛えてやる」

何言ってんの、この人。
てか鍛えるべきはこの人でしょ?
こんなへなちょこヒーローが私をあんな恐ろしい怪物から守れるはずがない!

「ヒロ、これから作戦会議を始めるわよ」
「は?何だよ」
「だって作戦立てないとあの怪物倒せないでしょ」
「倒せるって言ってる…」
「はいはい、ちょっと黙ってて。
えっと、まずあの怪物何者なの?」
「あぁ、あれは雪男だ」
「雪男って未確認生物じゃん」
「そうだ。お前をこれから襲ってくる怪物達は未確認生物だ」
「それって未確認生物じゃなくない?確認したじゃん」
「ちょっと黙ってろ」

くそぅ、同じこと言い返された…!

「とにかく!どうすれば倒せるのよ!」
「そうだな。雪男だから、熱に弱いだろうから熱を与えればいいんじゃないか」

こら、どや顔すんな。

「分かってるんだったらやれば良かったじゃん!」
「熱が出る攻撃なんて出ないんだよ!」

開き直るなー!

「あー、もう。次怪物が来たらどうするの?」
「…俺にいい考えがある。よし、行くぞ」
「いい考えって何?」
「いいから黙って見てろ」

ヒロは家を飛び出すと、走っていった。
私も急いで後を追う。

全く。何考えてんだか…。
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