『転生したら弱小領主の嫡男でした!!元アラフィフの戦国サバイバル~時代・技術考証や設定などは完全無視です!~』

姜維信繁

文字の大きさ
752 / 828
中国分割と世界戦略始動-東アジアの風雲-

第751話 『6歳の子供にできる事とできないこと。肥前国と大日本国』

しおりを挟む
 天正十八年四月十二日(1589/5/26) 仙台城

「殿! 各県から援助米の求め多く、とても城の蔵だけでは処する事能いませぬ!」

「各県の備蓄米はないのか?」

「すでに底をつき、ゆえに総督府へ懇願がきているのでございます」

 各県、各郡、各村にはそれぞれ行政府としての城がある。そこには非常時の備蓄米が保管されているのだが、東北地方は生産量も低く、全領民を十分に食べさせるだけの量がない。
  
 伊達領内だけでも四苦八苦しているのだ。昨年同様政宗は肥前国政府へ支援を要請した。

 東北地方の総督府は加賀の金沢にあったのだが、天正十六年十月一日に、東北の諸大名が純正に服属を申し出たために仙台へと移され、総督は四年の任期の任期制となっている。




 ■石巻 月の浦

「そこの米は伊達領の分で、蘆名領の分はあの蔵に積み上げよ。よいか、各領で要る米の数も違う故、間違うでないぞ」

 関東地方の余剰分の米を積載し、肥前国の輸送船にのって来た石田佐吉(三成)が手際よく指示を出している。港には既に数十隻の輸送船が停泊し、荷揚げ作業が進められていた。
 
「あの蔵はもう満杯だ。次の船は東の埠頭ふとうに回せ」

 部下が報告してきた。

「石田様、ただいまの到着で五十隻目となりました。およそ十万石の米が届いております」

「あい分かった。まだ足りんが、まずはこれでしのげるだろう」

 東北地方の人口は約100万人であるから、10万石で約1か月から1か月半分の食料が確保できる計算となる。

「石田殿、これほどの大量の米、感謝に堪えません」

 政宗は救援物資が港に着いたとの報せを受けてやってきたのだ。

 従五位下左京大夫じゅごいげさきょうのかみの政宗である。年齢は三成の方が上だが、世が世なら無位無官ではないが最下位の佐吉が、このような声をかけられる関係性ではない。

「左京大夫様、私は務めを果たしているだけにすぎません。それにこの悪しき事の様は肥前国の誰もが心得ておりますゆえ、礼には及びませぬ。ただ、これでも陸奥と出羽すべてとなると十分とは言えぬでしょう」

「承知しております。民は始末(節約)に始末を重ね、それでもどうにもならず、窮しております。今を生きねばならぬと種籾たねもみまで食しておる始末。飢饉ききんの際にたびたび斯様かような仕儀となると、奥州はやがて人の住まぬ土地となってしまうでしょう」

 佐吉の言葉に政宗は厳しい表情で答えた。

 歴史上何度も飢饉や干ばつなどの天変地異は起きている。にもかかわらず人口移動がないのは、他の土地でも似たような事が起きていたからかもしれない。都市部では物価が上昇する。

 しかし、肥前国の発展と大日本国の樹立によって格差が生まれ、生きるために人の移動が顕著となったのだ。これはどれだけ法で規制しようがなくならない。
  
 生死に関わる問題で、法もクソもないのだ。

「然に候。根本よりこの事(問題)を解かねばなりませぬ。此度こたびは長官と二人の局長も参っておりますゆえ、しかと談合いたしましょう」

 長官とは外務省から内務省の地方行財政庁の長官となった小佐々治三郎純久と、行政局長の石田正継、財政局長の石田正澄の事である。




 ■仙台城

「奥州総督伊達左京大夫にございます」

「小佐々治部少輔じぶのしょうにございます」

「石田讃岐守にございます」

「石田木工頭もくのかみにございます」

 それぞれの挨拶が終わり、実務的な会談が始まった。




 ■1か月間前からこれまで オランダ アムステルダム <フレデリック>

 オレはここ1か月、アムステルダムの市場で調査をしている。品物の価格や取引の様子を注意深く観察したのだ。


 

「やあこれはフレデリック様、今日はどうしたんですか?」

 年配のパン屋の主人がオレに声をかけてきたので、店に入って陳列されたパンを見ながら聞く。

「焼きたてパンのいい香りですね。値段はいくらですか?」

「普通の白パンで4スタイバーほどになりますが、フレデリック様にはちょっとお安くできますよ」

 パン屋の主人は笑顔で答えた。

「4スタイバーですか。売れ行きはどうですか? ここ数年で上がっていますか? 店の開店当初と比べてどうですか?」

 この店は店主で2代目なのだが、それでも店主に代わってから30年の歴史がある。

 パン屋の主人は少し驚いた様子で、オレの質問に答え始めた。

「フレデリック様、なかなか鋭いご質問ですね。確かに、ここ数年で値段は上がっています。私が店を継いだ頃は2スタイバーほどでしたから、倍近くになってしまいました」

 主人は少し考え込んでから続ける。

「売れ行きは…… 正直に言うと、以前ほど良くありません。お客様の数が減っているんです」

 そりゃあ物価が高くなれば、買い物客は減るよね。賃金が比例して上がればいいけど、変わらないなら買う量や頻度を減らして家計を圧迫しないようにしないと。エンゲル係数がめちゃくちゃ高いんだろうか。

