男として育てられた公爵家の令嬢は聖女の侍女として第2の人生を歩み始めましたー友人経由で何故か帝国の王子にアプローチされておりますー

高井繭来

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【番外1】

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「アンドュアイス様、隣りよろしいでしょうか?」

 朝食時、アンドュアイスの座るテーブルにトレイに昼食を乗せて近づいたたのは妙齢のシスターであった。
 なかなかの綺麗な顔の持ち主だ。
 ルーシュがメイドの仕事で追われている間にアンドュアイスに近づこうと言う算段だろう。

「別に構わないが、他の何時も一緒に食べている者たちは良いのか?」

「流石に今回は反対する者も居ないですわ」
 
 ニッコリとシスターが笑う。
 金髪に青眼。
 色合いがアンドュアイスとかなり似ている。
 顔のパーツがはっきりしている所も類似点か。
 とにかくシスターは己のグループのトップである自分を応援するよう仲間たちには伝えている。
 侯爵家令嬢の彼女に逆らう者は居ない。

「アンドュアイス様、私も良いですか?」

 そう言ってアンドュアイスの向かいに陣取ったのは桃色の髪の年若いシスターだった。
 よくルーシュと喋っているのを見かける。
 アンドュアイスにとっては嫌いに位置する相手ではない。

 本音を言うとルーシュ以外の異性とは、サイヒとマロンを除いて同じテーブルで食事をとりたくは無いのだが、公務で来ているのだから仕方が無いのだ。

「うわ~皇子様モテモテ」

「今更だろう。皇子様が来てから2週間、ずっとシスターとメイド達がざわついていただろう」

「まぁそうだよな。あの顔で皇族。持てるのも仕方ねーわ、嫉妬する気にもならないな」

 年若い神官たちはコソコソと様子を伺っていた。
 アンドュアイスが来てから傍にはずっとルーシュが居た。
 それ故、他の女が近づくことが出来なかった。
 今はルーシュは居ない。
 最初で最後のチャンスかもしれないこの場面で妙齢のシスターは仕掛けたのだ。
 年若いピンクの髪のシスターは、ルーシュに頼まれていた万が一の為の牽制役である。

「アンドュアイス様て凄く綺麗ですよね。お肌とかきめ細かくて真っ白で♡」

「肌の状態は主にビタミンと質の良い脂質と睡眠だ。継続させれば誰でも出来る。貴方もそこそこ綺麗な肌してるな。が、貴方は教育的指導だ!睡眠不足が目の下の隈が語っているぞ!昨日寝たのは何時だ?」

 ジロリ、とアンドュアイスの碧の双眸が妙齢のシスターに向けられる。

「うっ………2時、です」

「肌のゴールデンタイムは22時から2時だ。その時間が成長ホルモンを促して新しい皮膚が作られる。その時に新しく作られる肌にいかに良い栄養素が与えられているかが美肌の糧だ。貴方は肌の肌理も荒れているな」

 ジッ、と肌を見られて妙齢のシスターが頬を赤く染める。

「よく食事内容を見てみれば分かるはずだ。桃色の髪の彼女が野菜をコールスローのキャベツに対して貴方はレタスのサラダ。
レタスって90%以上が水分でできているって知っているか?
16栄養素の比較では、キャベツがレタスより高い数値なのが、ビタミンCビタミンK、葉酸(ビタミンB群)、ビタミンB6、リン、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、食物繊維などの10栄養素、レタスがキャベツよりも高い数値なのが、カロチンとビタミンB1、ビタミンEの3栄養素。同じ数値なのがビタミンB2,カリウム、鉄3栄養素だ。
更にキャベツにはキャベツに含まれるボロンという成分が、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンの働きを高めてくれるためバストアップに効くことでよく知られている食材でもある」

 ピクッ!!
 妙齢のシスターの身体に電流が走る。
 彼女はまな板ではないが上げ底胸の貧乳だった。

「更に飲み物だ。貴方はコーヒー、対して彼女は豆乳だ。
カカンの医学博士が「女性は1日3杯以上のコーヒーを飲み続けると胸が小さくなる」と発表している。
バストアップに効果がある食材の中でも、特に有名なのが大豆だ。
 大豆製品の中には大豆イソフラボンという女性ホルモンによく似た働きをする成分が含まれておりこの栄養成分は別名植物性エストロゲンとも呼ばれている。
納豆・豆腐や味噌汁などを毎日摂ると理想的だが、豆乳だと1日1杯で充分なので手軽に摂取することができる。
他にもナッツ類なんかが美肌とバストアップに効果的だ。
彼女はデザートにナッツを取ってきてるけどナッツにはビタミンEの作用で、シミやシワを防ぐメリットもあり又キャベツと同じボロンも結構含まれている」

 カタカタカタカタ
 アンドュアイスの説明に妙齢のシスターの身体が小刻みに震える。

「そうだよな~やっぱり女の子は巨乳がイイよな♪デカければデカいほどイイ♬」

 後ろの席の神官のの言葉に、周りの席に居た若い神官たちはがウンウンと良い笑顔で頷いている。

「まぁ胸の話は置いといて、肌荒れには便秘にならないのも大切だ。貴方はデザートにヨーグルト取って来てるがヨーグルトを食べると、腹の調子がよくなると感じるのは、「乳糖」の問題が関係してるからだが、東の民のおよそ86%は「乳糖不耐」と言って、ヨーグルトの中の「乳糖」を分解する酵素が体内にない。
という事は、腸で乳糖が分解されにくいから長時間消化されずに腸にとどまってしまう。
そうなると当然腸に負担がかかる。
腸に負担のかかった状態が長時間続くと、 腸が正常に働かなくなるので便秘が悪化する。だから便秘でなかなか出せない時は、「デトックスウォーター」がおすすめだ。
腸の働きを高め、便秘を改善しやすくする上に、液体なので消化・吸収にエネルギーを奪われない」

「「「「「アンドュアイス様、是非デトックスウォーターの作り方を!!」」」」」

 何故か周囲のシスターまでアンドュアイスに詰め寄って来た。

「ん、ああ。デトックスウォーターは
・冷たい水 500ml
・岩塩   小さじ1杯
・レモン果汁 1個分(約30ml)
材料をすべて混ぜ合わせたら、30分以内に飲みほす。味が濃くて飲み慣れない場合は、塩やレモン果汁の量を減らしたら良い」

 何処からか取り出したかシスターたちがメモにペンを走らせていた。

「他にも肌の調子が良くなるもの教えて下さいアンドュアイス様!」

「私ももっと教えて欲しいですわ!!……バストアップノホウモ ボソリ」

 その後ルーシュが戻るまでシスター隊のアンドュアイスへの質問攻めで時間が流れた。
 勿論、その後に個室で保護犬と化したアンドュアイスがルーシュに泣きついたのは言うまでもない。
 決戦当日の朝の出来事であった。


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 ちょこっと寄り道番外編。
 アンドュアイスは母親が美的意識高い人だったので子供の頃にみっちり仕込まれました。
 その後、アンドュアイスのてによってルーシュがマイフィアレディする日も近いかも?
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