12 / 109
11
しおりを挟む
「サイヒ、何時までフレイムアーチャに居るつもりだ?」
押しかけて来てからもう2週間神殿に滞在しているサイヒにルーシュが尋ねた。
「なんだ、私が居るのが邪魔か?家賃代わりに手合わせはしているだろうが」
「いや、手合わせは本当に嬉しーよ?でも神殿の奴らが乙女化するのをこれ以上見たくない…」
「ときめきに男も女も子供も大人も関係ない。胸を躍らせる事は生きる糧になる素晴らしい感情だ」
「うん、良い様に言ってるけど端から見てると80の爺が頬染めてるの見てるほうは拷問だかんね!」
「老い先短い命だ。死ぬ前に楽しい思いをさせておいてやれ」
「オブラートに包んでるつもりだろーけど、お前が言ってるセリフ、結構酷いかんな!」
「それは困った。私は慈悲深い気持ちの持ち主だと自称していたのだが…」
「自称以外の何物でもねーよ…」
「だがまだ帰る気にもなれんしな」
「せめて街で宿取るとか出来ないのか?金には困って無いんだろう?」
ルーシュはサイヒのあまりにも酷い力技の”人工ダイヤ”の存在を知っている。
サイヒが金に困らないことは知っているのだ。
「昔、神殿をプチ家出をしてだな、適当な町の宿を取ったことがある」
「んじゃ、システム自体は分かっているんだな」
「システムは分かっているぞ?ただ町外れの宿を取ったはずのなのに3日後には宿の宿泊客は満員になってだな」
「3日で満員…」
「1週間後には宿の料亭に5時間待ちの列が出来る様になってな」
「5時間待ちの列……」
「10日後には”リリー・ザ・ヴァリーゴーフル”が売られるようになったんだ」
「何してんのお前!?」
「普通に食事をして、話しかけて来た者と会話をして、困っている人を手助けしただけなんだが。ちなみに名前はお馴染みリリー・ザ・ヴァリーで通したぞ」
「もうお前怖い!!」
「それ以来町の宿に泊まるのは止めようと決めた訳だ。やはり自分名前が付いた菓子が名産物になるのは些か気まずい」
「些かですむお前の神経が私は嫌だ!」
「泣き寝入りする女よりは良いではないか?」
「心配するな、泣き寝入りする女は名産物にはならない」
「と、言う訳で私はこの神殿を出る気はない。中々居心地も良いし、楽しみもあるしな」
「その楽しみって偶にニヤニヤしてるあれかよ…」
「ふふ、本当に楽しみで仕方がない。私の愛猫も保護犬も可愛らしい事この上ないな」
「話すな、深く聞きたくない!巻き込まれる予感しかしない!!」
「馬鹿だなルーシュ、もう既に巻き込まれているではないか」
「もう本当嫌だお前!」
「では今夜の手合わせは必要ないと?なら今日はもう寝るとするか」
「どうぞゆっくりご宿泊ください!なので手合わせは!手合わせは!!」
「では、移動するか(中型馬鹿犬も可愛いものだ)」
「【空間転移】よろしく!」
:::
5分後。
額から煙を出し大の字で荒野に転げているルーシュの姿があった。
「やはり妾の主殿は頭が足りないのじゃ……」
ルインは尻尾を股に挟みガタガタ震えた。
何故にこうまでも実力差のある相手と戦うのか?
ドラゴンとして生まれたルインにとっては戦うのは命を懸ける時だ。
手合わせの為に戦うと言う概念は無い。
ルインが雄だったら”メスを巡る戦い”と言うものが存在する事で多少は理解できたかもしれないが。
「ふふ、ルーシュは頭が少し足りないが良い奴だ。頭の分はルインの様な美しくも賢い使い魔が居るのだから問題ないだろう?これからもルーシュをたのむぞ、ルイン。ところで私は親友のルーシュの使い魔のルインも親友と数えても良いのだろうか?」
「ひゃ、ひゃひゃひゃひゃいぃぃぃっ/////」
微笑みを浮かべるサイヒの色香は性別どころか種族も飛び越える。
ドラゴン生の短いルインが魅入られるのも仕方がないのだろう。
(わ、妾はTPOを弁えているドラゴンなのじゃ!そこいらの雌とは違ってはしたなく発情はしないのじゃ!)
サイヒの待ち人が早く来ないと、神殿外に迄ハーレムが広がりそうである。
種族の垣根を越えて…。
シスターハナクッキーが発売される前に、是非とも待ち人には来て欲しいものだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今日もルーシュが不憫でした。
リリー・ザ・ヴァリーゴーフルは今でもその町で売られております。
とくにお話に出てくる予定はありません。
待ち人の皇子様、早く来ないと大変な事になるぞー( *´艸`)モウナッテル?
