家ごと異世界に飛ばされました。引きこもるんで僕に構わないでください

めっちゃ抹茶

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4.王都への道のり



ライル侯爵領から王城がある王都までは早くても5日かかるらしい。往復で10日もかかるから長旅を想定して荷物を少し多めに持っていく。
後ろの荷馬車に荷物を積んで、騎士団の部下さん達に王都までの護衛を頼んだ。
本当は私情で騎士団を動かしちゃいけないみたいだけど、この国は諍いがなくてとても平和で、暇だから構わないんだとか。
いいのかなぁ…?ま、いっか。

僕とクロードさんは侯爵の証が入った豪華な馬車に乗るみたいだ。侯爵様専用の馬車らしい。

馬車に乗り込む直前、クロードさんが手のひらを上に向けて右手を差し出した。

ん?あぁ!漫画で見たことある!
エスコートってやつでしょー?
僕、お嬢様じゃないけど、なんか大切にされてるって感じで嬉しい。


「えへへ、クロードさん。ありがと」


「くぅぅ…可愛い」


馬車の中は大きい獣人さんに合わせて作られていて6人は余裕で乗れるくらい広い。
そんなに広いのに何故か僕は後から乗り込んできたクロードさんにお膝に横向きで抱えられている。
そして腰には僕よりも何倍も太くて立派な腕ががっちりと回されている。


「あ、あのね。クロードさん。この格好、クロードさんのかっこいいお顔が近くて、すごく恥ずかしいんだけど…」


「んんん、素直で上目遣いで赤くなってて可愛い!あぁ、もう!押し倒したいっ!!」


「おし、たお……し?」


「ん"ん"っ!あ、いや。万が一狙われた事も考えて、逃げやすいようこのままで居てくれ」


「そう?クロードさんがそう言うなら、僕恥ずかしいけど我慢する」


でもやっぱり凛々しいお顔が近くにあって心臓のドキドキが鳴り止まないよぉ。
クロードさんの爽やかないい匂いまでする。とっても安心する匂い。うぅ~ん、僕この匂い好き…

スンスン、スリスリ


「っ…!ナツキ、それは誘っているのか?」


「うん?何のこと…?」


「あぁ、やはり無意識だったか…。顔を首筋に埋めてスリスリしてもいいが、他の男には絶対にやるなよ。危ないからな」


「うん。クロードさんにしかしないよ。クロードさんじゃないと嫌だもん」


だって僕、クロードさんのことが好きだから。今はまだ恥ずかしくて言えてないけど、いつかちゃんと言うつもり。

う~ん、馬車の揺れとクロードさんの体温が心地よくて眠たくなってきた…
うとうとして、瞼が耐えきれずに落ちる。

はぁぁ。ナツキは俺を煽る天才だな。
盛大なため息とともにそう呟いたクロードさんの声は僕には届かなかった。



王都までの道中は特に何事もなく順調に進んでいった。
街などに馬車から降りる時は危ないからという理由で、常に毛布に頭から包まれてお姫様抱っこをされてた。
大事にしてくれているのはわかるけど、そんなことまでして僕を隠したいのかなって、ちょっとむぅってなった。
ん~、でもクロードさんの腕の中は安心するから嫌いじゃない。
僕はむくれながらも抵抗せずされるがままになってた。

途中にある街に何度か寄って、二人部屋の宿に泊まる。どの宿もベッドが一つだったからクロードさんと一緒に寝た。
クロードさんが僕を引き寄せてぎゅっとするから、いい匂いと触れ合う肌から伝わる体温で僕の心臓はバクバクだったけど、とても幸せだった。

クロードさんはいつもみたいに
「おやすみ」って言った後、僕の額にちゅってした。
僕からも「おやすみなさい」って言って、頬っぺたにちゅってした。いつも上手くできなくて、ぶちゅってなるけど…。

まぁ、クロードさんが嬉しそうだからいいかな。
感想 3

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