顔を焼かれ妹に荒野に捨てられた公爵令嬢、その身を偽り皇太子の護衛として王国へと帰還する

高井繭来

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【28話】

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「賑わってますね皇太子様」

「カノン…一応お忍びの身なので皇太子呼びを止めて欲しいのだが………」

「すみません、こうた…フォルテシモ様」

「もう1回呼んでくれ」

「フォルテシモ様?」

「もう1度!」

「………フォルテシモ様?」

 何故か皇太子様が感激に打ち震えております。
 何が原因でしょうか?

「ようやくカノンに名前を呼んで貰えた………」ボソッ

「何か?」

「いや、何でもない。露店も多いな、イカ焼きを食べようカノン!」

「もうすでにかき氷とチョコバナナとフランクフルトとフライドポテトと焼きもろこしと焼きそばを食べていますよフォルテシモ様…それにしても珍しいメニューが多いですね。
屋台と言ったら串焼きくらいしか私は食べた事なかったのですが…どなたが発案されたメニューなのでしょうか?」

 遠くでわーわーと騒ぎ声が聞こえます。
 どうやら週末恒例らしい大食い大会が開催されているそうです。
 第1回優勝者が絶対王座として君臨しているそうです。
 何でも空色の髪と翡翠色の瞳の物凄い美形の少年冒険者さんなのだとか。
 見に行きたいと言ったら皇太子様に止められました。

 かなり真剣な顔で。
 あんなにキリッとした表情見たの久しぶりなので思わずときめいてしましました。

 そうですよね、この南の土地と何とか協定を結べないか来たのでした。
 遊んでいる場合ではありません。
 その割には皇太子様は食を謳歌している様子ですが…?
 まぁ久しぶりに国を出れたので羽を伸ばしているのでしょう。

 私も皇太子様には肩の力を抜いて欲しいので、少しは旅行気分を味わうのも良いかも知れません。

 さっきの発言と矛盾している気もしますが…。
 私が美少年見たがっていると思って焼き餅焼いた、何てこと無いですよね?
 それだったら少し嬉しいな~とか思っちゃうのですけど。

「フォルテシモ様、タレが口の端についていますよ」

 私はハンカチーフを取り出しソレを拭いてあげます。

「ひゅ~熱いねお二人さん!良かったらこっちのりんご飴もどうだい?うまいぜ!」

 軽い声がかけられました。
 えーと、カップルに見えました、私たち?
 それは嬉しくて、それ以上に恥ずかしくて死にそうです。
 一応また婚約者に戻ったんですけど、カップルなんて甘い期間カノンの時期ではありませんでしたから。
 寧ろポリフォニーの時の方がカップルに近かったと言うか……。
 皇太子様、本当に男の方が好きとか無いですよね………?
 たまにちょっぴり不安になります。
 ポリフォニーにはべたべたに甘えていた皇太子様が、私がカノンに戻ってから何だかしっかりしてきた、と言うか格好良くなってきたからです。
 あんまり甘えたもどうかと思いますが、それはそれで嬉しいもので……。
 矛盾してるとは思いますが。

「カノン、折角だ買おう!」

「フォルテシモ様!」

 グイ、と腕を引かれます。
 力いっぱい抵抗したら難なく外せる手が外せません。
 本当に私は皇太子様に惚れ切っているのですね。

「よ、色男!可愛い彼女連れて………ロゼの瞳!?」

「え!」

「嘘!」

「ロゼの瞳だと!?」

「聖女様?」

 周囲がどよめきました。
 どうやらこの地では既に”ロゼの瞳の聖女”の話は誰もが知るところのようです。
 大勢の人たちに取り囲まれて、どうしましょうか?
 皇太子様に害の及ばないように、どう振舞いましょう?
 ポリフォニーの頃でしたら正面切って威嚇できたのですが、女、それも貴族令嬢に確実に見える格好の私では睨んでも威嚇にもならないでしょう。

 カノンに戻ったからと言って戦闘能力が落ちた訳ではありません。

 むしろ本来の体に戻れて能力は陪乗しています。
 なぎ倒していくのは簡単でも、ここには平和協定を結びに来たのです。
 どう切り抜けましょうか?
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