「どうしてそんなに値段が上がったんですか?」

「小麦の値段が高くなったのが一番の理由です。それに、薪も高くなりました。職人の給金も少し上げないといけなくて……」

 主人はため息をつきながら説明した。

「でも、パンが高くなると、みんな買えなくなりませんか?」

 オレが問いかけると、主人は悲しそうな表情を浮かべる。

「その通りです。だから、パンを小さくしたり、安い材料を使ったりして何とか工夫しているんですが、それでも難しくなってきています」

 オレは店内を見回しながら、さらに質問を投げかける。

「他のお店はどうですか? みんな同じように大変なんですか?」

「ええ、どこも似たような状況です。中には店を畳むところも出てきました。でも、私たちはできるだけ頑張って続けていきたいと思っています」

「分かりました。……それと、今日はパンを1つください」

 オレはそう言って代金を支払い、パンを小脇に抱えて市場を回る。魚屋や肉屋、様々な店を回るうちに、八百屋で気づいた事があった。
  
 じゃがいもが、ないのだ。




 ここ1か月で分かった事。

 物価が高い。高いというよりも慢性的なインフレで、人口が増えているのに食料の供給が追いつかずに、結果的に物価が上がっている状況なのだ。賃金が上がらないから庶民は生活苦になる。

 逆に商工業者にとっては安い賃金で労働者を雇うことができるので、それはある意味、商工業の発展を促しているともいえる。

 特に穀物の高騰がひどい。小麦やオーツ麦、麦芽などの穀物に加えて、干し草やわらが高騰しているのだ。これに対してバターや鶏卵、鶏肉、ビールなどはどれも上昇はしているものの、半分から3分の1の上昇率だ。

 ……それにしても、じゃがいもはなんでなかったんだろうか?

 ん? ヨーロッパに広まるのはまだ先の話かな?

 まてよ? トウモロコシは見たぞ。同じ時期に新大陸から渡ってきたんじゃなかったっけか。

 ……うーん。いや、逆に価格高騰は抑えられないかもしれないけど、じゃがいもを普及させれば人口が増加してもOKなんじゃないか。




 よし、もう一度探してみよう。手に入れたら家庭菜園で栽培する。調理方法も考えて、紹介すれば受け入れられるはず。しかしなんで普及してないんだろうか……。




 次回 第752話 (仮)『飢饉のその後とジャガイモ畑』
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

マンションのオーナーは十六歳の不思議な青年 〜マンションの特別室は何故か女性で埋まってしまう〜

美鈴
ファンタジー
ホットランキング上位ありがとうございます😊  ストーカーの被害に遭うアイドル歌羽根天音。彼女は警察に真っ先に相談する事にしたのだが…結果を言えば解決には至っていない。途方にくれる天音。久しぶりに会った親友の美樹子に「──なんかあった?」と、聞かれてその件を伝える事に…。すると彼女から「なんでもっと早く言ってくれなかったの!?」と、そんな言葉とともに彼女は誰かに電話を掛け始め… ※カクヨム様にも投稿しています ※イラストはAIイラストを使用しています

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

ゲームコインをザクザク現金化。還暦オジ、田舎で世界を攻略中

あ、まん。
ファンタジー
仕事一筋40年。 結婚もせずに会社に尽くしてきた二瓶豆丸。 定年を迎え、静かな余生を求めて山奥へ移住する。 だが、突如世界が“数値化”され、現実がゲームのように変貌。 唯一の趣味だった15年続けた積みゲー「モリモリ」が、 なぜか現実世界とリンクし始める。 化け物が徘徊する世界で出会ったひとりの少女、滝川歩茶。 彼女を守るため、豆丸は“積みゲー”スキルを駆使して立ち上がる。 現金化されるコイン、召喚されるゲームキャラたち、 そして迫りくる謎の敵――。 これは、還暦オジが挑む、〝人生最後の積みゲー〟であり〝世界最後の攻略戦〟である。

うちの冷蔵庫がダンジョンになった

空志戸レミ
ファンタジー
一二三大賞3:コミカライズ賞受賞 ある日の事、突然世界中にモンスターの跋扈するダンジョンが現れたことで人々は戦慄。 そんななかしがないサラリーマンの住むアパートに置かれた古びた2ドア冷蔵庫もまた、なぜかダンジョンと繋がってしまう。部屋の借主である男は酷く困惑しつつもその魔性に惹かれ、このひとりしか知らないダンジョンの攻略に乗り出すのだった…。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

処理中です...