男として育てられた公爵家の令嬢は聖女の侍女として第2の人生を歩み始めましたー友人経由で何故か帝国の王子にアプローチされておりますー

高井繭来

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本編で語られなかったイチャラブ事情

101話

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 次に運ばれてきた盆の上には可愛らしい器に入ったあんみつ。
 蜜豆の上にあんこがたっぷり乗せられている。
 ハート形の寒天がカワイイ。
 果物は桜桃、パイナップル、みかんが入っている。
 スプーンが添えられていて、早速アンドュアイスが手に取った。

(ワンコが出ませんよーにワンコが出ませんよーに!ワンコが出ませんよーにワンコが出ませんよーに!ワンコが出ませんよーにワンコが出ませんよーに!ワンコが出ませんよーにワンコが出ませんよーに!ワンコが出ませんよーにワンコが出ませんよーに!ワンコが出ませんよーにワンコが出ませんよーに!)

 ルーシュは神に祈った。
 祈ったところでその神はシスコンの最高神なので、今は姉の作ったあんみつを見るのに夢中で祈りを聞いてくれはしないであろうが。
 ちなみに贔屓はしない。
 これでも最高神なものなので。

「ではマーガレット選手のあんみつ、実食!!」

 スプーンであんこを掬って口に運ぶ。

「あんこ、うまっ!!!!」

 思わずルーシュの素が出てしまった。
 ちゃんと貴族らしく振舞ってはいたのだが、美味しさに被った猫が脱げたらしい。

「上品な甘さで、小豆の粒の食感がすごくいいですね。全然くどくありません。あんこなのにあっさりしていると言ってもいいくらいですよ」

 ジャスミンが舌鼓を打つ。

「みつ豆のシロップのほうも、ほどよい甘さやな。少し酸味も感じるわ。寒天は、赤と白はノーマルな寒天の食感で、緑色のだけ少しなめらかやね」

 先輩が続く。

「塩味の効いた豆が、アクセントになっていて、黒蜜とこし餡の甘さに負けず、途中で口の中をキリッとリセットしてくれるね。かと思えば、黒豆のような、あまい豆も入っていたり、楽しさが2倍だな」

 ローズ王子である。

「何を、どれと一緒に食べるか、悩むなぁ。一緒に口に入れる黒蜜やこし餡の量でも、全然違う味になったりして、すごく楽しい♪」

 ワンコが!ワンコがチラ見してきている!!
 笑顔が可愛い。
 その笑顔は自分の前だけで向けて欲しいルーシュは複雑だ。
 楽しそうなアンドュアイスを見るのは眼福だが、その眼福は1人占めしたい。
 乙女心は複雑なのである。
 会場は広いのでアンドュアイスの笑顔を堪能出来ているのは前の方の席の者だけだが。
 それでも頬を染めてざわざわしている輩が居る。
 屠りたい!
 剣と魔術で屠りたい!
 記憶を消したい、ではなく「屠りたい」と思うあたりルーシュは中々血の気の多い脳筋である。

 それを天井の最高神様が楽しそうに覗いているとかいないとか。

 さて勝利の女神(決して全能神ではない)は誰に微笑むのか!?
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