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3.人妻になりました
あれから婚姻届を出して、僕とクロードさんは夫夫となった。
僕の住まいは変わらず僕の家だ。クロードさんが泊まっていくこともある。そんな日は夕食を振る舞って、お風呂に入って、お布団を並べておしゃべりしながらおやすみをする。
後から分かったことだけど、僕は元の世界に帰ることはできないらしい。
過去の異世界人達が暮らした当時の文献があって、国庫にある重要な物らしいけどクロードさんにそれを見せてもらった。
クロードさんって凄い。何者…?
そこには「帰る手段はどこを探しても見つからなかった」とはっきり日本語で書いてあった。
帰る手段が見つからなくても、みんな獣人さんに愛されて幸せに暮らしたみたいだから、それで良かったのかな。なんて思ってる。
ちなみにこの世界の文字はアルファベットに似た文字で、読めて意味を理解することは出来たけど書くことはできなかった。
衣食住については何も問題がなくて。「住」は無事、確保できた。
あとは衣食なんだけど、僕が異世界に飛ばされる原因になった神様がお詫びとしてチートなるものを授けてくれたから問題はない。電気も水道もガスも何故か使えるし。食べ物は僕の力じゃなくて、冷蔵庫に永久的に補充されていくスタイルだけど。
う~ん、そこは魔法みたいな力でポンッて出してみたかった。残念…。
洋服は翼の生えた宅配屋さん(たぶん天使さんかな)が定期的に届けてくれる。僕が注文したわけじゃなくて、勝手に届く。
獣人さんの国で過ごしやすくするためなのか、フードに耳のついた可愛らしい服が多い。ベルトに尻尾がついたものもあった。中には猫耳のついたカチューシャなんかも入ってた。
……これ、神様の趣味じゃないよね……?
一応、僕も男なんだけどなぁ…。かっこいい服に憧れるお年頃なんだけどなぁ。
せっかく頂いたんだし、着心地がいいから着るけど。
そんなわけで、僕はうさ耳パーカーや猫耳パーカーを着て引きこもり生活を送ってる。
この耳がついたパーカー、なぜかクロードさんに好評なんだよね。着るととっても喜んでくれる。可愛いってずっとなでなでされて褒められる。
うん、まぁ喜んでくれるのは嬉しいからいいけどね。なでなで気持ちいい。
だけどずっと引きこもってもいられないわけで…
「ナツキ、国王からの呼び出しだ。俺と一緒に来いとのことだ。野獣達に可愛いナツキを人目に触れさせたくはないが、王からの命令には逆らえん。ついて来てくれるか?」
「え、うん。国王様からの命令じゃ仕方ないよ。お外は怖いけどクロードさんがいてくれるなら僕、頑張れる」
「くぅ———!可愛すぎる。あぁ、こんな可愛いナツキを他の獣に見せるわけにはいかない。ナツキ、やっぱり王城に行くのはやめて引きこもっていよう」
「ふふっ、なに言ってるのクロードさん。みんな獣人さんでしょ?動物みたいだけど人間なんでしょう?別に見られても平気だよ。それに、王様怒らせたら大変だろうし。そうなる前に行かなきゃ」
「いや、平気じゃないぞ。こんなに可愛いんだ。いつどこで狙われるかもわからん」
う~ん、平均より小さいとはいえ僕男だし。可愛くはないと思うんだけど…
まぁ、でも
「そうなったら、僕の旦那さまが守ってくれるんでしょ?旦那さまは強いもんね?」
「ぐぅ………!ああ、ナツキのことは旦那である俺が必ず守る!」
「ふふっ、頼りにしてるよ。旦那さま」
赤くなっちゃって。
クロードさんってば可愛い。尻尾も嬉しそうに左右にぶんぶん揺れてる。可愛いのはクロードさんだよぉ。
騎士団の隊長さんで強くてかっこいいのに可愛い。貴族で地位まである。
あれ…?僕の旦那さま、最強じゃない?
そんな最強の旦那さまと共に僕は王城に行くことになりました。
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