世話焼きαの甘い罠

めっちゃ抹茶

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偶然の裏で 【煌視点】

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【煌視点】


学校が終わり、送迎車に乗って自宅に帰って来た俺は、自宅の書斎で探偵に依頼していた不穏分子の動向が記された報告書を読んでいた。

「………」

やはり、既に雷の存在は連中に広まっている。報告書によれば連中の下っ端が雷の後を付いて回っているようだ。
接触したり危害を加える様子が見られれば護衛が対処をするが、不安は尽きない。
雷の綺麗な瞳に奴の影さえも映してほしくない。
自分の目が届かない場所というのは酷く不安定に感じる。
焦りは禁物だと理解しながらも一刻も早く連中を消し去ってやりたくなる。

若干の不安と苛立ちを覚えていると携帯に連絡が入る。

「同じ学校の人物が一名、南川様に接触を試みようとしています。撃退致しますか」

「そいつの名前は分かるか。詳細を送れ。雷の元に向かう。俺が着くまでは接触させるな」

「畏まりました。直ちに添付致します」

電話を切り、私服に着替える。
すると早速、雷の後を付けて回っている人物に関する情報がメールで届いた。

「やはりあの連中か……。チッ、小賢しい。気に入らないのなら自ら戦えばいいものを」

犯人は十中八九親衛隊を牛耳っている奴だろう。下っ端に命令して後を付け回させているようだ。
奴が雷を狙うのは私怨か、それとも俺の失策を狙ってかのどちらかだろう。

因みに雷の護衛は平日は登校から最終的に帰宅するまでの間。その間、学校や自宅以外の場所に向かう様子があれば俺の携帯に連絡がくる。連中が雷に近付く際も全て、その都度連絡を寄越すように言い含めてある。

携帯で車の手配をして部屋を出る。
俺以外は誰もいない静かな家だ。ここに雷がいれば賑やかになるんだろうな、と考えながら俺は雷の元に向かった。






少し離れた場所で車から降り、雷の姿を遠目に確認する。
その後ろに制服姿で付き纏う人物が見えた。

「あいつか…」

雷が店に入ったことを確認し、声をかける。

「お前、ストーカーか?」

ストーカーしている自覚がなければ反応が期待出来ない言葉だが、見事に肩を震わせて反応をしてくれた。
そして俺を見て目を見開いた。下っ端とはいえ、俺が誰なのかを知ってるようだ。

「へぇ、その反応…なるほどな。何の目的で雷をつけ狙うのかは知らないが、俺は周りを彷徨く鼠が大っ嫌いでな。痛い目に遭いたくなければ大人しく引き下がった方がいいぞ?」

俺は昔から、俺の持つ肩書きや素質に寄ってたかる連中が心底嫌いだった。上辺だけの羅列される褒め言葉や媚びる様な声と粘りつく視線。そのどれもが鬱陶しく気色が悪くて吐き気がした。子供だからと見くびって馬鹿にしてくる人もいた。
俺が笑いかけると調子に乗って、その行動は激しさを増した。自分の子供を俺にあてがい、勝手に婚約者に仕立て上げられた事もある。冗談じゃないと本気で思った。俺はその時に結婚相手は自分で探すと親に宣言をした。
冷たくあしらって思い通りに動かないと分かるや否や連中は見事に掌を返して攻撃性を持つ。だが、そのどれもが人を使って実行された。自分は姿を消して裏で手を引く。身が危なくなれば速攻で姿を消す。そんな卑怯な姿勢も俺は嫌いだった。

「上に伝えろ。言いたいことがあるなら直接尋ねて来い、と。それと、雷に手を出したら容赦はしないとな」

α特有のフェロモンに怒りを乗せて威圧する。α相手には効果が薄まるが、βなら充分効果はある。

案の定、怯えた表情をして去っていった。
そして俺は護衛の一人にこう告げる。

「今、走り去っていった奴を追え。何か情報が掴まり次第報告しろ」

「はっ、畏まりました」

護衛が気配を消し、奴を追う。

「ハァ……」

一つため息を吐いて、俺は気持ちを切り替えて雷がいる店、俺の叔父が経営する洋菓子店に足を踏み入れた。




「う~ん!やっぱり何度食べてもおいひい~!」

ケーキ特有の甘い匂いと共に雷の元気な声が聞こえてきた。見れば、頬に手を当てて幸せそうな顔をしてチーズタルトを頬張っている。

雷を見ていると先程までの不安や苛立ちは消し去り、穏やかな気持ちになる。

「雷、ここで会うとは偶然だな」

「皇会長っ…!」
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