『転生したら弱小領主の嫡男でした!!元アラフィフの戦国サバイバル~時代・技術考証や設定などは完全無視です!~』

姜維信繁

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九州三強と中央への目-肥前王 源朝臣小佐々弾正大弼純正-

道雪、難攻不落の敵陣に挑む

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九月六日 卯の一つ時(0500) ※道雪・鑑速軍幕舎

「一体何だあれは?なんなのだ?」
※道雪は頭を抱えた。

それは※臼杵鑑速も同じである。大砲はわかる。脅威ではあるがそこまで恐れる事はない。命中率は低いし、ほとんどが突撃する彼らに騎馬隊の後ろに落ちていた。問題は鉄砲の数である。想像を越える数なのだ。密集した槍もやっかいだ。馬が嫌がり接近できない。

一体どうすればいいのだ?
そう思いながら、道雪と鑑速は敵の密集した銃兵と槍兵の方陣と、左右に配置された騎馬を、どう突破するかを夜通し相談している。

「うーむ、頭を抱えるしかないな。あれが敵の方陣か」。
と鑑速。

「まさにその通りだ。どうすればよいのだ?銃兵と槍兵の密集した方陣に、左右に配された騎馬が自在に動いてわれわれを阻む」。
道雪も同意する。

馬が苦手とする密集した敵の方陣に突っ込むのは危険だ。

「そうでござるな。では、まずは敵の方陣の弱点を見つける事が肝要かと。どこか脆弱な箇所があれば、そこを突破すれば勝機は見えてきましょう」。

人の作った物に完全な物などない。臼杵鑑速はそれを見つけようというのだ。

「・・・。銃兵の密集度を利用し、側面や後方から攻撃を仕掛ける手立てがあれば、敵の方陣を崩せるかもしれぬ」。

「その通りにござる。敵の方陣の配置や動きを見極めながら、戦局に応じた柔軟な動きをする事が肝要」。
鑑速は宗像軍の陣形に対して機動力を重視して、意表をつく動きで翻弄しようという。さきほどはわが騎馬隊も損害を受けたが、何度も同じ手は通じぬ、と言いたいのであろう。

「兵数では我らが優位に立っているが、槍や鉄砲の数は敵に劣っているというのは事実であるな」。

「その通りです。しかし兵数だけではなく、兵法や経験も戦を左右する要素だという事を、われらは身をもって知っております」。
鑑速は自分たちが経験してきた数々の戦場は、伊達ではないという。

「敵の注意を引く一方で、兵を細かく分けて短い時間で連続して攻撃を仕掛ける事で、敵の防御を崩せるかもしれぬな」。

「さようです。それから敵の荷駄隊を襲って後方を切り崩す奇襲攻撃も考慮すべきでしょう」。

「・・・。待てよ。敵の陣、・・・動いておったか?」
道雪はつぶやいた。その瞬間、ひらめいたようだ。

「なるほど、その手があったか!」
道雪は立ち上がり、その顔には光明が見えているようだ。

「見ての通り、敵の陣形は明らかに守備のための配置だ。守備力は高いが、機動力に欠ける」。

「そうですな。それをどう崩すか、これを随分と考えて参りました」。
道雪の独り言から始まった提言に、鑑速も何かを感じたようだ。顔が次の言葉を催促している。

「その通りだ。では・・・・。例えば、我らの兵を五~八つに分けて、敵を鉄砲の届かぬ距離から遠巻きに包囲し、彼らに目標を定めさせず、隙をつく戦術はどうだろう?」

「それは良い手ですね。敵が焦って突出してくれば、その隙を突いて奴らの防衛網を崩せるかもしれません」。
鑑速の同意に道雪は意気があがる。

「しかも、やつらに目標を定めさせずに攻撃をかければ、防衛の連携も乱れるだろう。我らの機動力を生かし、彼らを混乱させよう」。

・・・・・・・・。

なにか、突破口が開けそうだが、しかし、今ひとつ、足りない。二人はそれでも、少しずつ道が見えて来ている様な気がしていた。

「いや、いやいや、待てよ。そうか!忘れておった!」
「なんでござるか?」
またも道雪の独り言だ。

「よいか?我らが忘れてはならぬ目的は城を落とす事だ。しかし、それは当初の計画どおり攻めていけば、時と共になされるものだ。我らは敵の方陣を包囲し、鉄砲の射程の外にいて、敵が前進すれば後退し、後退すれば前進する」。

「右に進めば右に退き、左に進めば左に退く。敵の動きに合わせて柔軟に行動すればよい」。

「なるほど!我らは敵に焦らされず、時間を味方につけるべきという事ですな。はじめは敵の援軍が来た事で、殲滅すべく動いてしまいました。しかしわれらの優勢は変わりませぬ。ただじっとしていれば我らは勝ちまする!」
鑑速はすべて合点がいったようで、激しく同意する。

「さよう。敵に惑わされず、我らの目的を忘れずに進めばよい。城攻めは時間と忍耐が要求されるものだ。我らは粘り強く戦い、敵の心を揺さぶる事が肝要じゃ」。

「焦らず、冷静に行動するとしましょう。攻めなくともよい。われらが、守れば良いのですね。城はわれらの手に必ず落ちまする!」

残りの騎馬は六百、決して多くはないが、この戦法であれば十分である。小城からの攻撃に備えていた歩兵の残りが六千四百。小城の兵は少数ゆえ、もともとの八千は多すぎたのだ。四百を残して六千を宗像の包囲軍に加える。

包囲軍は六千六百となり、宗像軍の兵とほぼ同数である。しかし、今回は大軍が小勢を包囲作戦ではない。遠巻きに包囲して、宗像軍の守備陣形に、包囲軍に気を取られている間に城を落とそうという策であった。
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