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第一部(侯爵家編)
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さて、人生をやり直すと決めたはいいが何から始めよう? 何を成し遂げたいかは決まっている。アレクとチェルシーとまだ見ぬ子供達と幸せな家庭を築くこと。
そのためには、私がある程度稼げることは大事であろう。アレクだけでは大勢の家族を養うのは大変だ。数度の妊娠出産を経ても揺るがない職……ってなんだろう? 分からないけれど、確実に知性や品性は必要だろう。
つまりは、侯爵家ひいては貴族社会から追い出され平民に落とされた女、ではだめだということ。しかし平民のアレクと結婚するには侯爵令嬢という肩書きは邪魔だ。自ら望んで貴族でなくならなくてはいけない。
ということは、直接的原因であった男爵令嬢を虐げるという行為をまずはしなければいい。そもそも、アレクとの結婚を目指すのであれば第三王子殿下との婚約なんて望まないんだから、その想い人である男爵令嬢を虐げるなんてことをするわけがないから大丈夫。
知性や品性は……家庭教師を付けてもらうのが一番だけど、ジュディスお母様がそんなことしてくれるわけがないわよね。前だってそうしてくれなくて王子妃教育はもちろん貴族学校の授業すらついていけなかった。できることは威張り散らすことくらい……本当最低だわ。
ジュディスお母様が無理なら、お父様に直接言うしかないわね。侯爵家の本邸ではなく離れでカーラお母様と二人だけで過ごしているお父様。執務室も離れに移しているし、領地へ戻る際もカーラお母様だけを連れて行く。ジュディスお母様や私達子供はずっと王都で過ごしていて領地には行った覚えがない。それくらい、カーラお母様以外はどうでもいいのだ。
カーラお母様との間の子である私のことさえ……。
でも未来のためにはぶつかってみなくちゃ。ちょうど一人だし、今から離れに行ってみようと決意して自室を出た。
「これは……アドリアーナお嬢様! 旦那様に御用でしょうか?」
おそらく庭師やメイドから私が離れに向かっていると聞いたのであろう家令のイーサンが、少し慌てた様子で離れから出て私に声を掛けてきた。
離れに来るのなんて前の人生を含めても初めてだもの。そりゃ驚くわよね。
「そうなの。お会いできるかしら? 待たせてもらえるならいくらでも待つし、日を改めろというのならそうするわ」
「滅相もないことでございます! お庭にご案内いたしますのでそちらで少々お待ちくださいませ」
イーサンに通された中庭はすでにメイドが数名でもって何やら準備をしていた。テキパキと並べられていくお菓子や軽食。突然やってきたどうでもいい子供のためにこんなもてなしをするだろうか? これは誰のために? どういう状況なのだろうか?
「お嬢様? こちらへどうぞ」
優しい表情で私を見て、椅子を引いて待っているイーサン。そこに座る? 私が?
どうにも飲み込めないがおずおずと座ると嬉しそうにこちらを見ているメイドと目が合った。他のメイドを見てみるとみんな笑っている。私を蔑むような雰囲気は微塵も感じられない。
「え、っと……」
「旦那様とカーラ様はもうしばらくでお越しになります。お茶をお淹れしますので、お砂糖やミルクのお好みを教えていただけますか?」
存じ上げず申し訳ございませんと言うイーサンになんと言っていいか分からない。こんなに親切にしてもらったことが一度もない私は戸惑うことしかできず、砂糖もミルクも断ってしまった。
そして飲んでみてから気が付いたが、どうやら子供の身体では味覚までお子様仕様らしく、当たり前に飲めていたストレートの紅茶がやけに苦く感じた。ソーサーにカップを戻すと、メイドは何も言わずに砂糖やミルクを手にそばに来て微笑んでくれる。
「……あの、甘くしてくれる?」
そう頼むとまた嬉しそうに笑って砂糖とミルクを入れてくれた。なんて温かい空気の邸なんだろう。同じ敷地の中なのに、本邸とは全然違う。
そのためには、私がある程度稼げることは大事であろう。アレクだけでは大勢の家族を養うのは大変だ。数度の妊娠出産を経ても揺るがない職……ってなんだろう? 分からないけれど、確実に知性や品性は必要だろう。
つまりは、侯爵家ひいては貴族社会から追い出され平民に落とされた女、ではだめだということ。しかし平民のアレクと結婚するには侯爵令嬢という肩書きは邪魔だ。自ら望んで貴族でなくならなくてはいけない。
ということは、直接的原因であった男爵令嬢を虐げるという行為をまずはしなければいい。そもそも、アレクとの結婚を目指すのであれば第三王子殿下との婚約なんて望まないんだから、その想い人である男爵令嬢を虐げるなんてことをするわけがないから大丈夫。
知性や品性は……家庭教師を付けてもらうのが一番だけど、ジュディスお母様がそんなことしてくれるわけがないわよね。前だってそうしてくれなくて王子妃教育はもちろん貴族学校の授業すらついていけなかった。できることは威張り散らすことくらい……本当最低だわ。
ジュディスお母様が無理なら、お父様に直接言うしかないわね。侯爵家の本邸ではなく離れでカーラお母様と二人だけで過ごしているお父様。執務室も離れに移しているし、領地へ戻る際もカーラお母様だけを連れて行く。ジュディスお母様や私達子供はずっと王都で過ごしていて領地には行った覚えがない。それくらい、カーラお母様以外はどうでもいいのだ。
カーラお母様との間の子である私のことさえ……。
でも未来のためにはぶつかってみなくちゃ。ちょうど一人だし、今から離れに行ってみようと決意して自室を出た。
「これは……アドリアーナお嬢様! 旦那様に御用でしょうか?」
おそらく庭師やメイドから私が離れに向かっていると聞いたのであろう家令のイーサンが、少し慌てた様子で離れから出て私に声を掛けてきた。
離れに来るのなんて前の人生を含めても初めてだもの。そりゃ驚くわよね。
「そうなの。お会いできるかしら? 待たせてもらえるならいくらでも待つし、日を改めろというのならそうするわ」
「滅相もないことでございます! お庭にご案内いたしますのでそちらで少々お待ちくださいませ」
イーサンに通された中庭はすでにメイドが数名でもって何やら準備をしていた。テキパキと並べられていくお菓子や軽食。突然やってきたどうでもいい子供のためにこんなもてなしをするだろうか? これは誰のために? どういう状況なのだろうか?
「お嬢様? こちらへどうぞ」
優しい表情で私を見て、椅子を引いて待っているイーサン。そこに座る? 私が?
どうにも飲み込めないがおずおずと座ると嬉しそうにこちらを見ているメイドと目が合った。他のメイドを見てみるとみんな笑っている。私を蔑むような雰囲気は微塵も感じられない。
「え、っと……」
「旦那様とカーラ様はもうしばらくでお越しになります。お茶をお淹れしますので、お砂糖やミルクのお好みを教えていただけますか?」
存じ上げず申し訳ございませんと言うイーサンになんと言っていいか分からない。こんなに親切にしてもらったことが一度もない私は戸惑うことしかできず、砂糖もミルクも断ってしまった。
そして飲んでみてから気が付いたが、どうやら子供の身体では味覚までお子様仕様らしく、当たり前に飲めていたストレートの紅茶がやけに苦く感じた。ソーサーにカップを戻すと、メイドは何も言わずに砂糖やミルクを手にそばに来て微笑んでくれる。
「……あの、甘くしてくれる?」
そう頼むとまた嬉しそうに笑って砂糖とミルクを入れてくれた。なんて温かい空気の邸なんだろう。同じ敷地の中なのに、本邸とは全然違う。
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