男として育てられた公爵家の令嬢は聖女の侍女として第2の人生を歩み始めましたー友人経由で何故か帝国の王子にアプローチされておりますー

高井繭来

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本編で語られなかったイチャラブ事情

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「じゃぁ王宮に向かいましょうか」

「駄目だよルーシュ、王宮に行くなら今の恰好はラフすぎるし、まずは服を身に行こう?」

 確かにルーシュの恰好はユニセックスの旅着だ。
 王宮に向かうには向いていない。
 何らかのクエストを任されたとかならば旅着で十分だろうが、今回は客人として招かれたのだ。
 サイヒが姉であるマーガレットに話を通してくれているのである。
 サイヒの友人として、あまり不格好では失礼に値するだろう。

 友人の格を落とさないようにと思う位には、ルーシュはサイヒを大切にしているのだ。
 サイヒが知ったら喜ぶだろう。
 サイヒにだけたいして発揮されるツンデレのせいで、ルーシュはあまりサイヒを立てないので、こうやってルーシュがサイヒの事を思って行動するとサイヒは嬉しいに違いない。

 まぁ、ルーシュがサイヒを大切に思ってくれている事位は全能神様はお見通しだが。

 それでも気分が良いものである。
 天界から覗き見をしていたサイヒはご機嫌になった。
 隣にいるルークが嫉妬で少々むくれているが、後で甘やかせば問題ないだろう。

 今のサイヒは愛犬と心友のデートを覗き見る事が第一なのである。
 
 ルークも兄上と慕うアンドュアイスの笑顔を見たいので覗き見しているのだし、サイヒに文句は付けられない。

 閑話休題。

 こうしてアンドュアイスのルーシュへの服選びが始まった。

 :::

 高身長さんはマキシ丈のアイテムも素敵に着こなせるのが嬉しいポイント!
 マキシ丈のワンピースやロングスカート、ロングカーディガンなどがぴったり。
 ボリュームがあるデザインでも"着られている感"なく着こなせる上、柄物スカートなら目線が下がり好バランスに。

 高身長さんなら、オーバーサイズのアイテムもすっきり着られる。
 ゆったりサイズのアイテムはだらしくなく見えがちですが、高身長さんなら丁度よくこなれ感ある着こなしに。
 あえてメンズサイズを選んでメンズライクに着こなすのもおすすめ!
 
 スラリとした高身長を活かして、どんなコーディネートもかっこいい雰囲気に。
 Tシャツにデニムのシンプルコーデも素敵に着こなせるのは高身長さんならでは。
 着飾りすぎないラフな着こなしでも、モデルさんのようにかっこよく仕上がる!

 服のデザインが多種あるカカンではルーシュの身長でも着こなせる服も多々あるのだ。

 そしてアンドュアイスに連れていかれたブティック。
 これでもか、と大きな店内に服がわんさか並んでいる。

「これとかどうかな?」

 ウエストはジャスト位置が好バランス!
 フィット感あるトップス部分とエレガントなプリーツスカートが印象的なワンピースコーデ。
 ウエストがジャスト位置なので好バランスに着こなせる。
 マキシ丈でも足元を肌見せすれば軽やかな雰囲気に。

「ちょっと大人っぽ過ぎないですか?」

「じゃぁコレなら?」

 チュールスカートはロング丈をチョイス!
 甘さたっぷりのチュールスカートのガーリーコーデ。
 高身長さんにはロング丈スカートがよく似合う。
 ブラウスのドット柄は小さめを選んで清楚な雰囲気に。小物は黒で統一すると全体が締まって甘すぎない大人コーデに仕上がり。

「う~可愛すぎます………」

「コレは?」

 ロング丈のロンTはウエストマークで間延び防止!
 ロング丈のロンTはウエストマークで間延び防止。
 ウエストを強調することでメリハリあるボディラインに仕上がり。
 センタープレスパンツを合わせればきれいめコーデの完成。

「まぁ、着てても違和感ない範囲ですかね………?」

「コレ!」

 短めニットもレイヤードできれいめに仕上げる!
 短めになってしまったニットの丈感はシャツをレイヤードして調整!
 気になるウエストまわりもカバーしてくれるのは嬉しいポイント。
 ボトムスはスキニーパンツできれいめに、ハットとブーツでかっこよく着こなす。

 パンツスタイルだが高身長のルーシュが着ると、途端にモデルの様にそのスタイルの良さが活かされる。
 カジュアルながら誰もが振り返る位にその恰好は様になっていた。

「これ、普段気ない感じだけど…嫌いじゃないかも………」

 パンツスタイルなのにちゃんと女子に見える。
 カジュアルなのにちゃんとモード系に仕上がっているのはアンドュアイスの手腕だろうか?
 兎に角、この服屋はルーシュの服装による概念をぶち壊した。
 ルーシュが初めて女物でも自分に似合うものがあるのだと、始めて認識できたのだ。

「アンドュ様は、どれが好きですか?」

「ん~どれもルーシュに似合ってるけど、チュールスカートのルーシュ可愛かったなぁ♡」

「じゃ、じゃぁその服装にします」

「今の服装が気に入ってるんじゃないの?良いの?」

「アンドュ様に可愛いと思われる方が…私には重要です…………」

「ルーシュ可愛い!!」

 ギュム、とアンドュアイスがルーシュを抱きしめた。

「アンドュ様!店、ココ店ですから!!!」

 恥ずかしさが天元突破だ。
 だがアンドュアイスの「可愛い」は素直に嬉しい。
 自分でも、少しだけスカートでも可愛かも、と思ったのだ。
 ソレをアンドュアイスが気に入ってくれてるのなら、その恰好をしたい。

「では2番目に着た服装を着ていくので値札を外してくれ。それ以外の試着した服は包んで貰おう」

「え、アンドュ様私出しますよ!」

「ルーシュの前で恰好つけさせて?」

 耳元でアンドュアイスが囁く。
 吐息が耳朶をかすめて、微かな擽った差と共に快感を拾ってしまった。
 テノールの声が甘すぎるのが問題なのだろう。
 思わず腰にきたルーシュはその場でしゃがみ込みたくなった。

 周囲に座り込んでる女性客や女性店員が多数いるのは、仕方ない事だろう。
 普段可愛いのに、こんな時に格好良すぎるなんてズル過ぎる。

 ルーシュは値札を切って貰った服を貰い、ふらふらと試着室へと向かうのであった。
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