押しかけて来てからもう2週間神殿に滞在しているサイヒにルーシュが尋ねた。
「なんだ、私が居るのが邪魔か?家賃代わりに手合わせはしているだろうが」
「いや、手合わせは本当に嬉しーよ?でも神殿の奴らが乙女化するのをこれ以上見たくない…」
「ときめきに男も女も子供も大人も関係ない。胸を躍らせる事は生きる糧になる素晴らしい感情だ」
「うん、良い様に言ってるけど端から見てると80の爺が頬染めてるの見てるほうは拷問だかんね!」
「老い先短い命だ。死ぬ前に楽しい思いをさせておいてやれ」
「オブラートに包んでるつもりだろーけど、お前が言ってるセリフ、結構酷いかんな!」
「それは困った。私は慈悲深い気持ちの持ち主だと自称していたのだが…」
「自称以外の何物でもねーよ…」
「だがまだ帰る気にもなれんしな」
「せめて街で宿取るとか出来ないのか?金には困って無いんだろう?」
ルーシュはサイヒのあまりにも酷い力技の”人工ダイヤ”の存在を知っている。
サイヒが金に困らないことは知っているのだ。
「昔、神殿をプチ家出をしてだな、適当な町の宿を取ったことがある」
「んじゃ、システム自体は分かっているんだな」
「システムは分かっているぞ?ただ町外れの宿を取ったはずのなのに3日後には宿の宿泊客は満員になってだな」
「3日で満員…」
「1週間後には宿の料亭に5時間待ちの列が出来る様になってな」
「5時間待ちの列……」
「10日後には”リリー・ザ・ヴァリーゴーフル”が売られるようになったんだ」
「何してんのお前!?」
「普通に食事をして、話しかけて来た者と会話をして、困っている人を手助けしただけなんだが。ちなみに名前はお馴染みリリー・ザ・ヴァリーで通したぞ」
「もうお前怖い!!」
「それ以来町の宿に泊まるのは止めようと決めた訳だ。やはり自分名前が付いた菓子が名産物になるのは些か気まずい」
「些かですむお前の神経が私は嫌だ!」
「泣き寝入りする女よりは良いではないか?」
「心配するな、泣き寝入りする女は名産物にはならない」
「と、言う訳で私はこの神殿を出る気はない。中々居心地も良いし、楽しみもあるしな」
「その楽しみって偶にニヤニヤしてるあれかよ…」
「ふふ、本当に楽しみで仕方がない。私の愛猫も保護犬も可愛らしい事この上ないな」
「話すな、深く聞きたくない!巻き込まれる予感しかしない!!」
「馬鹿だなルーシュ、もう既に巻き込まれているではないか」
「もう本当嫌だお前!」
「では今夜の手合わせは必要ないと?なら今日はもう寝るとするか」
「どうぞゆっくりご宿泊ください!なので手合わせは!手合わせは!!」
「では、移動するか(中型馬鹿犬も可愛いものだ)」
「【空間転移】よろしく!」
:::
5分後。
額から煙を出し大の字で荒野に転げているルーシュの姿があった。
「やはり妾の主殿は頭が足りないのじゃ……」
ルインは尻尾を股に挟みガタガタ震えた。
何故にこうまでも実力差のある相手と戦うのか?
ドラゴンとして生まれたルインにとっては戦うのは命を懸ける時だ。
手合わせの為に戦うと言う概念は無い。
ルインが雄だったら”メスを巡る戦い”と言うものが存在する事で多少は理解できたかもしれないが。
「ふふ、ルーシュは頭が少し足りないが良い奴だ。頭の分はルインの様な美しくも賢い使い魔が居るのだから問題ないだろう?これからもルーシュをたのむぞ、ルイン。ところで私は親友のルーシュの使い魔のルインも親友と数えても良いのだろうか?」
「ひゃ、ひゃひゃひゃひゃいぃぃぃっ/////」
微笑みを浮かべるサイヒの色香は性別どころか種族も飛び越える。
ドラゴン生の短いルインが魅入られるのも仕方がないのだろう。
(わ、妾はTPOを弁えているドラゴンなのじゃ!そこいらの雌とは違ってはしたなく発情はしないのじゃ!)
サイヒの待ち人が早く来ないと、神殿外に迄ハーレムが広がりそうである。
種族の垣根を越えて…。
シスターハナクッキーが発売される前に、是非とも待ち人には来て欲しいものだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今日もルーシュが不憫でした。
リリー・ザ・ヴァリーゴーフルは今でもその町で売られております。
とくにお話に出てくる予定はありません。
待ち人の皇子様、早く来ないと大変な事になるぞー( *´艸`)モウナッテル?
12
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
ブックマーク・評価、宜しくお願いします。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
【完結】転生したら悪役継母でした
入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。
その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。
しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。
絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。
記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。
夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。
◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆
*旧題:転生したら悪妻でした
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる